黒田清子さんのティアラで成年式を迎えられた愛子さま(撮影/JMPA)

 1月18日、天皇、皇后両陛下と長女の愛子さまは、両国国技館で大相撲を観戦された。

叔母・黒田清子さんのティアラ

当初は陛下のみとされていましたが、当日、会場には3つの椅子が用意されていました。“もしかして”という期待と緊張で見守っていると、陛下と一緒に雅子さまと愛子さまが登場されたのです」(皇室担当記者)

 星取表を記入しながら、後方に座っていた日本相撲協会の八角信芳理事長に大きく身を乗り出して質問されていた愛子さま。『皇室の窓』(テレビ東京系)で放送作家を務めるつげのり子さんは、愛子さまの相撲好きについてこう振り返る。

「'06年、陛下が皇太子時代のお誕生日記者会見で、当時4歳だった愛子さまが力士の名前をフルネームで覚えていらっしゃるとお話しされていました。また、『だれだれに、星がついたよ、うれしいな』と五七調の文を作られたエピソードからも、相撲への深い愛情が伝わってきました

 天覧相撲での愛子さまのご様子とともに注目されたのが、着用されていた桜色の振り袖だ。

「学習院大学の卒業式でお召しになった振り袖と同じものでした。卒業式のときは袴で見えていなかった全体が見えて、金色の短冊の中に菊などの花々が描かれた華やかな文様は新年にふさわしい“晴れ着”でしたね」(つげさん)

 ネット上では《お召し物を大切に着ていらっしゃるのはすてき》《同じ着物を二度も正装に使うとは素晴らしい》と絶賛の声が上がった。愛子さまの“ものを慈しむ心”は着物にとどまらない。

女性皇族は成年を迎える際にティアラを新調されますが、愛子さまは当時、コロナ禍で苦しむ国民を思い、叔母の黒田清子さんのティアラを引き継ぐことを選ばれたのです。その後、今年の新年祝賀の儀まで、6年間ティアラの新調を辞退し続けていらっしゃいます。

 また昨年の『歌会始の儀』では、雅子さまがかつて着用されたクリーム色のドレスを、愛子さまがお召しになられたことも話題になりました」(前出・皇室担当記者)

雅子さまから愛子さまへ

 こうした慈しみの心は、代々受け継がれてきたものだ。

「'93年、当時、皇太子だった陛下とのご結婚にあたって、雅子さまは一般の結納にあたる『納采の儀』に着物で出席されました。その際の帯は、昭和天皇の后の香淳皇后から美智子さまへ、そして雅子さまへと譲られた由緒あるものでした。世代を超えて受け継がれていることがわかります」(つげさん)

 親の着物を子が受け継ぐのは日本の伝統的な習慣だが、洋服を代々着用するというのは珍しい。ファッションジャーナリストの日置千弓さんは、皇室で洋服の継承文化が顕著になった背景をこのように解説する。

「美智子さまの時代はオートクチュールが主流で、一着一着がその方のためだけに作られた特別なものでした。

 一方、雅子さまは外交官として活躍され、機能的で洗練された既製服をスマートに着こなす現代的な感覚をお持ちでした。いわば雅子さまが、上質なものを代々大切に使うという今の時代に通じる合理的な精神を、皇室に持ち込まれたといえるでしょう。そこに現代の“サステナブル”な意識が重なり、母から子へと受け継ぐ新しい継承文化が生まれたのではないでしょうか

 洋服を受け継ぐこと自体、日本独自の文化だという。昨年の「歌会始の儀」の愛子さまのドレスについては、

2026年1月18日、天覧相撲をご一家で観戦される天皇陛下、雅子さま、愛子さま(写真/JMPA)

愛子さまと雅子さまは体形も異なるので、おそらくお直しをされているはず。雅子さまは大ぶりのパールを合わせて華やかに、愛子さまは小ぶりのパールで初々しく。同じ一着でも、着る人によって雰囲気が変わり、新たに生まれ変わったような印象を与えてくれます」(日置さん)

 日置さんは、このドレスからも、雅子さまと愛子さまにこんな会話があったのではないかと推察する。

「おそらく宮内庁ではお洋服や小物を写真などで整理されているのでしょう。“お母さまの持ち物で使えるものはないかしら”と親子で相談されるお姿を想像すると非常に微笑ましいですね

紀子さまから眞子さん、そして佳子さまへ

 こうした意識は天皇家に限ったことではない。1月9日に行われた「講書始の儀」で秋篠宮家の次女、佳子さまがお召しになったドレスは、過去に母の紀子さまや姉の眞子さんも公務で着用されたことのあるものだった。

「お召しになっているドレスは構造上、仕立て直しが非常に難しいのですが、骨格の異なるお三方の着こなしを拝見すると、その都度丁寧にサイズを調整されていることがうかがえます。手間を惜しまず、母娘だけでなく姉妹間でも大切に受け継がれるその姿勢には、現代の私たちも学ぶべきものが多いと感じます」(日置さん)

1月9日の「講書始の儀」で、約30年後、紀子さまと佳子さまが同じお洋服をお召しに

 母から子へ、姉から妹へと受け継がれるのは形があるものだけではないようだ。

昨年9月、悠仁さまの成年式では、佳子さまは子さんがペルーとボリビアを訪れた最後の海外公務で着ていたワンピースをお召しになりました。それは出席できなかった眞子さんが、すぐそばで見守っているかのようでした。

 また、愛子さまが雅子さまのバッグを身につけられたのも、'24年の初めての単独公務に臨まれた際のことでした。さらに、翌年の『歌会始の儀』に初めて出席されたときにお召しだったのも、雅子さまから譲り受けたドレスでした。大切な節目に服や小物に込められた“思い”とともに、その重責を引き継いでいらっしゃるのかもしれません」(前出・皇室担当記者)

 長年、皇室のファッションを見続けてきた日置さんは、昨今の変化をこう結ぶ。

「服を代々受け継ぐという精神が、現代のサステナブルの価値観と共鳴し、女性皇族の新しいスタイルとして定着していることは大変喜ばしいこと」

 お召し物や小物、アクセサリーなど、そこに込められた“思い”は、次世代へと受け継がれていく。

つげ のり子 西武文理大学非常勤講師。愛子さまご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の『皇室の窓』で構成を担当。著書に『素顔の美智子さま』など