昨年、芸能活動20周年を迎え、国民的アイドルから俳優として、ますます活躍する彼女のラスト写真集『Beste』の発売が決定。1児の母として、働く女性として、子育てや仕事への向き合い方から、結婚と離婚を経た前田さんの恋愛観・結婚観まで独占告白!
時間もお金もとことんかけました
「“もう1回やって”と言われても無理ってくらい、やれることは全部やったから、これが最後の写真集。結婚式でウエディングドレスを着る花嫁のような気持ちで頑張りました」
昨年、芸能活動20周年を迎えた前田敦子。『NHK紅白歌合戦』での「AKB48 20周年スーパーヒットメドレー」の興奮も冷めやらぬなか、2月16日に写真集『Beste』(ベステ)を発売する。
タイトルはロケ地、オーストリア・ウィーンの公用語であるドイツ語で、意味は英語のベスト(=最高の)。「過去の写真集を上回ろう」と企画がスタートし、「自分史上最高の仕上がりになった」ことから決定した。
AKB48の絶対的センターとして一時代を築き、現在は俳優として新たな道を歩いている彼女。今作では、息をのむほど見事なボディラインで過去最大の露出にも挑戦している。その身体は冒頭の言葉にも表れているように、まさに努力の結晶。
「時間もお金もとことんかけました。なので、ありのままの私ではないです」
と笑う。さまざまなランジェリーや、まねしたくなるナチュラル&オシャレな服を纏う姿は、男性だけでなく女性もうっとりする美しさだ。
「男女共に魅力的に思ってもらえる体形を目指したんです。細くなりすぎず、プリッとした女性らしさは残しつつも締まった身体にするのがとても大変でした。体重を落とすだけなら、私は体質的に比較的簡単なんです。でも“触れたいな”と思ってもらえる身体じゃないと意味がないので」
撮影前の1か月間に最後の追い込みをかけ、「実験台みたいにあらゆることをやった」と言う。中でも、女性らしいラインづくりにいちばん向いていると感じたのはピラティス。
「追い込み期間中は週3くらいで通いましたね。特に背中とお尻を鍛えました」
バックショットでの背中やヒップはまさに世の女性の理想像。背骨の麗しさも必見だ。また、特にキツかったというのが食事制限。撮影中の5日間は「食べるという選択肢を選べないので、いちばんキツかった」と振り返る。
20代のときのほうが、がむしゃらに恋愛に向き合えてた
「だから最終日に思いっきり食べられた幸せな気持ちは忘れられない。日本に帰ってからは、まずお昼ごはんに家でお寿司を食べて、そのあとは子どもと2人でパーティーをして。5日間くらい、毎日ずっとフードファイトみたいに食べまくってました(笑)」
写真集のテーマは、大人の恋。ウィーンを舞台に、“こんな恋がしたい”と思えるような没入感たっぷりの写真が収められている。ウィーンの印象を尋ねると、「心に焼きつけたくなる、大人な街でした」と。
「街並みがきれいで人も優しくて、通りがかったらピースしてくれたり。歩いていたらおじさんが道端でバイオリンを弾いているのを見かけて、それも素敵だった。すごく深呼吸ができるというか、いい空気感がある街。
撮影しながら、久しぶりに恋人が欲しいと思いました。“こんなところに連れてきてくれたら絶対に好きになる”と妄想がふくらんだりして」
ということは、もしや近々、恋愛報道が!? なんてことをこちらも妄想してしまうが、それはさておき。結婚、出産、離婚を経験し、現在は小学校1年生の息子を育てるシングルマザー。若いころと現在で、恋愛観に変化はあるのだろうか?
「大人になればなるほど、“恋愛って何だっけ?”と思うようになってきて(笑)。若いときって、簡単に好きになったり付き合ったりできるじゃないですか。でも大人になると“あれ?恋愛ってどうやってするんだろう?”みたいな。私は今、その壁にぶち当たってるかもしれないです。超リアルな話ですが。
ちょっとキュンとしても“気のせいかも”と思っちゃったり、少し時間がたてば忘れちゃうという感覚を覚えてしまって。20代のときのほうが、がむしゃらに恋愛に向き合えてたな、大人になるってこういうことなのか、と思っているところです」
だが“寂しい”という感覚は特にないという。
「恋愛はちゃんとしてきたほうだと思うんです。なので、今、恋愛がなくても楽しいと思えるのは、自分にとって新しい感覚ですごく好き。子どもがいることで満たされているから、というのも正直ありますけどね」
ただ一方で、将来のことを考えると、また違った気持ちも芽生えてくる。
「結構いい男なんですよ、うちの息子(笑)。すごく優しくて、女心がわかってるというか。だから、あっという間に彼女ができちゃいそう。子どもに依存する気はまったくないですけど、そういう日が来たらきっと寂しいんだろうなっていう、ちょっとした不安はあります。
結婚願望みたいなものは今のところないけれど……ないと言い切りたくはないんですが(笑)、隣に当たり前にいられるパートナーのような人は欲しいなと思います。今、ひとりで子育てをして生きている感覚のまま、気づいたら隣にいてくれた、というような感じがいちばんの理想。
頼るでも頼られるでもない関係というか。出会うのは難しそうですけどね。いつかタイミングが来れば出会えるんじゃないかと。……って、同じことをよく言っている友達がいるんですけど、その子はずっとひとりです(笑)」
子育てや多方面にわたる仕事。どうやって時間をやりくりしているのか不思議になるが。
子育ては自主性を大切に
「でも、子どもも私の仕事のことはわかっているので、ついてきてくれたりするんです。写真集の準備で韓国の美容施術に行ったときも、楽しそうに待っていてくれて。
