色づき始めの花々香る春をめでる癒し旅へ

 冷たい風の中に、しだいに春を思わせる気配がまじり始める。次の旅を考えるなら、大地の芽吹きを感じる美景を目指してみてはどうだろう。淡いパステルカラーの花々が景色を彩り、甘い香りが心をほどく癒しの旅へ――

「花絶景」に詳しいインフルエンサーが見どころをナビします。

さまざまな花の饗宴が美しい“早春の花旅”へ

「ゆっくりと春の花を堪能するなら、お花見シーズン(ソメイヨシノの満開時期)より少し早い2月下旬から3月にかけての花旅を。

 混雑が少ないだけでなく、菜の花から河津桜、梅、チューリップまで主役の花が移り変わるタイミングですから、多様な花景色が楽しめるのが魅力です。訪れる時期や場所で表情が変わり、何度足を運んでも新たな感動が得られます」(伊藤さん、以下同)

 早朝の時間帯に現地を訪れるのもおすすめ。

「静けさの中で見る花々は日中とは違う顔を見せてくれ、より深く季節の美しさを味わえます。

 また、天候に左右されやすい花風景ですが、晴れの日は空と一緒に、曇りの日は画面いっぱいに、雨の日は花についた雫に注目して撮影すると情緒ある1枚が撮れます。その時々の風景や空気感を楽しめば、思いがけない絶景に癒されるはずです」

なばなの里[三重県]

 桜からチューリップまで鮮やかな花リレーを

なばなの里[三重県]

「園内を彩る河津桜とメイン花壇に咲く180万球もの早咲きのチューリップが同時に楽しめるおすすめのスポットがこちら。しだれ梅や桜に始まり、春の進みとともに3月下旬からはチューリップ、4月に入るとネモフィラも楽しめます。早春から春本番まで、訪れるたびに違った美しい花景色を見ることができます」(伊藤さん、以下同)

 5月31日まではイルミネーションも開催。昼間とは違う花と光の幻想的な空間に。

[住所]三重県桑名市長島町駒江漆畑270
[営業]10:00~21:00(土日、祝日は22:00まで、最終受け付けは営業終了の30分前まで)
[料金]2月28日まで3000円、3月1日~5月31日は2500円 ※時期により変動
[アクセス]伊勢湾岸自動車道「湾岸長島IC」から車で約15分
[HP]https://www.nagashima-onsen.co.jp/nabana/

花見山[福島県]

 色とりどりの花が咲き競う春色の桃源郷

花見山[福島県]

 花卉(かき)農家の故・阿部一郎さんとその家族が70年以上かけて造った花見山公園を中心に、彩り豊かな里の原風景が広がる花見山エリア。複数の散策コースが設けられ、

「桜や木蓮、レンギョウ、菜の花、花桃、サンシュユなど、さまざまな花を見ることができます。歩くほどに景色が変わっていく桃源郷のような場所です」

 3月下旬から4月中旬の開花シーズンは交通規制があるので事前に確認を。

[住所]福島県福島市渡利原17 
[アクセス]東北自動車道「福島西IC」から車で約30分 ※開花シーズンはマイカーの乗り入れ不可。HPで臨時駐車場などの確認を
[HP]https://www.hanamiyama.jp/

あぐりパーク嵯峨山苑[神奈川県]

 大パノラマ絶景と6種類の桜を巡る花の丘

あぐりパーク嵯峨山苑[神奈川県]

 標高230~285mの山の斜面一帯に河津桜をはじめとした6種類の桜と紅梅、白梅、そして菜の花が順次開花していく期間限定の花苑。

「好天時は富士山や箱根連山、伊豆大島、眼下には街並みを見渡すことができ、開放感あふれる春景色を堪能できます。一部急な斜面もあるため、歩きやすい靴での散策がおすすめです」

 開苑中は無農薬栽培の菜花摘み体験ができる「食用菜花狩り(500円)」も。

[住所]神奈川県足柄上郡松田町松田惣領字嵯峨山2853
[営業]9:00~16:00(雨天休み、3月22日まで)[料金]大人500円
[アクセス]小田急線「新松田駅」から徒歩約35分 ※駐車場なし 
[HP]https://naitouen.com/

大草山昇竜しだれ梅園[静岡県]

 昇天する竜の姿を思わせる幽玄な梅トンネル

大草山昇竜しだれ梅園[静岡県]

 5000平米の敷地に約350本、10種類以上のしだれ梅が植栽された全国屈指の梅園。園内の梅の樹姿は竜が雲をつかみ、天に昇る姿を想像させる独自の“昇竜仕立て”で剪定(せんてい)されている。なかでも、竜の体内をイメージして仕立てられた梅のシャワートンネルは圧巻。

「足元には可憐なクリスマスローズも咲いており、視線を上下に向けるたび、異なる春の表情に出合えます」

[住所]静岡県浜松市西区呉松町大草山中腹
[営業]9:00~17:00(3月中旬まで)[料金]500~700円※時期により異なる
[アクセス]東名高速道路「浜松西IC」から車で約15分
[HP]https://satonouenn.jp/

實相寺(じっそうじ)[山梨県]

 雄大な山々を背景に歴史ある古桜を訪ねて

實相寺(じっそうじ)[山梨県]

