日テレで秋に放送される『俺たちの箱根駅伝』(公式HPより)

 お正月の風物詩である箱根駅伝。今年は青山学院大学が往路と復路で新記録を達成し、2度目の3連覇を果たすなど、大盛り上がりで幕を閉じた。

 熱闘からまだ1か月ほどしかたっていないが、早くも次の箱根駅伝に熱視線が集まっているようで─。

10月に日本テレビ系でドラマ『俺たちの箱根駅伝』が放送されるんです。メインキャストの2人はすでに情報解禁されていて、生中継を支える番組プロデューサー役を大泉洋さんが、チームの優勝を目指す新人監督役を山下智久さんが演じます。中継する側と箱根路を走る側、それぞれの視点で描かれる青春群像劇のようですね」(スポーツ紙記者、以下同)

 箱根駅伝の正式名称は“東京箱根間往復大学駅伝競走”。関東学生陸上競技連盟に加盟している大学から、条件を満たした21校による10人1チームのリレー走だ。

「毎年1月2日に、東京・大手町の読売新聞社ビル前を出発して、神奈川県箱根の芦ノ湖まで、翌3日は同地点を出発して再び大手町へ戻るコースで、総距離は217・1キロメートルにもなります。往復で全10区間に分かれており、区間ごとに距離が微妙に異なるのが特徴です」

『半沢直樹』池井戸潤の書き下ろし

 箱根駅伝ならではの魅力も多い。

「タスキをつなぐというチームメイト同士の絆や、伝統校同士の対決はもちろん、エース級が集まる“花の2区”や一気に順位が変わる箱根の山登りと山下りといった見せ場は、毎年ドラマが生まれています。翌年の予選免除につながるシード権争いなどもあり、ドラマ化にはうってつけの題材といえるでしょう」

 原作は『半沢直樹』をはじめ、『花咲舞が黙ってない』などのヒット作を手がけた池井戸潤氏の書き下ろし小説。

「刊行した小説の多くが映像化されている池井戸さん自身が、《もう二度と、こんな小説は書けない》と語るほどの渾身作のようです」

『俺たちの箱根駅伝』学生ランナー役に、ニチアサ出身の俳優が多いことが話題を呼んだ(公式SNSより)

 1月27日からは、4日連続で学生ランナー役のキャスト18人が次々と発表され、話題を呼んでいる。

「『魔進戦隊キラメイジャー』のキラメイシルバー役を務めた庄司浩平さんや『仮面ライダーギーツ』に出演していた杢代和人さんなど、テレビ朝日の特撮枠、通称“ニチアサ”出身の俳優が多数出演。そのほか、菅田将暉さんの弟の菅生新樹さんなど、旬の若手がそろっています」

 豪華キャストに売れっ子作家の原作と、盤石の体制が整っているように思えるが、一部からは不安の声も。

「大河ドラマだと1年前からキャストを発表して、長期のプロモーションを仕掛けることもありますが、放送が半年以上先となる民放の連ドラを2月の時点で大々的に宣伝するのはいくらなんでも早すぎます。このままだと情報が出尽くして、放送時の盛り上がりに支障が出るのでは」(テレビ誌ライター)

 実際、4月から始まる春ドラマの宣伝も、まだ本格的には始まっていない。

“フライング”告知の意図

 あまりにも早すぎる情報公開。この“フライング”ともいえる早期の告知には、制作側の意図があるようだ。

キャストの情報をこれだけ早く解禁した理由は単純で、すでに撮影が始まっているからです。2月に入ってからは、大量のエキストラを動員して、全国各地の道路で大規模な駅伝シーンの撮影が行われます。

 いくらキャストに関する箝口令を敷いても、屋外で大々的に撮る以上、情報漏洩は避けられません。先んじて解禁したほうが話題になるという判断なんです」(制作会社関係者、以下同)

 年明けから撮影が始まったのも、スポーツを題材にした作品の特性上、やむを得ない事情があった。

「通常なら秋クールに放送されるドラマは、8月から9月ごろに撮影が始まることが多いのですが、昨今の猛暑を考えると、その時季に駅伝シーンを撮影するのは熱中症など、リスクしかありません。

 ランナーはタンクトップに短パンと軽装ですが、沿道の観客として集まってもらうエキストラの人たちには、冬服を着てもらわないと、設定上おかしくなってしまいますからね。演者やスタッフの健康面を考慮して、前倒しで撮影を始めているんです」

2025年11月3日、テレビ朝日系ドラマ『ちょっとだけエスパー』撮影に参加した大泉洋

 ここ数年、国内の気温はずっと右肩上がりの傾向。昨年の東京都の最高気温は38・5度を記録。これは環境省の発表する熱中症予防運動指針で“運動は原則中止”のレベルとされている。

「予定では、大泉さんが登場するテレビ局パートも4月から撮影がスタート。6月にはクランクアップを予定しています」

 万全の体制で注目作に臨む日テレだが、ここまで気合が入るのには、とある思惑が。

「箱根駅伝の注目度は年々上昇傾向にあり、2026年の視聴率は復路で30・2%と高い数字を記録。主催の関東学連発表によれば、沿道観戦者数も約105万人とコロナ禍以降、最多と報じられています。

 日テレとしては、箱根駅伝を正月2日間の特別行事で終わらせず、ドラマや配信など一年を通して展開できる看板コンテンツにしたいと考えているんです」(日本テレビ関係者、以下同)

国境を超えるコンテンツに育てたい

 昨年発表された、日テレホールディングスの2025年から2027年までの中期経営計画でも、コンテンツビジネスの展開に力を入れることを方針として掲げている。

単発のヒットで終わらせず、長期的に育てて回収できる通年型IPをつくることが大きなテーマ。その象徴的なものが箱根駅伝なんです。ゆくゆくはゲーム化やアニメ化といったメディアミックスも視野に入れ、TBS系で放送されている人気番組『SASUKE』のように、国境を超えるコンテンツに育てたいという構想もあるといいます」

 実際に、日本テレビが『俺たちの箱根駅伝』にかける思いは、並々ならぬものがある。

「箱根駅伝予選会の様子を劇中で使うために、昨秋行われた予選会にすでにカメラを入れていました。クランクアップから放送まで4か月ほど時間が空くのも、しっかりと編集をして、最高のものを届けたいという制作サイドの思いから。今年は社としてこの作品にかけているといっても過言ではないでしょう」

 来年の箱根駅伝は、視聴率40%も夢じゃない!?