監督会議に参加したセ・リーグ監督。上段左から時計回りに、阪神タイガースの藤川球児監督、横浜DeNAベイスターズの相川亮二監督、読売ジャイアンツの阿部慎之助監督、東京ヤクルトスワローズの池山隆寛監督、広島東洋カープの新井貴浩監督、中日ドラゴンズの井上一樹監督

 1月20日、東京都内のホテルで日本プロ野球の監督会議が開催され、12球団の監督が一堂に会した。

 今シーズンのスケジュール確認や野球規則改正事項の説明、試合運営に関する各種の確認や報告事項が行われた今回の会議。監督たちも、この日はユニフォームを脱いでそれぞれのスタイルで登場した。

 そこで今回、TBS『ラヴィット!』やNHK『ノーナレ』『あさイチ』など数多くのメディア出演がある株式会社SPSO代表スタイリストの霜鳥まき子さんに、各監督のファッションチェックを依頼! プロの目線から見た“おしゃれ番長”は果たして……。

チーム成績もファッションに影響!?

 まずはセ・リーグで昨年1位に輝いた、阪神タイガースの藤川球児監督。

「グレンチェック柄のジャケパンスタイルですが、お上手に着てらっしゃるなと思いました。何人かの監督がポケットチーフをお着けになっていますが、藤川さんはどなたかファッションの“指南役”がいらっしゃるんじゃないかなと。解説者やコメンテーターのお仕事をなさっている方は、そのときに一度スタイリストさんがついていると思います。また、タイガースは『SADA』というオーダースーツ屋さんとお付き合いがあるようなので、そちらの知恵もあるのかもしれませんね」

阪神タイガースの藤川球児監督

 また、藤川のスタイリングに関してはこんな推察も。

「藤川さんに関しては、チームメイトだった鳥谷敬さんなどのオシャレ路線を行ってるんじゃないかなとも思っていました。鳥谷さんは、スタイリストをつけずにご自身で衣装を選ぶそうです。藤川さんは以前、インタビューでそのことを語っていたので、ご自身もいろいろと模索しながらやっているのかなと思います」

 昨年の成績も、ファッションに影響している!?

「ジャケットとネクタイが柄物ですが、なかなか今までの監督のイメージでは、こういう着方をする方はあまりいなかったと思います。柄のジャケットで、中のシャツもタイもチーフも全然違う感じになると大渋滞になっちゃう。でも、藤川さんの着こなしはそれぞれに統一感があるので、ジャケットがいい意味で浮き出てくれていますね。色味も落ち着いた感じの合わせ方をされていて、サイジングもすごく上手。綺麗に着てらっしゃると思います。スラックスなど気になる点もありますが、ジャケットを着てきた辺りにも“1位の余裕”が見えますね

 続いて横浜DeNAベイスターズの相川亮二監督は、爽やかなスーツスタイルだ。

「とてもさわやかで、まるで政治家の方みたい(笑)。ネクタイの色味はチームカラーを意識されているのかもしれませんが、ご自身の肌色をよく分かっているなと思いました。まさに、ベイスターズにうってつけの肌色! 真っ白なシャツに青いネクタイをして似合う人は限られます。いわゆるブルーベースという部類になりますが、肌に黄色味がないから、配色がよく合っていて清潔感があるなと思いました」

横浜DeNAベイスターズの相川亮二監督

 相川のスーツスタイルに、霜鳥さんは太鼓判を押す。

「奇をてらった感じでもなく、スーツも今時でも古くもなく、ちょうどいい感じ。パンツも脚の形に綺麗に合っていて、シューズも内羽根の黒という、本当に“初めてスーツを着る人はこう着てください”と教科書に載せたいくらいの感じです。誰にも嫌われない、好感度の高い見事なスーツの着方です。この監督会議のことをすごく大事にしてらっしゃるのかなと、言葉を聞かなくてもなんとなく感じました」

監督ファッションには惜しいポイントも…

 読売ジャイアンツの阿部慎之助監督は、明るいライトグレーのスーツで参戦。

読売ジャイアンツの阿部慎之助監督

「今回見た中で、おそらく1番上質な生地のスーツだと思います。ただ、それによって、すごくシワが入りやすいんです。これだけ肩幅がしっかりある方だと、柔らかい生地のほうが着やすいんですけど、やっぱりそこにはケアが伴ってくる。一旦お座りになったりすると、すぐにシワが目立っちゃうんです。また、今回はライトグレーというチョイスなので、さらにシワが目立つんですよね」

 阿部のコーディネートには、さらに惜しいポイントも。

「お腹周りが少しふっくらされてきたのかなと思いますが、さらにパンツの裾をダブルにされているので、スラックスが下に溜まっちゃう。それがちょっともったいないのかなと。あと、阿部さんだけおそらくスニーカーを履いていらっしゃいます。せっかく上質感のあるスーツなので、その現場だけでもレザーシューズをお召しになってくださってると嬉しいかなと思いました」

 一方、スーツ選びは高評価の様子。

「阿部さんが素晴らしいのは、色のチョイス。ライトグレーはすごくよく似合っています。昨年のドラフト会議ではチームカラーであるオレンジのタイを着けていらっしゃった関係で黒のスーツを着ていましたが、全然印象が違いますね。個人的には、阿部さんにはグレーのほうがお似合いかなと」

