宮根誠司

 フリーアナウンサーの宮根誠司が司会を務める、平日午後の生放送番組『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)が、今秋の改編で終了するとニュースサイト『女性セブンプラス』が報じた。

「2〜3年前から宮根さんが『ミヤネ屋』を辞めたがっているというウワサは、業界内で広まっていました。第一報が出た後に、次々と続報も出たので“ついに”という感じですね」(スポーツ紙記者)

 宮根は1987年、朝日放送にアナウンサーとして入社。視聴者の感情を代弁するようなトークが支持されて、関西で人気のアナウンサーとなった。

「かつては“西のみのもんた”と呼ばれるほどでした。今年で『ミヤネ屋』が20年目を迎えることで、降板を申し出た宮根さんが、新たなことに挑戦したいという思いがあるとも報じられています」(テレビ局関係者、以下同)

 宮根本人は今回の報道について、否定も肯定もせずにいるが、番組を制作している読売テレビの関係者は頭を抱えているという。

読売テレビにとっても屋台骨

「読売テレビ内でも終了で話は進んでいますが、今後の対応に向けてバタバタなんです。一部メディアでは後釜となる番組が何になるかが取り沙汰されていますが、そんな簡単な話ではありません」

 午後のワイドショーとして、全国で放送されている『ミヤネ屋』。番組の制作を担っているのが日本テレビではなく、系列の地方局である読売テレビというのが、この問題を複雑化させているようだ。

「全国放送での月曜から金曜の帯番組というのは、地方局にとっては貴重で名誉なこと。CMなどの営業収入も莫大で、局内の全番組の中でも『ミヤネ屋』がいちばんの大きな儲けになっています。その放送枠を狙っているのが、主要キー局の日テレなんです。番組終了となれば“枠を戻せ”と言ってくることは必至でしょう」

SNSで拡散されている、『ミヤネ屋』取材で韓国を訪れた宮根誠司の路上喫煙

 なぜ関西ローカルの夕方番組だった『ミヤネ屋』が、全国放送となったのか。当時を知る日テレ関係者は、番組誕生のウラ事情を明かす。

「日テレは、2007年9月いっぱいで草野仁さんが司会を務めていた『ザ・ワイド』を終了させると、午後のワイドショーから手を引いて、ドラマの再放送に切り替えました。しかし、読売テレビは2006年から夕方に放送していた『ミヤネ屋』の時間帯をずらし、関西エリアだけで午後2時からの生放送を始めたのです」

 スタート時から評判が良かった『ミヤネ屋』は、地方の系列局でも放送されるようになり、2008年から日テレも放送を始めたことで、今のような全国放送となった。

「当時の日テレは局全体で番組改革を進めており、午後のワイドショーにまで予算を割けず、泣く泣く『ザ・ワイド』の枠を手放したのです。その後番組に、系列局とはいえ別の会社が制作する『ミヤネ屋』が放送されて、しかも人気番組に成長するワケですが、日テレとしては複雑な思いがあったようです」(日テレ関係者)

読売テレビは日テレの支配下

『ミヤネ屋』終了は、読売テレビから放送枠を取り戻す絶好のチャンスになるようだ。

「2025年に読売テレビは、札幌テレビ、中京テレビ、福岡放送の準キー4局で持ち株会社『読売中京FSホールディングス』を設立しました。実は、この新会社の20%以上の株式は日本テレビホールディングスが保有しており、日テレの“支配構造”がより強化されたのです。

 これはキー局にコンテンツを集中・効率化させるということですが、簡単にいえば準キー局は日テレが作った番組をただ放送するだけになりつつあります。このような状況ですから読売テレビとしては、日テレが『ミヤネ屋』の放送枠を戻せと言ってきたら、抗うことは難しいでしょうね……」(前出・テレビ局関係者)

宮根誠司(2019年)

 テレビ局内の事情に詳しいテレビプロデューサーの鎮目博道氏は、このように語る。

「読売テレビには“東京に負けない面白い番組を作っている”という自負があります。それだけに、全国ネットの枠を東京に奪われることには強い抵抗感があるでしょう」

 プライドだけでなく、制作現場の雇用という現実的な問題ものしかかる。

「平日帯の生放送ですから、読売テレビを通して多くの関西方面の制作会社、技術スタッフが関わっています。この枠がなくなると、こうしたスタッフの方々が仕事を失うことになりかねません。仕事の発注元という責任上、なんとしてもこの枠を死守したいとも考えていることでしょう」(鎮目氏、以下同)

『ミヤネ屋』の後番組の制作も請け負いたい読売テレビだが、大きな課題がある。

『ミヤネ屋』後番組の構想は

「番組がここまで続いたのは、宮根さんの圧倒的な人気と巧みなトークスキルが大きく関係しています。もし読売テレビが『ミヤネ屋』終了後、新たにワイドショー番組の制作を請け負うならば、宮根さんと同じくらい、トークができて人気もあるMCを立てなければ、日テレも納得しないでしょう」

 一方の日テレ側にも課題があるようだ。

一から新番組を立ち上げるとなると、少なくとも100人ほどのスタッフが必要になりますが、現在のテレビ局は人手不足かつ予算も縮小傾向ですからね。いきなり生放送の帯番組を立ち上げるのは、簡単なことではありません」(前出・日テレ関係者、以下同)

 それでも、すでに後番組の構想は練ってあるようだ。

「社内で『ミヤネ屋』の放送枠をもっとも欲しがっているのは報道局なんです。夕方のニュース番組の中で、視聴率が常に上位である『news every.』の放送時間を拡大するかたちにすれば、人数を増やす必要はありますが、お金はそこまでかからないと踏んでいるようです」

2025年から“開国”をスローガンにし、国外展開に力を入れている日テレ

報道スタッフは早朝から夜まで稼働

 日テレと読売テレビの思惑がぶつかり合っているが、報道の現場に関わる当事者からはこんな声も聞こえてくる。

「私は日テレの報道番組に携わっていますが、スタッフは早朝の『Oha!4 NEWS LIVE』から夜の『news zero』まで稼働しっぱなし。現状では、読売テレビが『ミヤネ屋』の制作を担ってくれていることで成り立っています。もし、日テレがこの枠まで自社制作の報道番組にするとなると、多少の増員をしても体力が持ちませんよ」(日テレの報道スタッフ、以下同)

 報道スタッフからすれば読売テレビの存在は心強いという。

「同じ日テレでニュースを扱う番組でも『news zero』は報道番組。『ZIP!』は情報番組であり、部署が異なります。そのため、映像素材のやりとりから、取材のノウハウまで、まったく違うのです。その点、『ミヤネ屋』の報道スタッフは、別会社ですが、撮影現場の取材連携もできるし、データの共有もスムーズにできます」

 現場の声とは裏腹に、日テレと読売テレビの間で始まった“縄張り争い”は、視聴者の目には見えない場所で起きている……。

しずめ・ひろみち テレビプロデューサー。報道番組プロデューサーなどを経て、「ABEMA」立ち上げに参画し、2019年に独立