雪に覆われた大地と、冬の空がつくるコントラストが印象的な冬景色。冷えた空気の中で広がる眺めは、季節ならではの表情を見せてくれる。
雄大な自然に加え、雪化粧をまとった城下町や歴史ある街並みを歩くのも、この時季ならではの楽しみ。いつもとは違う景色と時間を味わいに、冬の旅へ出かけたい。
静けさに満ちた美しさに出会う旅
「冬の絶景を楽しむなら雪が降る地域の中で自然はもちろん、古い街並みや神社仏閣、お城がある場所がおすすめです。歴史ある建物や山々に雪が重なることで、冬にしか見られない情緒を感じる景色に出会えます」
と話すのは、トラベルインフルエンサーの上田きょうこさん。
雪景色を狙うなら、天気予報のチェックも欠かせない。
「雪の翌日に晴れ間が出ると、白い雪と澄んだ青空のコントラストに出会えるチャンスです。写真で残すなら、色使いもポイント。白い世界の中に赤い服や傘などを入れると、ぐっと印象的な写真になりますよ」
また、足元の防寒と安全対策も大切。
「足元は特に注意して専用靴の用意を。快適な装備が、旅を楽しむ余裕につながります」
庄川峡[富山県]
水墨画のような峡谷を進む船旅
富山県南西部に広がる庄川(しょうがわ)峡は、全長約20kmに及ぶ渓谷美で知られる景勝地。冬になると山々が雪に覆われ、峡谷全体が静けさに包まれる。小牧ダム付近発着の遊覧船に乗れば、白銀の断崖や凍(い)てつく木々を間近に眺めることができる。
「雪をまとった山々の間を、ゆっくり船が進む景色は、まるで水墨画のよう。冬ならではの深い静寂が心に沁(し)みます。遊覧船は1日3〜4便あり、時間を選びやすいのもいいですね」(上田さん、以下同)
【庄川峡遊覧船】
[住所]富山県砺波市庄川町小牧73-5
[営業]8:30~17:00
[料金]大牧温泉コース 大人3400円・小人1700円、長崎橋周遊コース 大人1500円・小人750円
山中湖[山梨県]
朝もやに浮かぶ富士、冬しか出会えない奇跡の美景
富士五湖の中で最大の面積を誇る山中湖。富士山の裾野に広がる湖畔は視界を遮るものが少なく、雄大な山の姿をのびやかに望めるのが魅力だ。湖畔をゆっくり巡ると、心がすっと整うような時間が流れる。
「山中湖は雪景色の富士山が本当にきれい。湖畔に白鳥が集まることもあって、富士山と一緒に写真に収められるのがうれしいですね。観光地として有名でも、ここは比較的静か。人が少ない場所でゆっくり富士山を楽しめます」
【山中湖パノラマ台】
[住所]山梨県南都留郡山中湖村平野
[交通]バス停「山中湖平野」から徒歩約35分
田沢湖・御座石神社[秋田県]
雪に包まれた湖畔の社、赤と白のコントラストが美しい
田沢湖の北岸に鎮座する御座石(ござのいし)神社。湖に向かって立つ朱色の鳥居が印象的。社名は、江戸時代に秋田藩主・佐竹義隆公が田沢湖を訪れ、この地で腰を下ろして休んだことに由来するといわれている。
冬になると湖畔一帯が雪に覆われ、鳥居や境内は神秘的な佇(たたず)まいに。
「雪が積もった鳥居と湖の風景は、思わず息をのむ美しさ。観光客も少なく、冬ならではの凛とした空気を感じられる、知る人ぞ知るスポットです」
【御座石神社】
[住所]秋田県仙北市西木町桧木内相内潟1
[交通]JR田沢湖駅よりバスで約40分(羽後交通バス「田沢湖一周線」)
津軽鉄道[青森県]
昔ながらのストーブ列車とぬくもりの冬鉄道旅
文豪・太宰治のふるさと、青森県五所川原市を走る津軽鉄道。冬の風物詩が、12~3月末まで運行される「ストーブ列車」だ。
「車内にストーブが設置された、雪国ならではの列車旅。赤々と燃える炎を囲みながら、外に広がる雪景色を眺める時間がとても贅沢(ぜいたく)です」
ストーブの上で焼いてもらえるスルメも名物。
「焼き上がる香りも含めて、ここでしか味わえない体験。心も身体もじんわり温まります」
雪深い津軽を走る、冬だけの特別な列車旅だ。
【津軽鉄道・ストーブ列車】
[住所]青森県五所川原市字大町7-5
[交通]津軽鉄道 津軽五所川原駅
[営業]2025年12月1日~2026年3月31日
