『替え玉ブラヴォー!』完成会見に望んだ北香那(写真/矢島泰輔)

 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の、ヘブン先生(トミー・バストウ)に猛アタックするお嬢様役で注目を集めた北香那(28)が大ブレイク中だ。年始からはNHKよるどら『替え玉ブラヴォー!』に主演、さらにテレビ朝日系『再会〜Silent Truth〜』でも竹内涼真の恋人役を演じるなど、活躍が続いている。

『替え玉ブラヴォー!』で連ドラ初主演の北香那

渡辺との距離感の近さを指摘された北香那(ドラマ公式Xより)

 中でもNHK連ドラ初主演作となった『替え玉ブラヴォー!』は、いきなり舞台上でバレエのコスチュームが脱げてしまう衝撃的な展開からスタート。しかし悲劇のヒロインになるのではなく、早とちりや勘違いを繰り返しながら迷走する姿は、まるで「女寅さん」。面白いことをやって笑わせるのでなく、恥ずかしい勘違いをして視聴者に「バカだなあ」と思わせる演技は、特に若い女優にはなかなか出来るものではない。別作品で共演した光石研らに「コメディセンスがすごい」と評される彼女の真骨頂だった。

 北は現在28歳で決して早咲きとはいえないが、まだ若い頃に、早くから逸材ぶりを発揮していた作品があったので、紹介したい。

 1本目はテレビ東京系で2017年から放送された『バイプレーヤーズ』シリーズ。大杉漣、遠藤憲一、松重豊や前述の光石研といった売れっ子バイプレーヤーが集結したドラマで、彼女が演じたのは中国人のジャスミン。本人たちにその気はないのに、傍から見ると乱暴に聞こえてしまうイントネーションを完コピし、まだ10代の彼女がカタコトで大杉らを「オマエら」呼ばわりして視聴者を爆笑させていた。

 2本目は2話連続でゲスト出演した19年の『相棒 season18』。難民支援や自然保護活動などをする正義感の強い女性役だったが、海外の特殊部隊で訓練を受け、殺戮兵器と化した父親(船越英一郎)に悩まされている複雑な役設定だった。

 ところが物語が進むと、実は北とその仲間たちこそ、目的のためには手段を選ばない活動家だと判明。それまでのイメージが反転し、容赦なく素手で殺戮を繰り返す回想シーンは、ちょっと他の女優では演じられない迫力だった。最後は父親と格闘を繰り広げた末に絶命する壮絶な展開で、コメディだけでなく、シリアスでも強い印象を残した。

ほぼ無名ながら大物俳優たちと互角に渡り合う

 それぞれ19歳と22歳の若さで出演し、ほぼ無名ながら大物俳優たちと互角に渡り合っていた度胸の良さには驚かされる。それも中国人や殺戮者という、かなり際立った役柄で起用されるのは、制作サイドが彼女ならやってくれそうと期待するからだろう。『ばけばけ』のお嬢様役も面白かったが、筆者は正直、自分本位なお嬢様なら他の女優でもできるよなと、少し物足りないくらいだった。

 『バイプレーヤーズ』と『相棒』はどちらもDVDや配信などで観られるので、彼女に興味を持った方はぜひ視聴していただきたい。

 そして『再会』は、これからが中盤戦。北が演じる博美は淳一(竹内)と同棲中の仲睦まじい恋人だが、公式サイトの役柄説明にはこんな表記もある。

「実は、《淳一も知らない一面》も内に秘めているようで…!?」

 それがどんな形で表れるのか、演じるのが彼女だけに期待が膨らんでしまうのだ。

古沢保。フリーライター、コラムニスト。'71年東京生まれ。「3年B組金八先生卒業アルバム」「オフィシャルガイドブック相棒」「ヤンキー母校に帰るノベライズ」「IQサプリシリーズ」など、テレビ関連書籍を多数手がけ、雑誌などにテレビコラムを執筆。テレビ番組制作にも携わる。好きな番組は地味にヒットする堅実派。街歩き関連の執筆も多く、著書に「風景印ミュージアム」など。歴史散歩の会も主宰している。