日本もそうですけど、事前に聞くと“お子さん大歓迎です”と結構言ってくださるんですよね。で、終わったら“頑張ればこんなこともできるよ”という気持ちを込めて、子どもが好きなことをやったり」
少年ジャンプのキャラクターにハマっているという息子さん。『ダンダダン』や『鬼滅の刃』『チェンソーマン』などが大好きで、「キャラクターの名前は私よりはるかに詳しいんですよ」と語る。
「私は親からやりたいようにやらせてもらって、自分で判断して生きてきたタイプ。それで今があるので、子どもも同じように育てたいと思っていて。自主性を大切にしています」
引っ込み思案のため14歳で芸能界入りした当初、大人とうまく関われなかったことを鑑み、「“大人の世界はこういうものだよ”って、仕事現場もバンバン見せるようにしてます」と。
「そのおかげか私の引っ込み思案は受け継がれず、物怖じせず誰とでも話す子になってくれてうれしいですね。“大人って大変、なりたくないな”とも言ってますけど(笑)。でも、そうやって自分の道を見つけてくれたらいいなと思ってます」
また彼女が感嘆するのは、学校の友達との関係性。
「小学生って普通、同学年としか話さないじゃないですか。うちの子は、上級生とも仲良しなんです。運動会に行ったらいろんな子が“おはよう”“元気?”ってやって来て、“うわ、大人気だな”って思いました(笑)。
たぶん全学年に友達がいるんじゃないかな。だいぶ態度のでかい1年生なので(笑)、年上の子からそこが可愛いと思われてるのかも。いろんな学年の子が仲良くなれる環境で、先生たちもうまく間に入ってくださって、素敵な学校だなと感じてます」
と優しい表情で微笑む。これからの30代後半〜40代でどんな女性になっていきたいかという質問にも、「子どもを守っていかなきゃいけないという感覚がすごくあって」
と、息子のことを第一に考える母としての答えが。
「この先いろんな人間関係に悩む日が来るだろうから、何かあったときにちゃんと守れる母親でありたいなと。でも、強くはありたいけど、過剰にはならず。母親って、母熊みたいに(子を守るために)強くなりすぎてしまいがちだけど、そうではなく、いいバランスを見つけていきたいですね」
頼もしい母としての顔と、写真集での魅惑的な佇まい。正反対のように見えるが、凛とした強さは地続きだ。「簡単な気持ちで出すつもりはなかった」と、打診から半年間熟考し、「最後の写真集として、自分としっかり向き合って作ろう」という決意が結実した一冊。
身体づくり以外にも、テーマや撮影場所、衣装など、打ち合わせ段階から綿密に携わったという。
「特にランジェリーはかなりこだわって選びました。何回もミーティングをして、フィッティングも2回。全体のバランスを見て、透け感を入れたほうがいいとか、こういう色を入れたほうがいいなど、計算をし尽くしました。
日本のランジェリーショップは本当に全部見たくらい。スタイリストさんにもあらゆるショップを探してもらって。“もうこれ以上はない”というくらい、寝る間も惜しんで探してくれたんです」
最後に刊行した写真集『不器用』から14年。過去に発売された写真集と今回の写真集はまったく異なるそうだ。
不安になる演技のほうが評価されたりする
「今まで写真集は何冊か出していますが、当時は本当に自然体で、ほぼそのままの私でした。正直、あまり深く考えずに撮影していたので、基本的にはスタッフさんにお任せしていました。
ただ、今回は制作の工程が全然違う。打ち合わせから細かく入って、しっかりテーマを据えて『作品を作る』という感覚に近かったです。今回はみんなで意見を出しまくりました。久しぶりに『戦った』という感じがして、楽しかったです」
内容を考える上でこだわったのは、自分の過去作も含め、ほかの写真集と同じにならないようにすること。相当な数の写真集を見て研究したという。
「ほかの方がやっていないことをやらないと意味がないし、そういうものを探すのはとても大変な作業でした。撮影場所にウィーンを選んだのも、あまり使われていない穴場というのが大きかったです。結果的に大正解でした」
撮影終了までは「“普通、女優さんはやれないでしょ”ということにたくさん挑戦して、“普通ならここまでかな”を超えられたと思う」と、できることを全部やりきり、写真のセレクトは逆に「“このカットしか嫌だ”みたいなことは絶対に言わないと決めていた」と言う。
「むしろ、私は選んじゃいけないと思っていて。自分がいいと思うものと他者がいいと思うものは違う。この仕事をしていると、本当に実感します。芝居でも、自分がパーフェクトだと思う演技より、“大丈夫かな”と不安になる演技のほうが評価されたりするんです」
これと決めたら徹底的にやり抜くストイックさと、俯瞰で自身を見る視点と。主観と客観を絶妙なバランスで保ちながら活動する前田。30歳で個人事務所を立ち上げフリーとなってから、オーラはさらに増しているように映る。
「事務所所属とフリー、どちらが合うかは人それぞれだと思うんですが、私の性格的にはフリーランスが合っていたなと。“前田敦子”という自分自身が職業なので、責任感もものすごく強くなりました。あと、うやむやなことがひとつもなく、どの仕事でもすべての過程を把握できるので、自分に自信が持てますね(笑)」
その存在感は唯一無二。仕事も子育ても全力投球で輝き続ける“あっちゃん”のこれからが、ますます楽しみだ。
取材・文/今井ひとみ
まえだ・あつこ 1991年7月10日生まれ、千葉県出身。'05年にAKB48の第1期生としてデビューし、“絶対的センター”として国民的な人気を獲得。'12年にグループを卒業後は、俳優・歌手として活躍中。
