昨年11月、ある日の深夜。芸人でピコ太郎のプロデューサーとしても知られる古坂大魔王さんを激痛が襲った。それは発症すれば“再発の恐怖”が一生つきまとう痛風の発作。「仕事と育児の両立、運動習慣もなく、コーヒーがぶ飲み」と忙しさを理由に身体のケアを後回しにした代償は、想像以上に重く……。
中の筋肉に低周波を当てられているような強烈な痛みが
「深夜2時、右足の親指付近に激痛を感じて目が覚めたんです。足を木の棒で思いっ切り叩かれているような、足の親指の皮を剥いで中の筋肉に低周波を当てられているような、とにかく感じたことのない強烈な痛み。
何コレ!? って訳がわからなくて。トイレに行こうとしても痛みで動けず、結局這いつくばって右足を上げたまま廊下を2センチずつ進んでいたら、奥さんに何してんの?って笑われました」
そう話すのは、芸人で、世界的シンガー・ソングライター、ピコ太郎のプロデューサーとしてもおなじみの古坂大魔王さん(52)。
昨年11月初旬、腫れ上がった右足の写真とともに痛風の発作に見舞われたことを《風が吹かなくてもいてーよ!》とXで公表した。
古坂さんを襲った痛風は、生活習慣や加齢、疲労などで体内の尿酸値が過剰に高まり、足の親指の関節などに尿酸の結晶がたまって腫れや激痛を引き起こす病気。長期的な治療が必要で、自己判断で治療を中断すると発作が再発することが多い。
男性の病気と思われがちだが、近年はホルモンバランスの変化や生活習慣、ストレスなどによって中高年の女性患者も増えつつある。
「痛風の発作が起きたのは金曜の夜中で病院は土日休み。激痛は2日間続き、ほぼ寝たきりのまま鎮痛剤のロキソニンで騙し騙しやり過ごしました。しかもこの週末は、ちょうど2人の子どもたちの七五三のお祝いと旅行で、久々に3日間休暇をとっていたんです。発作で全部キャンセルになってしまい、かなり凹みました」(古坂さん、以下同)
3日後にようやく病院へ行くと、痛風の診断を受けた。
痛みは10日間続いた
「“やっぱり”という思いと同時に、先生に診断してもらったことで気持ちが落ち着き、痛みも減った気がしました。一方で、また一生の病気にかかってしまったのかとショックも大きくて。
僕は30歳のときに、免疫の異常で関節に炎症が起きるリウマチになり、長年治療を続けて、ようやく治ってきたところだったんです。そしたら今度は痛風って! 感情の起伏が激しい彼女と別れて、次は優しい人だと思って付き合ったら、また激しかったみたいな感じです(笑)」
しかも尿酸値の急激な変動は発作の再発につながるため、痛みが引くまで尿酸値を下げる治療薬は服用できなかった。
「発作から4~5日後には右足がさらにパンパンに腫れてきて、痛みも10日間続きました。激痛で靴が履けないので、仕事に行くときはずっとサンダルでした。発作から5日後に踊る仕事が入っていて焦りましたけど、不思議と本番中はまったく痛くなかったです」
肉や魚卵などプリン体を多く含む食品やお酒の過剰摂取によって発症の可能性が高まる痛風。しかし古坂さんは芸人仲間との飲み会も年に数回ある程度で、家族と食事することがほとんどだったそう。
「確かにプリン体の多いレバニラは大好物でよく食べていましたが、自分の感覚としては食習慣よりも加齢やストレス、疲れ、運動不足が大きかったなと思います。今年、僕がプロデュースするピコ太郎の代表曲『PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)』がリリースから10周年を迎えるので、昨年からそのカウントダウンでさまざまなプロジェクトをYouTubeなどのSNSで配信していて。
曲やMVの作成も全部自分でやるので、半年近く寝る間も惜しんでスタジオにこもっていたんです。15時間こもりっぱなしなんて日も珍しくなかったですね」
さらに古坂さんは育児も積極的に参加し、仕事の合間に子どもたちの送り迎えやお世話も欠かさず行ってきた。
「毎朝7時に起き、子どもたちと朝食を食べてから保育園に送ったあと、スタジオで夕方まで曲作りや収録などの作業。一度、帰宅して保育園へ迎えに行き、晩ごはんを食べさせてからラジオの生放送に行くか、ラジオがない日は子どもとお風呂に入って寝かしつけ、それからまた深夜までスタジオ作業なんて日もよくありました。名古屋や大阪、仙台に行く日も多く、とにかく忙しかったですね」
スタジオではごはんも食べず作業に没頭してコーヒーばかり飲んでいたため、カフェインの利尿作用で痛風の原因となる水分不足も深刻に。
「身体の疲れやストレスだけでなく、運動不足も慢性化してましたね。スタジオではトイレのときしか歩かずに歩数計が78歩なんて日も」
現在は、毎日治療薬を飲みながら、月に1度病院で尿酸値確認の血液検査を受け、経過を見ている。
発作が起きないための生活習慣に
「あれから発作は起きていませんが、またあの激痛に襲われるんじゃないかっていう恐怖はずっとありますね。大事な仕事の日に発作が起きたら、旅行先で起きたらって考えてしまう。でもそれだと精神的にやられちゃうんで、なるべく考えないように頑張っています。あとは、とにかく発作が起きないための生活習慣を心がけていますね」
発作を防ぐには、尿酸値を一定にコントロールすることが欠かせない。
「水分不足で老廃物の排出が滞ると尿酸値が上がってしまうので、とにかく水を飲んでいます。今はコーヒーをやめて、常温水を1日2リットル飲んでますね。冷水だと量が飲めないので。あとは運動。もともと柔道と総合格闘技をやっていたので復活するのと、来年からジムも通う予定です」
暇があればスクワットもしているという古坂さんだが、発作後は右足に違和感を感じるようになった。
「痛風の痛みがある間は右足を使わなかったので、筋肉にばらつきが出てしまい、右足に負荷がかかると痛いんです。今も右側のゴミを拾ったりするとガクンと重心を崩してしまう。もはやリハビリが必要なレベル。痛風発作による筋肉低下は要注意です」
なにより今回のことで、ようやく自分の身体にも目を向けるようになったと古坂さん。
「年齢的にも脳梗塞や心筋梗塞で突然死してもおかしくなかったなと思ったんです。それぐらい忙しかった。そう考えると痛風でよかったなと思います。だから夜中にスタジオにこもって作業をするなどの無理はやめました。仕事や家庭だけでなく、健康も含めた3つをうまくやろうと心がけるようになったんです。
これはすごく大きな変化ですね。ピコ太郎『PPAP』誕生から今年で10周年。配信リリースが続きますが、身体も気遣いながら引き続き頑張ります! ピコ太郎の『PPAP』10周年プロジェクト配信もぜひ毎月チェックしてくださいね~!」
取材・文/井上真規子
