「恋愛リアリティショー(以下:恋リア)は今、動画配信サービスのキラーコンテンツになりつつあります」(放送関係者)
視聴者のテレビ離れが進む中、恋リアコンテンツは安定して人気を誇っている。Netflixで昨年12月に配信されたヤンキーたちの恋模様を描いた『ラヴ上等』はすでにシーズン2の配信が決定。ゲイの男性たちの共同生活を追った『ボーイフレンド2』は、2月3日の最終回配信後にロスの声があふれている。
革命を起こした『ボーイフレンド』と『ラヴ上等』
恋リア番組に詳しいライターの津田春子さんは昨今の恋リアの人気について次のように語る。
「SNSと連動して楽しむコンテンツだけに今の時代にマッチしているのではないでしょうか。
『あいのり』など、かつての恋リアは自分たちと同じ等身大の一般の男女が恋愛する様を見て、現実離れした美男美女のドラマからは味わえない疑似体験として楽しんでいた視聴者が多いように思います。それが、SNSの普及で恋リア番組の考察や人間関係を楽しむようにシフトしました」
令和を代表する恋リア番組の特徴と魅力に迫る。
日本で初めてとなる男性同士の恋リア『ボーイフレンド』。恋人探しのため、生涯の友を見つけるため、自分を変えるため……それぞれに思いを秘めて、“グリーンルーム”と呼ばれるコテージでの共同生活を追ったドキュメンタリーだ。
2024年7月に配信されたシーズン1はNetflixの日本の視聴ランキングで上位に入る人気ぶりを見せたほか、海外メディアにも取り上げられるなど大ヒット作品となった。それから約1年半がたち、今年1月からシーズン2の配信がスタート。芸能ライターのくのいちこさんは、
「恋リアに革命を起こしたといっても過言ではないです。『あいのり』とか『テラスハウス』を見ながら“ゲイの恋リアがあったら”とか妄想したことはあったけど、まさか実際に番組ができて、しかもこんな人気コンテンツになるとは思いませんでした」
と語る。続けて、MC役のタレントにも言及。MEGUMI、徳井義実(チュートリアル)、ホラン千秋、青山テルマ、ドリアン・ロロブリジーダ、と人数が多い気もするが。
「コメンテーター陣はコメントも的確で、笑いと涙のバランスが素晴らしかった。徳井さんは『テラスハウス』のときも、出演者にヘイトが向かないようにユーモアでまとめるのが上手でした。
ドリアンさんは、自身がゲイだけに細かい解説を入れてくれるのがわかりやすいし、ホランさん、青山さんもちょっとしたひと言を上手に拾って視聴者の気持ちを代弁してくれるんですよね」(くのいちこさん、以下同)
映像が美しい『オフラインラブ』
『ボーイフレンド』のメインMCであるMEGUMIが立ち上げた恋リアが、『ラヴ上等』。かつて自身もヤンキーだったというMEGUMIが「ど直球なキャラクターが必要」と思いを込めてプロデュースしたという。
出演者は元暴走族、元ヤクザ、最終学歴は少年院など、周りから不良と恐れられた過去を背負うヤンキーの男女11人がケンカに恋にぶつかり合いながら14日間の学校生活を共にする。
「あんなに入れ墨だらけの人たち、なかなか地上波の番組では見られませんからね。ちょっとしたことでカッとなってキレるし、事情があって途中退学させられる出演者がいたりと予定調和じゃない感じが新鮮で。
日本のヤンキー文化は海外でもウケるようで、出演者のSNSにはいろんな言語のファンコメントが集まっているのも面白い」
MC陣も納得の布陣で、
「元不良のラッパー、AK-69さんがヤンキーの生態を解説。“釈迦寝”という言葉を初めて知りましたよ(笑)。恋リアが苦手だという永野さんが視聴者の気持ちを代弁してくれて、MEGUMIさんがプロデューサーとしてどっしりと構えている。すごくバランスのいい3人で恋リアとしてはもちろん、トーク番組としても楽しませてもらいました」
普段はのぞき見できない世界を見られるのも魅力の2作だ。
小泉今日子と令和ロマンがMCを務めた『オフラインラブ』(Netflix・'25年配信)。舞台はフランスのニース。お互いの顔と名前も知らない男女10人がすべてのデジタルデバイスを手放し、たった一冊のガイドブックを頼りに10日間の特別な旅に出る、という恋リアだ。
