北川景子

 北川景子が「好きなママタレントランキング」(オリコン)で3連覇を果たした。

 ただ、2位の辻希美や3位の藤本美貴のほうが「ママタレ」感は強い。子どもの数も、北川が2人なのに対し、辻が5人で藤本が3人だ。にもかかわらず、北川が1位なのは、むしろ「ママ」以外の要素が大きいのではないか。

精神科医への夢を諦め女優へ

 例えば「女性が選ぶ『なりたい顔』」(オリコン)で8回トップになり、また、昨年の「ドラマやバラエティーで夫婦共演が見たい芸能人カップル」(週刊女性)では、彼女とDAIGOが1位に選ばれた。そのDAIGOは竹下登元首相の孫としても知られ、本業の音楽以外に平日帯の料理番組も持っていて、好感度が高い。

 つまり、世間的な「ママ」のイメージを超越するほど満ち足りて見える存在だからこそ、の得票なのだろう。

 そんな北川がかつて、なりたかった職業は精神科医。夢を変えた理由については、こんな話をしている。

「中学ぐらいまで調子がよかった成績は高校ではなかなか上がらなくて(略)そんなときにスカウトされたんです」

 医師が無理ならモデルや女優で、という、ネットなどで「贅沢すぎる選択」として面白がられている転機だ。

 とはいえ、明治大学に進んで卒業もしていて、入学当初はアナウンサーを目指すことも考えたという。そんな何でもあり的な展望が可能だったのは、天性の「美貌」によるところが大だ。

 生放送の特番で「4分間まばたきしない」という挑戦をした際も、それを成功させたこと以上に、それだけの時間、アップに堪える顔であることがネットなどで絶賛された。

 しかし、である。美は絶対的なものではなく、好みにも大きく左右される。その基準が主観なのか客観なのかは哲学における一大テーマで、哲学者たちを何千年も悩ませてきた。

 で、何が言いたいかというと、筆者はこの人の顔がそれほど好みではない。世間が美人だというのでそうなのだろうな、という感覚だ。

 そもそも、美人系より可愛い系の容姿に惹かれるので、作品を積極的に見ることもなく、要はたくさんいる「有名女優」のひとりにすぎなかったわけだが─。

朝ドラ『ばけばけ』では毒親役

 今期のNHK朝ドラ『ばけばけ』で、彼女の芝居をようやく楽しむことができた。役柄は士族の育ちで、料理もできない奥様。夫が死ぬと、物乞いに落ち、養女に出した実の娘に援助してもらうハメになる。この変則的な「毒親」設定が絶妙にハマっていたのだ。それは彼女が世間公認の「美人」であり、かつ、実人生でも恵まれていることによる幸せなイメージとのギャップが有効だったからだろう。

 そういえば、前作『あんぱん』でも松嶋菜々子が毒親っぽい母を演じ、話題になった。

 本来、幸せな美人というのはやっかみを生じさせがちで、美人女優のスキャンダルはそれゆえに面白い。だが、北川や松嶋のような「失敗しない」タイプにはそれがないから、そのぶん、フィクションに期待すればよいわけだ。もちろん、一寸先は闇なので、夫たちがいきなり不倫をしないとも限らないが─。

 それにしても、北川の勉強が高校で頭打ちにならなければ、彼女がこんなに多くの人に知られることもなく、DAIGOという結構レアな安定株と巡り合うこともなかっただろう。

 女優の人生は、美と幸せについて考えるうえで格好の研究材料。ここまでの北川は、史上有数レベルで順風満帆な例といえる。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。