2月3日、全国各地の神社仏閣で恒例の節分会が執り行われた。今年も大相撲力士や芸能人が多数参加し、参拝客に向かって威勢よく豆をまく姿が見られ、特に注目を集めたのが初場所で20年ぶりの「新大関優勝」を果たした安青錦(安治川部屋)。東京都内の2か所で豆まきに参加し、集まったファンからひときわ大きな声援を浴びた。
横綱が2人そろっては白鵬と稀勢の里以来
千葉県成田市の成田山新勝寺では、横綱・大の里(二所ノ関部屋)、横綱・豊昇龍(立浪部屋)をはじめ、関脇・高安(田子ノ浦部屋)、幕内・大栄翔(追手風部屋)、同・御嶽海(出羽海部屋)の5名が参加。NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』に出演中の俳優・仲野太賀、歌舞伎俳優の市川團十郎、俳優の白石聖らとともに「福は〜うち」の掛け声で豆をまいた。
横綱が2人そろって同寺の節分会に登場するのは、2018年に白鵬と稀勢の里が参加して以来8年ぶり。昨年夏場所後に横綱へ昇進した大の里にとっては、横綱としての初めての豆まきとなった。「こうやって歴史のある節分会に呼んでいただいて光栄」と笑顔を見せ、「皆さんにも福が来れば良い」と参拝者の幸福を願う言葉を残した。
成田山新勝寺の節分会は、御本尊の不動明王の霊力は鬼でさえも心を入れ替えて福に転じるという教えがあることから「鬼は外」と言わず、「福は内」のみを唱える独自の習わしで知られる。大豆約860キログラム、落花生約400キログラムが用意され、多くの参拝者が福を求めて手を伸ばした。
東京都港区の豊川稲荷東京別院では、安青錦が師匠の安治川親方(元関脇・安美錦)や小結・王鵬(大嶽部屋)とともに登場。タレントの山田邦子、神田うの、林家ペー・パー子夫妻らと2階から境内の参拝客へ豆をまいた。
東京都調布市の深大寺では、俳優の迫田孝也、森カンナ、歌舞伎俳優の中村鷹之資、玉鷲、玉正鳳らが豆まき式に登場。深大寺も「鬼大師」の伝承から「鬼は外」と言わず、「福は内」だけを唱える。
力士や芸能人が豆を撒く意味とは
神社仏閣の節分会に力士や芸能人が招かれるのは、単に「人気者だから」という理由だけではないです。
そう語るのは民俗学に詳しいライター。
「力士が踏む『シコ』は元は『醜(しこ)』と書き、凶悪な鬼を表す。シコを踏むとは悪鬼を踏み付け、鎮める悪魔払いのことを指します。節分の豆まきに力士が招かれるのは、悪魔払いのために適しているからであるとされています。また、芸能人が豆まきを行うようになったのは、福を呼ぶ神事としての役割と行事を盛り上げ、参拝者を増やす目的が一般的です」
SNS上では節分会を訪れたファンから「安青錦の豆まき!力強い」「髙石あかりちゃんの豆まきしてる姿に元気貰いました」など、力士や芸能人たちの豆まき姿に元気をもらった声が多く見られた。
節分を終えた力士たちは、3月8日初日の春場所(大阪場所)に向けて本格的な稽古を再開する。豆まきに参加した安青錦は、初場所に続く連覇で横綱昇進を狙う。「けがをせずに、皆さんに喜んでもらえるような相撲が取れれば、それで幸せ」と語った若き大関の今後から目が離せない─。
