1月8日から放送されている松嶋菜々子主演のドラマ『おコメの女―国税局資料調査課・雑国室―』(テレビ朝日系)が、好調なスタートを切った。初回の世帯視聴率は10%を記録し、2話と3話は視聴率をわずかに落としたものの、依然として高視聴率を維持している。
「ドラマは、国税局資料調査課の“雑国室”を舞台に、脱税者を成敗する痛快社会派エンタメです。松嶋さん演じる米田正子は、“嘘も金も見逃さない”敏腕調査官で、米好きの変わり者ぶりが魅力です」(スポーツ紙記者、以下同)
そんな好調な作品が生まれる反面、テレ朝の局内で囁かれていることがある。ここ数年、“ドル箱”といわれていた作品が、立て続けに幕を閉じているのだ。
「1999年開始の沢口靖子さんが主演する『科捜研の女』は、今年1月に26年の歴史に終止符を打ちました。井ノ原快彦さんが刑事を演じる『特捜9』も2025年4月期のfinal seasonで終了。また、天海祐希さん主演の『緊急取調室』は、2025年10月期の第5シーズンと、12月末に公開された劇場版で幕引きとなりました」
“ドル箱”だった『ドクターX』も完結
『刑事7人』は、東山紀之が主演する刑事ドラマ。高い洞察力で事件に挑む物語はシーズン9まで続いたが終了した。
「“私失敗しないので”でおなじみの米倉涼子さん主演のドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』は、2024年12月に『劇場版ドクターX FINAL』が公開され、テレビシリーズ12年の集大成として、大門未知子の活躍がスクリーンで描かれ完結しました」
とはいえ、テレ朝の2025年関東地区における年間視聴率は、個人、世帯においていずれもトップを意味する「三冠」を達成している。
テレビプロデューサーの鎮目博道氏に、なぜテレ朝は、視聴率が悪くないにもかかわらず、ドラマが次々と終了しているのか聞いてみると、
「視聴率はいいのですが、営業成績で苦戦を強いられているんです。実は、テレ朝の番組枠はドラマにかかわらず、ミドル世代向けの番組ばかり。若年層向けのドラマ枠が少ないと、営業もクライアントへのセールスが難しくなります。マンネリ化してしまったドラマを終了させ、若年層向けのドラマを育てたいという編成上の事情があるんです」
長寿ドラマは、キャストにとっても足かせになる可能性があるという。
「出演者も新しい仕事にチャレンジして、時代に合った仕事をしていきたいと思うようです。長く続いているドラマに出演を続けていると、“この人、進歩がないね”と見られてしまう可能性が出てきます。仕事が安定するというメリットがある反面、新しいチャレンジがしにくくなって、旧態依然とした古いイメージで見られてしまいがちです」(鎮目さん、以下同)
テレビの視聴率は右肩下がりの宿命
スタッフのアップデートも必要だ。
「ずっと同じスタッフが制作しているので、ノウハウがミドル世代向けで固まってしまい、アイデアもだんだん枯渇してしまうんです。長年続けているうちに、宿命的にテレビ番組の視聴率は、右肩下がりになっていきます。どれだけ人気のシリーズでも、視聴率に苦戦してしまうんです」
そんな中、『相棒』は今年でシーズン24を迎える。これだけ長く続く秘訣はどこにあるのだろう。
「相棒はやはり、ズバ抜けて視聴率がいいというのがいちばんの理由だと思います。水谷豊さんのもとに優秀な監督やカメラマンなどが集まり、強固な制作チームができあがっているんです。それを大物プロデューサーがまとめているので、撮影現場は“聖域”のようになっているのです」
人気長寿ドラマが次々と終了し、制作陣は新たなヒット作を切望している。そんな中、新たな救世主として期待をよせる作品が冒頭の『おコメの女』だという。
「テレ朝は、米倉涼子さん不在の穴を埋める“救いの女神”として、松嶋さんをシリーズ化の切り札に据えているそうですよ。数字も好調で、シーズン2の制作も話に挙がっているとか。
また、2025年7月に放送された相葉雅紀さん主演のドラマ『大追跡~警視庁SSBC強行犯係』も、続編の放送が今年7月から決まっており、相葉さんの続投も内定しているそうです」(テレビ局関係者)
『おコメの女』は行き詰まる可能性
しかし、『おコメの女』の続編は、行き詰まる可能性もあるという。
「ドラマは、視聴者の年齢ターゲットを少し下げていて、今までのシリーズものと比べ、新しい風が吹いているなと感じました。これまでのファン層も逃さず、新しい視聴者層も取り込みたいという考えから、あのような企画になったのではないでしょうか。
しかし、資料調査課という地道な調査部署で、マルサのような派手さはない。脚本をどこまで長く、面白さを保って書いていけるのかが、ドラマ存続の肝であり、脚本家さんの腕の見せどころでしょう」(鎮目さん、以下同)
テレ朝は、視聴者層ターゲットを大幅に下げたいと考えているようだが……。
「でも、下げたところで若い人が求めているものを作れるスタッフが確保できないと思います。思いきり下げることによって、既存のファンを失う怖さもある。まさに“二兎を追うものは一兎をも得ず”になってしまうので、これまでのファン層を確保しつつ、じわじわ若い層を取り入れたいと考えているのでしょう」
ミドル層の安定感と、若手視聴者の取り込みを両立させられるか─。
