2月5日、がん検査サービス『N-NOSE』のCMで知られる株式会社HIROTSUバイオサイエンスの元従業員が不正競争防止法違反の容疑で書類送検された。
『N-NOSE』会社が回答
「この元従業員は研究部門に所属しており、在職中に知り得た会社の機密情報を不正に取得した疑いが持たれています。なお、書類送検に先立ち、並行で行われていた民事裁判では、『同社の情報を持ち出した事実』や『第三者に当該情報を漏えいした事実』を認めているといいます」(全国紙社会部記者、以下同)
元従業員が持ち出したのは、一滴の尿から全身23種のがんの早期発見が期待できるという『N-NOSE』の機密情報だ。
「『N-NOSE』は“線虫”という嗅覚に優れた生物を用い、被検者の尿に含まれるがんの微量な匂い物質を検知する検査です。自宅から尿を送るだけで、受検できるもので、自覚症状のない健康な人を対象にした、世界初のがんの一次スクリーニング検査とされています」
本事案により、具体的にどのくらいの規模の被害が生まれたのだろうか。株式会社HIROTSUバイオサイエンスの取締役・日暮親徳さんによると、「今回の事案を発端として、合計で100億円以上の被害が発生した」とのこと。
「弊社の社長は『N-NOSE』の発明者であり、科学者です。『N-NOSE』を世の中に広めるために、大学の教員をやめて退路を断ち、10年前に会社を設立しました。
元々、“お金儲け”という意識ではなく、“がんで悲しい思いをする人を少しでも減らしたい”という想いで会社設立に至っています。これは創業当時の10年前から一切変わっておらず、社長の本心だと確信しています」(前出・日暮親徳さん、以下同)
日暮さんは社長のこうした想いに共感し、設立当初から一緒に歩んでいるという。
「今回の騒動に関しても、お金の面ではなく、研究開発が遅れたことにより、“助かった命があるかもしれない”とその影響を危惧していました」
改めて、今回の騒動を受けて、次のように話す。
「弊社は研究開発型のベンチャーなので、知的財産が資産です。個人の保身や私利私欲のために知的財産が侵害されることは、企業だけでなく、国全体にとっても損失になります。
こうした事案が他社でも相次げば、研究開発の進展そのものが阻害されかねません。社長も“再発防止の重要性を広く伝えるべき”と考えており、今後は情報管理体制やコンプライアンスの一層の強化が求められると考えています」
“助かった命があるかもしれない”。その言葉が、この騒動の重大さを物語っている。
