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“いつか使うと思うと、もったいなくて捨てられない”例えば着なくなった服や、余った食材は家計につながるムダの代表例。解決するには、片付けの真の目的を思い出すようにしています

 そう語るのは、元海上保安官で現在は整理収納アドバイザーの川崎みささん。

片付けで理想の暮らしを叶える

 片付けの真意を明確にすることで、家計はもちろん、時間や精神的にもプラスになるという。

「片付けは“散らかっているからやる”のではなく、“自分らしい理想の暮らし”の実現が真の目的。私の場合は仕事も子育ても家事も諦めたくなくて、生活をラクにすることが目的でした」

 出産後に職場復帰したが、家事も育児も仕事も抱え込み、つらい時期があった。

 朝6時に起床して子どもを保育園に送り、昼休みも5分でお弁当をかき込んで仕事をさばき、保育園の閉園ギリギリに迎えに行く日々。夜中の2時に就寝という生活が3か月続き、とうとう体調を崩してしまった。

「忙しすぎを理由に家の中はグチャグチャで、何かを探したり取り出したりするにも時間がかかりヘトヘト。部屋が片付いていないと、疲れがとれないしストレスがたまって、家族にも優しくなれない……。こんなネガティブな状況を変えようと思い、本格的に片付けの勉強をし始めました」

 最初は試行錯誤ではあったものの、次第に部屋が片付き、その結果、暮らしも整い始めた。すると、1日分の家事が1時間で終わり、毎日夜8時には子どもと一緒に布団に入れるまでになった。

 当時、活きたのは海上保安官時代の生活だった。

片付けを学んでいるとき、海上保安庁で働いているころを少しずつ思い出したんです。部屋は狭く、相部屋で9人ほどが生活をしていました。自分の収納スペースは、ベッドの下、机まわり、ロッカーだけ。

 片付けが苦手だった私はよく教官や先輩に怒られたりしていました。いやが応でもモノの“要・不要”の判断をせざるを得ない状況。その経験が今の家事や片付けに役立っています

捨てるか残すかの判断はその理由を明確に

 クローゼットがパンパンで床には服があちこちに散乱。それでは服のために家賃・住宅費を払い続けているようなもの。服が多いと、判断疲れや、似た服をまた買うといったことにもつながるので、なるべくスッキリさせたい。服については、その理由を考えると捨てるか・残すかの判断がしやすくなるという。

例えば、痩せたら着ようと思っていたタイトなスカート。そうした服は期限を設けることをおすすめします。私は年齢による体形変化を素直に受け入れた自分を褒めました(笑)

 また、これなら他の服にしようと、気づくと選ばれない“二軍の服”。サイズやデザイン、何かしら気に入らない理由がある場合が多い。おそらく来年以降も出番はないかもしれません。よく着る“一軍の服”が劣化したら、着ていなかった二軍の服を着るのでなく、新たな服を購入する人が多いからです

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 売るか捨てるか、手放し方は自分に合った方法が一番。

「売ろうとしても、準備が面倒だったり、時間がなくて結局ずっと家にあるということも。潔く捨てたほうがいい場合はあります。過去、私は大量の服を売るために、準備にも時間がかかったにもかかわらず、300円にしかならなかったことがあります。

 それ以来、捨てたり、防災用に回したりしています。また、“お下がり”はあまりおすすめしません。渡す人と渡される人の間ですれ違いが起こることが多いんです。良かれと思っても“不用品を押しつけられた”“自分で捨てるのができないからうちに回してきたんだな”と感じることも多いと思います」

服の購入で失敗しないための3つのポイント

 昨今の物価高、洋服1着とはいえ、ムダ買いしないように気をつけたいところ。

ポイントは3つ。まず何にでも合わせやすいベーシックな服を持つこと。個性的なものだと、合わせる服がなくて結局着なくなることが多いです。

 2つ目は、自分がよく着るテイストの服を多めに持つこと。クローゼットを開けて、今日着る服がないというときは、持っている服のバランスが悪いのかもしれません。例えば、好きなキレイめの服が多いけど、家事のしやすい服が少なく、普段着がない、といったことも。