[運行]津軽五所川原駅~津軽中里駅
[料金]乗車券+ストーブ列車券(片道)1000円
羊蹄山[北海道]
真っ白な大地にそびえる蝦夷富士の優美な姿
支笏洞爺(しこつとうや)国立公園の西端に位置し、日本百名山にも数えられる羊蹄山(ようていざん)。標高1898mの独立峰で、どこから見ても均整の取れた円錐形の山容が美しく、「蝦夷(えぞ)富士」の名で親しまれている。冬は周囲の大地が雪に覆われ、存在感がいっそう際立つ。
「真狩村のメインストリートから見上げる羊蹄山は、視界いっぱいに広がる迫力。北海道らしい広大な景色の中、堂々と立つ姿に心を奪われ、冬の澄んだ空気の中で見るとより印象的に」
【羊蹄山】
[住所]北海道虻田郡ニセコ町・倶知安町・喜茂別町・真狩村・京極町
[交通]JR倶知安駅から道南バスルスツリゾート行き、またはニセコバスニセコ駅前行き、「羊蹄山登山口」下車徒歩
郡上八幡[岐阜県]
城と町が白く染まる情緒あふれる城下町
長良川の上流に広がる郡上八幡(ぐじょうはちまん)は、城と町並み、水路が近い距離で重なり合う城下町。冬は雪が町全体をやわらかく覆い、普段とは違う表情に。
「雪をまとった町並みを散策すると、写真を撮りたくなる景色が次々に現れます。山の上に立つ郡上八幡城も冬の見どころ。少し坂道を歩きますが、上から見下ろす雪の町と、雪化粧した城の組み合わせは特別。城と城下町、両方の冬景色を一度に楽しめるのが魅力です」
【郡上八幡(郡上市観光連盟)】
[住所]岐阜県郡上市八幡町鍛冶屋町
[交通]長良川鉄道・郡上八幡駅から「まめバス」赤ルートで約13分
白川郷[岐阜県]
雪に埋もれる合掌造り、絵本のような集落風景
岐阜県北西部の山あいに広がる白川郷は、世界遺産にも登録される歴史ある集落。冬は日本有数の豪雪地帯らしく、集落全体が深い雪に覆われる。
「雪の積もった合掌造りが並ぶ光景は、まるで絵本の世界。集落を巡ると、日本の原風景に触れているような気持ちになります。雪景色は美しいですが、かなり雪深いので、歩くときはスノーブーツや長靴、車は必ずスタッドレスタイヤを。万全の準備で、冬の白川郷ならではの風景を楽しみましょう」
【白川郷観光協会】
[住所]岐阜県大野郡白川村荻町1086
[営業]9:00〜17:00
[交通]バス停「白川郷」から徒歩約15分
銀山温泉[山形県]
雪と灯(あか)りが織りなすノスタルジック温泉街
銀山川の両岸に木造旅館が連なる銀山温泉。雪が積もる冬は、街全体がしんと静まり返る。大正ロマンの面影を残す街並みは白いベールをまとい、より奥行きのある表情に。
「雪に包まれた温泉街を歩いていると、時間がゆっくり流れているよう。夜になるとガス灯がともり、一気に幻想的な雰囲気に変わります。写真を撮る手が止まらなくなる美しさです。冬は特に人気なので、交通規制や入場制限について事前に公式サイトを確認してから訪れるのがおすすめです」
【銀山温泉】
[住所]山形県尾花沢市銀山
[交通]山形新幹線・大石田駅からバスで40分(終点下車)
鶴ヶ城[福島県]
雪化粧した白壁が映える冬だけの名城美
会津若松の象徴として親しまれる鶴ヶ城は、正式名を若松城といい、日本で唯一赤瓦を持つ。積雪の多い会津の冬には、白壁と赤瓦が冬の白さに包まれ、まるでモノクロの世界に浮かぶような美しさを見せる。
「東京から雪景色を楽しめる城としていちばん近く、雪が積もった姿は格別。冬ならではの表情を堪能できます。晴れた日は青空に白い天守が映え、思わず見とれます。四季折々に姿を変える名城を堪能してみては」
【鶴ヶ城】
[住所]福島県会津若松市追手町1-1
[営業]8:30~17:00(入場締め切りは16:30)
[料金]大人410円[天守閣・麟閣共通券 大人520円]、小中学生150円
[交通]JR磐越西線・会津若松駅からバス約10分、会津鉄道・西若松駅から徒歩約17分
教えてくれたのは……上田きょうこさん●トラベルインフルエンサーとして国内外の魅力的な旅先を紹介。独自の視点で隠れた名所や地元グルメを発掘し、SNSで発信している。
取材・文/鈴木恵理子