「境内一面に咲いている水仙と桜が春の訪れを感じさせる實相寺。晴れた日には花々とともに、山頂がまだ雪で覆われる南アルプスの山並みを望むことができる早春の名所です」

 境内には、日本三大桜のひとつで、樹齢約2000年といわれる日本最古の「山高神代桜」のほか、福島県の「滝桜」や岐阜県の「淡墨(うすずみ)桜」といった全国的に有名な桜の子桜も植栽されており、「風景と歴史の両方を楽しめます」。

[住所]山梨県北杜市武川町山高2763
[アクセス]中央自動車道「須玉IC」から車で約15分 
[HP]https://www.jindaizakura.com/

城南宮[京都府]

 落ち椿と梅が織りなす凛とした日本の致景

城南宮[京都府]

 花と紅葉の名所として知られる城南宮。四季折々の自然が堪能できる神苑では、2月18日~3月22日に「しだれ梅と椿まつり」が開催される。期間中は梅の花守りなどの授与品も。

「“春の山”と名付けられた庭園の一角は、約150本のしだれ梅と苔(こけ)が生み出すコントラストが本当に艶やか。さらに進むと、落ち椿としだれ梅が織りなす静謐(せいひつ)な景色も。日本の美を感じられるとっておきの場所です」

[住所]京都府京都市伏見区中島鳥羽離宮町7
「しだれ梅と椿まつり」期間:神苑は[営業]9:00~16:30(最終受け付けは16:00) 
[料金]大人1000円 [アクセス]名神高速道路「京都南IC」から車で約10分
[HP]https://www.jonangu.com/

あわじ花さじき[兵庫県]

 色彩豊かな天空の花畑をめでる最上の桟敷席

あわじ花さじき[兵庫県]

「ひと足先に春を感じることができるのが、“花の島”とも称される淡路島です」

 特に訪れたいのは島の北部丘陵地域に位置するあわじ花さじき。

「2月下旬までは一面に広がるカラフルなストックが早春を鮮やかに彩ります。高台からは眼下に広がる花畑だけでなく、明石海峡や大阪湾を望むこともできるので、のんびりと散策して春の空気を味わえます」

[住所]兵庫県淡路市楠本2805-7 [営業]9:00~17:00(最終入園16:30、季節により異なる) 
[休日]水曜日(繁忙期を除く) [アクセス]神戸淡路鳴門自動車道「淡路IC」から車で約10分
[HP]https://awajihanasajiki.jp/

火の山公園[山口県]

 花々の優しい色が瀬戸内海の青に映える!

火の山公園[山口県]

 関門海峡を一望できる火の山公園。例年4月ごろには約1000本の桜のピンク色とカラフルなチューリップ、その先に見える瀬戸内海のブルーのコントラストが鮮やかに。

 公園は山頂と山麓の2エリアがあり、「山頂エリアからは関門橋と関門海峡を行き交う船を、山麓エリアからは山々の風景を、それぞれ色とりどりのチューリップと桜越しに望めます。訪れる場所で異なる景色を味わえるスポットです」

[住所]山口県下関市みもすそ川町 ※現在再編整備工事中のため、一部利用制限エリアあり
[アクセス]中国自動車道「下関IC」から車で約15分

馬場の山桜[佐賀県]

 里山で静かにほころぶ樹齢120年の山桜

馬場の山桜[佐賀県]

 みかん畑の高台にある、知る人ぞ知る桜の名所。

「鳥の声が響く里山に、武雄市天然記念物に指定された山桜と一面の菜の花。静かな時間が流れる、癒しの春景色が広がります」

 見頃は、例年3月下旬~4月上旬。同エリアには、ため池に沿った桜並木で、ライトアップした夜桜が見られる「赤穂山八天桜」など、お花見スポットが点在。いずれものどかな山里風景と桜を楽しめる。

[住所]佐賀県武雄市武内町真手野21316
[アクセス]長崎自動車道「武雄北方IC」から車で約30分

白木峰高原[長崎県]

 黄色の絨毯と一本桜の優美なシンフォニー

白木峰高原[長崎県]

 五家原岳の中腹にある白木峰高原。春には約1万平米の丘陵地を約10万本の菜の花が埋め尽くす。見頃は、例年3月下旬から4月上旬。

「広大な菜の花畑の中にたたずむ一本桜と、その先に広がる有明海、遠くには雲仙普賢岳までも一望できます。朝日が昇る時間帯に訪れるのもおすすめ。黄色の菜の花畑が光に染まる風景が広がり、早春ならではの絶景が楽しめます」

[住所]長崎県諫早市白木峰町828-1
[アクセス]長崎自動車道「諫早IC」から車で約30分
[HP]https://w-cosmos.jp/

※開花時期は年により異なることもあり。HP等で確認をして下さい

教えてくれたのは……花風景写真家・伊藤 舞さん●全国の花絶景を求めて旅しながら撮影。全国の花風景検索サイト「はなまっぷ」アンバサダーとして活動。関連書籍や花カレンダー(山と溪谷社)などに写真が採用される。花の写真は[Instagram:@maichin_lucky]でも紹介


取材・文/河端直子 写真/伊藤舞