 この日、スリーピースのスーツで登場したのは、中日ドラゴンズの井上一樹監督。

「ご自身のキャラを分かってらっしゃる感じがしますよね。ただ、阿部さんと同様に、やっぱりお腹周りがどうしても見えてしまう。それもスリーピースだと、余計にだらしなく見えてしまいます。こちらもオーダースーツかと思いますが、おそらく井上さんのことを考えて、少し肩幅を大きく作っていただいてるのかなと。昨今はナチュラルショルダーという形が多いので、井上さんのスーツはちょっとクラシックな感じがします。それが井上さんの雰囲気に合っていると、テーラーさんが思われたのかもしれませんね

中日ドラゴンズの井上一樹監督

 フォーマルな印象を生む“スリーピース”ならではのポイントも。

「ネクタイやチーフ、時計などの小物は、青白でチームカラーに合わせているのかなと。個人的に惜しいなと思ったのは、シューズ。スリーピースなので、茶色じゃなくてもうちょっと重たい感じの色味でも良かったかなと思います。あと、シャツを見ると、カラーの中心がちょっと合ってないんですよね。スリーピースは“完璧さ”のようなところが求められます。せっかくここまでシャレっぽく着ていただいているので、その辺りにもうちょっと配慮があると、よかったかなと思います」

「ファッショニスタ」と「スーツマスター」は

 広島東洋カープの新井貴浩監督は、チームカラーの赤いネクタイを着けたスーツスタイルだ。

広島東洋カープの新井貴浩監督

「ちょっと太めの、チョークで書いたようなストライプにあたるスーツ。やっぱり赤色を着けなきゃというのがあるので、グレーや黒などスーツは限られてきますね。新井さんはしっかりとした骨格をされているので、このストライプの感じにも全然負けていないなと思いました。これを小柄な方が着ると、ちょっと負けちゃうので。ご自身でバランスを考えて、無地よりかは少しこういう柄を入れたれたのかなと思いました。シャツは“ホリゾンタル”という、ほぼ180度で広がるようなカラーにタイの結び目を大きく作り合わせられていますが、それもバランスがいいですね」

 もしや完璧?……と言いたいところだが、まだ改善できるポイントがあるようだ。

「スラックスがちょっともったいないなと。テーパードでもないし、ストレートでもないし、ワイドでもないという感じなので、もしかしたら身体がちょっと大きいときに作られたのかもしれません。このスラックスが、ほかの監督が履いていらっしゃるぐらいのボリュームだったら、もう完璧にかっこよかったなと思います

 最後は、東京ヤクルトスワローズの池山隆寛監督。全体的にダークカラーでまとめたワイルドな雰囲気だ。

池山さん、“ちょいワル”な感じですよね。こなれすぎてて、監督というよりアパレルの方みたいです(笑)。でも、以前のコーディネートを拝見すると、洋服をあまり気にしていなかったんだなという感じの装いが多かったので、よくぞここまで素敵になられたなと。お1人だけ親指にリングも着用されてて、アイウェアやシャツの色も相まって見事な“ちょいワル”ファッションに仕上がっていますね」

東京ヤクルトスワローズの池山隆寛監督

 12球団の監督で最年長、60歳ながら攻めたスタイルが功を奏したようだ。

「ご自身の体型に合わせて、色を極力少なくして、“こなれ”とか“シック”を感じさせる、素晴らしい着方だと思います。縦にすっと落ちていく、シャープさが出るシルエットで、ジャケットの質感も光沢が出ていてすごく綺麗。ここにネクタイやシャツがコントラストで効いてると話は別ですが、池山さんの場合はイタリアの方たちの着こなしに少し近いというか。ワンショットで見ると、本当に監督かなっていう感じ(笑)。こういう感じの方々が出てくると面白いですよね」

 それぞれのスタイルで監督会議に参加したセ・リーグの面々。6人の中で、霜鳥さんが決めた「ファッショニスタ」と「スーツマスター」は……。

ファッショニスタ:藤川球児(阪神タイガース)

スーツマスター:相川亮二(横浜DeNAベイスターズ)

 との結果でした!

 霜鳥さんは、“野球人”のファッションのポイントをこう語る。

「野球選手の場合は、サッカー選手などと骨格や肉付きがまた異なります。胸筋を含めた上半身がとても発達されているので、やっぱりジャケットが似合いやすい。身長もあるので立ち姿も綺麗なのですが、何名かの監督はパンツのほうが少しもったいないなという印象でした。お腹が出てしまったりすると、素材が身体の形を拾いやすいものの場合は見栄えが悪くなってしまいます。なので、ガタイが良い方は藤川さんぐらい生地が厚いものをオススメしたいです。パンツのシルエットや素材感をきちんと考えないとバランスが取りづらいのが、野球選手のシルエットの難しいところかなと思います」

 もう1つ、全監督を通して感じたことがあるという。

「みなさん比較的に、ご自身の肌色をよく分かっているなと思いました。セ・リーグだと阿部さんや相川さんが特にそうですが、似合う色を着てらっしゃったのが印象的でしたね」

 新シーズンが待ち遠しい中、3月にはWBCも予定されている野球界。選手や監督のファッションにも注目!