 3つ目は『これだけあれば足りる』を知ることです。服があればあるだけオシャレになれるとか、同じコーディネートは二度としないといった考えはやめて、最低限を心がけましょう」

 つい買ってしまうという人は、自分が何に弱いかを理解することが大切。

「例えば私の場合、“お得感”に弱い。買う理由が“お得だから”というだけのことも。なので“2着買ったら20%オフ”などの札を見かけたときは、“頭の良い人が、私の購買意欲を刺激するための最高の罠を仕掛けているだけ。その手には乗らないぞ”と、口に出して誘惑と戦うようにしています」

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海保式・食品ロスを減らす冷蔵庫の片付け

 川崎さんは船舶料理士でもあり、海上保安部で主計科(料理をつくる)として働いていたことも。冷蔵庫の片付けもとても効率的だ。

冷蔵庫の片付けは、実は一番シンプルです。賞味期限が切れている、腐っている、気に入らず残っている─この3つは、迷わず処分。冷蔵庫は、モノより『状態』で判断できる場所。だから、片付けが苦手な人ほど成功体験を積みやすいんです

 また、海上保安官時代の調理法は食品のムダを減らすことにも役立つ。ポイントは缶詰、乾物などを組み合わせ、生鮮食品は買いすぎないこと。

「海上保安庁の巡視船では、警備中に事件が起これば期間を延長して任務にあたります。野菜など足が早いものは既に食べきってしまっていますが、この時、役に立つのが乾物類。

 海保では代々『乾物や、常温で長期保存できる食品でつくる美味しいレシピ』が受け継がれてきました。これなら“腐った”、“賞味期限が切れた”といった食品ロスも減らせます。

 半端に余った食材を活用できるレシピもあり、例えば、卵と充填(じゅうてん)豆腐に半端な野菜を混ぜて焼く『ふくさ焼き』など。汁物はネギの青い部分やシイタケの軸でも良いだしが出ます」

 家庭では冷凍のホウレンソウ、枝豆、ごぼうなど冷凍食品も活用したい。

「長期保存できる食品は片付けが苦手で管理下手という人にもラクでピッタリ。ローリングストックできる常温保存食品や乾物は防災の観点からもおすすめです」

 服も食材も、判断を先送りにすることが家計のムダに。

「使わないモノに悩み続ける時間こそが、一番もったいないのかもしれません。完璧ではなくとも、自分がラクになる選択を考えてください」

半端野菜を使い切り!海保式節約料理レシピ

【海保式】節約料理レシピ3選

小田巻き蒸し

「うどん(乾麺)が入った茶わん蒸しですが、一緒に半端に残った野菜などを入れると具だくさんになります」

具雑煮

「お餅(乾物)と、半端に残った野菜を何でも入れて具だくさんのお雑煮に。ネギの青い部分や、シイタケの軸でも良いだしが出ます。具が足りないときは、乾物(乾燥ワカメ、おぼろ昆布、コーンの缶詰)を入れても良し!」

ふくさ焼き

「卵と充填豆腐をよく混ぜて、半端な野菜を細かくカットして、軽く火を通した後に混ぜ込んで焼く。和風オムレツのようなもの」

捨てられない人が最初にやること

「欲しいモノ」と「必要なモノ」を分ける

「必要なモノ=毎日使っているもの、欲しいモノ=なくても生活は回るもの、と考えてみてください」

必要な数を決める

「服、下着、ハンカチなどは『何枚あれば困らないか』を数字で考える。海上保安官時代に学んだ考え方です」

最初は“1個”でいい

「捨てるという勇気を持つために、まずは身近な何かで訓練。穴のあいた靴下を1足捨てる。それだけで十分です」

川崎みささん●元海上保安官で2児のママ。船舶料理士、整理収納アドバイザー1級、広島防災Jプログラムトレーナーなどの資格を保有。大型巡視船で働いていた経験を活かし、限られた環境と予算でも暮らしを楽しむ工夫を発信中。

教えてくれたのは……川崎みささん●元海上保安官で2児のママ。船舶料理士、整理収納アドバイザー1級、広島防災Jプログラムトレーナーなどの資格を保有。大型巡視船で働いていた経験を活かし、限られた環境と予算でも暮らしを楽しむ工夫を発信中。