「『ばけばけ』の制作が発表され、脚本はふじき(みつ彦)さん、そして怪談がテーマの朝ドラということで。視聴者として“どんな作品になるんだろう?”と楽しみでしたし、“出たいな”と(笑)。やっぱり役者としてはそんな思いもあって」
と、話すのは濱正悟。純粋に放送を楽しみにしていた中、出演オファーが届いたという。
『ばけばけ』“半分弱”の庄田を好演
「機会をいただけてとてもうれしかったですし、どのような役で参加できるのか。ワクワクとドキドキの気持ちでした」
その役は庄田多吉で、錦織友一(吉沢亮)の友人。“大盤石”と呼ばれる錦織に対し、“半分弱”と自称するが、れっきとした秀才だ。トキ(高石あかり)が上京した際に出会っているが、しばし時間が流れ、1月23日より再登場。
正規の小学校教員を目指すサワ(円井わん)にサロン“白鳥倶楽部”で勉強を教えながら、惹かれ合っていく。庄田は、サワのどんなところを好きになったのかと聞いてみると、
「これは、見てくださる方に委ねたくもあるんですけど。監督と話して“決定的な部分はわかりやすくやらずにいこう”という方針になりました。
おサワさんにとってのおトキさん、庄田にとっての錦織さん。特別なものを持ってる人が身近にいて、同じ教育者。そして、おサワさんはまっすぐに生きている。共通点もあり、性格においてもめちゃくちゃ惹かれる部分があったんだと思います。勉強を教える期間は短いけど、確かにそこに特別な気持ちが芽生え始めたときに、一緒にお蕎麦を食べに行って」
濱自身、初めて女性とごはんを食べに行ったときのドキドキ感を思い出したという。
「その緊張からの緩和。思いがより強くなったシーンになったなと思っています。ただ、80回(1月23日放送)で庄田が松江にやって来て、おサワさんと目が合ったときに一目惚れしたっていう感じで見てもらうのも面白いかなと思います。
やっぱり内面を知る前は、外見って気になる部分だと思うので。サロンだけでなく、教師をやっている女性はほぼゼロに等しい中で、まっすぐ勉強に打ち込もうとしているおサワさんの存在は、庄田の中ですごくグッときたんだと思います」
庄田は「いける」と思っていたと思う
心を決めた庄田はサワにプロポーズ!
「あのシーンはカッコよく決めようと思っていたんですけど、やっぱり緊張してしまって(笑)。おトキさんとヘブン(トミー・バストウ)さんの後押しもあって、“いける”と思いつつも“どうかな”っていう思いも。若干揺れながら。でも、どっちかっていうと、やっぱりいけるんじゃないかというのが庄田の気持ちだったと思います」
だが、差し出した手は握られなかった。
「断られて頭が空っぽ(笑)。ショックだけど、やっぱり帰り道はおサワさんのことを考えていたんじゃないかなと思います。“なんでダメだったんだろう?”“おサワさんに何かあったのか?”。ある意味、庄田はまっすぐすぎるので、その思いきりの良さが出すぎちゃったのかな(笑)。
客観的に見ると、おサワさんの“自力で長屋を出たい”という強い信念がわかる。でも庄田は学問は優秀でも、恋に関してはまったくのウブ。器用なタイプの男ではないし、行動する理由として“人がどう思うか”を考え、他人を慮っていることが多いので」
濱自身は、どんな女性に惹かれるかと尋ねると、
「うーん。でも、まっすぐな方! おサワさんってウソがつけないんですよね。おトキさんに対して“別に恨めしくなんかない”“いや、でもなんか……”みたいなことを82回(1月27日放送)で吐露しましたよね。
芯があるように見えるおサワさんのちょっと脆くて、揺れ動いてる部分みたいなものも庄田の中で刺さったんだと思います。今回は、いろいろ感じながら演じられたことが多かったんですけど、それを思い出すと、やっぱりまっすぐで、ウソのない人は魅力的だなと思います」
ちなみに、フラれた庄田とサワの今後に思いを馳せるなら?
「決意を持ってプロポーズして。おサワさんも決意を持って応えなかった。でも、庄田はおサワさんのことを尊敬してるし、人として好きだから、まっすぐに彼女を応援しようという気になってるんじゃないかな。そこが不器用なんですけど(笑)」
「ゆくゆくは自分でも作品を」
明治大学在学中に活動を始め、朝ドラへの出演は『舞いあがれ!』('22年後期)以来、2度目。昨年は俳優デビュー10周年を迎えている。
「そうですね。確かに10年です。でも、30歳を迎えたときにも“30歳になってどうですか?”というような質問をよくしていただいたんですけど、やっぱり役を演じる仕事をしているので。役って年齢を含めて、自分とは全然違ったりすることが多いので。
だから、自分自身のことはそんなに意識していないかもしれないです。自分の中での節目は11周年でも13周年でも、いつでもいいと思っていますし」
今後、どんな俳優になっていきたいと思っているのだろう?
「難しいな。でも俳優って、最初は“待ってる仕事”だと思うんですよね。役がいただけないと始まらないので。でも最近は、作品を立ち上げたり、企画する俳優さんも増えていて。ゆくゆくは自分でも作品を作ってみたいなとは思っています。
お世話になっている監督と“こういうのやりたいね”“僕もやりたいです。こうしたらどうですか?”と話に花が咲くことが多いので。待ってるだけじゃない、何かを生み出していく作業も柔軟に、自由にやっていきたいなと思ってはいます」
英語は得意?
迷いながらも、松江中学の英語教師の道を歩き始めた庄田。演じている濱の発音はとてもきれいだ。
「英語が得意かはわからないですけど、好きではありました。でも、学校で教わる英語は主にライティングとリーディング。スピーキングとリスニングは少なかったと思います。
今回、見切り発車で英会話のオンラインレッスンを受けて、現場に臨んだんですが、英語指導の方から“あの時代の英語は、略す略さないを含めて、今っぽい感じとは違う”と言われ、そのオンラインレッスンはすぐやめました(笑)」
取材・文/池谷百合子 ヘアメイク/佐々木麻里子 スタイリング/徳永貴士(SOT)
