「足にぴったりの靴を自分で選ぶのは、ほぼ無理。一人でがんばりすぎないことです」
そんな衝撃的なコメントをくれたのは、靴選びのアドバイザー、佐藤靖青さん。では、どうしたらいいのか?
正確な足のサイズがわかっていない!?
「デパートや靴専門店にはシューフィッターという、靴選びのアドバイザーがいるはず。その人に足のサイズ、形を見てもらって、靴を選ぶのがいちばん適切です」(佐藤さん、以下同)
これまで2万人以上の足を見てきた佐藤さん。大半の人が、自分の足の正確なサイズを把握していないという。
「そもそもセンチ表記が同じでも、メーカーによって靴のサイズは違っています。例えば、自分の足は25センチだと思っていても、それは特定のメーカーに限ってのことなのです。
また、足の幅も同じ。足幅を表す単位はA・B・C・D・E・2E・3E・4Eとありますが、シニア世代の人の多くは3E、4Eの足幅広めのサイズを自己申告してきます。ところが、実際に足を測定すると、細めのCや普通幅のDの人が多かったりする。本当の足のサイズを知らない方が多いのです」
正確な足のサイズがわかっていなければ、ぴったりの靴を選ぶのは確かに不可能だ。
「シューフィッターがいないお店もあるので、あらかじめ電話で確認しておくといいでしょう。ほとんどのお店は無料ですが、有料の場合もあるので、要チェックですね。
シューフィッターがいなくても、専門店であればAIを搭載した3D計測器が置いてあったりします。そのデータをもとに、スタッフに靴を選んでもらうといいでしょう」
パンプスは「歩く」ためではなく「見せる」ため
靴にはいろいろな種類があるが、それぞれ選び方は違ってくるのだろうか。
「パンプスは歩くための靴ではないので、長く歩いたら痛くなるのは当たり前です」
と、またまた衝撃的なコメント。
「ハイヒールはもちろん、かかとが低くくても、パンプスは足への負担が大きい靴なのです。元来、歩くためのものではなく、見せるための靴。無理して履いていると、外反母趾(ぼし)になったり、巻き爪の要因になります」
そのため、佐藤さんは「歩くときはスニーカー、仕事や結婚式など必要な場ではパンプス」と、使い分けることをおすすめしている。
「もう1足携帯するのは荷物になりますが、足の健康を考えたら、それほど手間ではないはずです」
どうしてもパンプスで長く歩かなくてはいけないときは、ストラップ(ベルト)の付いたパンプスがいいという。
「パンプスは、足が靴の中ですべりやすい構造をしています。それを防ごうと靴の中で足指が踏ん張ってしまうと、足の健康が損なわれてしまいます。ストラップがあれば“すべり”を防げるので、歩きやすくなります」
気に入ったパンプスに、ストラップがない場合もあるだろう。そんなときは、パンプスバンドを使うのも手だ。透明な輪ゴムのようなベルトを靴に巻きつけ、足のすべりを抑えるものだ。
パンプスを履いた日は「足を休める」のが鉄則
「パンプスで歩き回った翌日はスニーカーを履くなど、足を休めることが重要。毎日、パンプスを履く必要がある人は、家でリカバリーサンダルを履いて足の疲労を回復してほしいです」
リカバリーサンダルとは、足裏のアーチ(土踏まず)をサポートして、足の形を整えるスリッパ。
いろいろなメーカーから発売されているが、佐藤さんはフランスのシダス社のリカバリーサンダル「ウチッパ」を推奨している。
足を休めることをしないで無理を続けていると、足が変形するだけでなく、姿勢や歩き方にも悪影響を及ぼし、ひざ痛や腰痛の原因にもなる。
「最近、日本航空が客室乗務員や空港スタッフに対して、スニーカーの着用を認めたそうです。大手企業も、社員の足の健康を気にするようになったということですね」
スニーカーの正しい選び方、履き方
続けて、スニーカーを選ぶときのポイントを聞いてみた。
「自分の足に合っているかどうかをチェックするには、中のインソールを取り出して確認しないといけません。足幅がインソールにぴったりと収まって、つま先とインソールの先端のアキが1~1.5センチあればOKです」
履き方にも、次のような注意点があるようだ。
(1)靴ひもを緩めてから、履いたり脱いだりする。
(2)靴ひもをしっかりと結んでから歩く。ひもが緩んでいると、足が固定されず、靴ずれや足の変形などの原因になる。
履くたびに靴ひもを結ぶのが面倒という人は、かかとが靴べら状になって履きやすい靴なども最近では売られているとのこと。ただやはり、足が疲れないようにするには、ひも付きスニーカーがベストのようだ。
「高齢者の中には、玄関で靴を脱いだり履いたりするときに転んで、骨折する人もいます。足先が靴の奥まで入っていないのに歩き出してしまったり、きつい靴を無理に脱いだりしてしまうのが原因です」
自分の足に合った靴を履いていると、姿勢もよくなり、歩き方もしっかりしてくる。靴を選ぶときは、シューフィッターに必ず声をかけたいものだ。
自分に合った靴の選び方チャート【スニーカーの場合】
シューフィッターやマシンで、足のサイズを測定
足の長さ(かかとからいちばん長い指まで)、足囲(親指の付け根から小指の付け根までの周囲の長さ)などを測定。その計測データと足の特徴から、足に合った靴を選んでもらったり、気に入った靴が足に合っているかを判断してくれる。
シューフィッターがいない店では……「インソールに足をのせて確認」
スニーカーからインソールを取り出し、インソールのかかと部分に自分のかかとを合わせて、足をのせる。つま先とインソールの先端のアキが1~1.5センチあって、足幅とインソール幅が同じくらいであればOK。インソールを外す際は、スタッフに声をかけるのがエチケット。
試し履きをして“感覚”を確かめる
試し履きは必ず行うこと。靴を履いたときに、少しでもフィットしていない、窮屈と感じたらやめたほうがよい。測定した足のサイズとぴったりでも、最初に履いたときの感覚を大切に。
ネットでの購入は慎重に
届いたあとに試し履きをして、少しでも違和感があれば返品・交換を。一度、シューフィッターのいる店でぴったりの靴を履いてみることが大事。そのときの感覚を覚えておくと、その後の靴選びの参考になる。
インソールで補正するときの注意
靴が緩いときは、靴底に敷くインソールを使うとよい。ただし、プレートで補強された底が硬いものを使うこと。
パンプスの靴ずれには、かかと部分だけの「かかとインソール」を使って、かかとの浮きを調整。
スニーカーが緩いときは、足の厚さと靴が合っていない場合が多いので、ベロの裏側に貼る「タンパッド」を使用。
教えてくれた人は……佐藤靖青さん●イギリスで靴の設計を学び、靴設計士としてつとめたのち、靴のリペアの仕事に転職し、シューフィッターの資格を取得。現在、リペア職は退職し、プロシューズアドバイザーとして活躍中。「毎日靴ブログ」の月間アクセス数は50万以上。著書に、『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』(扶桑社)がある。
取材・文/佐久間真弓