「小泉さんと令和ロマンのさらっとしたMCが良かった。出演者を否定することなく、優しく包み込んであげるんですよね。経験豊富な小泉さんならではの言葉がいいし、令和ロマンの2人も小泉さんにビビったり、媚びたりすることなくフラットなんですよ」(津田さん、以下同)
配信当時、高比良くるまがオンラインカジノ問題で謹慎になっていたこともあってか、一気に10話配信されたのも逆によかったという。
「恋リアはだいたい毎週3話ずつの配信になりがちで、そうすると次の配信までに失言をしたり、何かやらかしたメンバーへのヘイトが起きやすいんですよね。でも一挙配信だとそういったこともなく、誹謗中傷された出演者はほぼいなかったのでは。
あと、とにかく景色と出演者が美しい。どこを見ても美男美女で目の保養にもなります。ゆるーっとした気持ちで美しい情景を見たい人にオススメですね」
『あいのり』世代が出演、熟年の恋リア『あいの里』
先に挙げた『オフラインラブ』とは対極にあるのが『あいの里』。『あいのり』スタッフが制作し、35歳から60歳の男女が人生最後の恋を求めて人里離れた古民家で自給自足の共同生活を送る。MCはベッキーと田村淳。中年のリアルな恋模様が時に痛々しくもあるが─。
「『オフラインラブ』や『テラスハウス』に比べると見栄えはよくない(笑)。そして下ネタが飛び交い、酒に酔った誰かが失言してケンカするなど、場末の飲み屋を見学している気分に。感情丸出しでぶつかるんですが、逆にそれが中毒にもなります(笑)。
元祖MCの久本雅美さん同様、ベッキーさんと田村さんも事あるごとに涙を流し、泥くさいスタイル。令和の今、逆に必要な暑苦しさなのかも」
とした上で、恋リアの古い体質の問題点もはらんでいるという。
「シーズン2ではペットとして飼ったヤギを死なせてしまうなどの悲劇がありましたし、特定の出演者いじりも度を超えていたように思います。実際に配信終了後、自身のSNSで演出に苦言を呈した出演者も。
中年以降の男女が貧乏生活でひもじい思いをして、精神的に余裕がなくなっている姿を見るのは忍びないので、シーズン3ではペットを飼わずに出演者にちゃんと食料だけは渡してほしい」
次の舞台は富士山麓だという。平成のノリを楽しみたい人にはオススメなのかも。
『あいの里』の生々しさとは逆に青春を味わえるのがこちら。恋リアからスターは生まれない、といわれていたがそれを覆しているのがABEMAの人気恋リア。『今日、好きになりました』と『オオカミくんには騙されない』シリーズだ。
「出演者が高校生なので、青春感が強い。大人の恋愛と違って生々しさがないので、カップルになってもそのカップル推しのファンもつく。『オオカミくん』の第4シリーズには高橋文哉さんと生見愛瑠さんが『ふみめるカップル』として人気でした。結局、高橋さんがオオカミと疑われて退場したので結ばれませんでしたが。
また、戦隊ヒーローの登竜門になっているのも最近の特徴。『今日好き』からは出演者が仮面ライダーに2作連続で抜擢されています。『仮面ライダーギーツ』の簡秀吉さん、『仮面ライダーガッチャード』の本島純政さんがそう。『オオカミくん』からは『仮面ライダーゼロワン』に高橋さん、『仮面ライダーセイバー』には内藤秀一郎さんが出演しました」
原石探しとしての楽しみ方もあるようだ。
「MCは途中から参加したノンスタイルの井上裕介さんが定着しています。高校生のお兄ちゃん的な立場で誰のことも否定しないし、ノンスタイルが今の世代にも人気があるのはこれのおかげだと思います」
令和のスターは恋リアから生まれる?
「昨今の恋リアの特徴として、MC陣が出演者たちの言動をフォローするということが徹底されるようになっています。
恋リアって視聴者が身近に感じるあまり、ついつい意見がヒートアップしてしまいがち。それが度を越えたものになっているのも確かです。MC同様、視聴者も意識をアップデートしていくフェーズにきているのかも」
さまざまな人間模様を台本なしのショーとして提供する恋リアはさまざまなリスクも抱えている。
視聴者も“寛容な”恋リア観戦を楽しみたいものだ。
