『Number_i』の3人(左から岸優太、平野紫耀、神宮寺勇太)

 タッキーこと滝沢秀明氏が率いる芸能事務所『TOBE』が公式ホームページで、所属グループ『Number_i』がアメリカの大手エージェント会社『ウィリアム・モリス・エンデバー(WME)』とエージェント契約を結んだことを発表し、話題になっている。

音楽業界に強い『WME』

「アメリカで芸能活動をするには欠かせないのが“エージェンシー”。何社かありますが、最も古く、音楽業界に強い『William Morris(WM)』社と、映画やドラマに強かった『Endeavor』社が2009年に合併してできたのがWMEです。

 このWMEと、ドジャースの大谷翔平選手やブラッド・ピット、トム・ハンクス、トム・クルーズが所属する『Creative Artists Agency (CAA)』がビッグ2と言われていますが、WMEは音楽業界に強く、そこと契約できたことはNumber_iにとって世界進出の大きな足掛かりになるでしょう」(音楽誌ライター)

 旧ジャニーズ系のグループでは現在、『STARTO ENTERTAIMENT』所属の『Travis Japan』が2022年に全米デビューしたことが記憶に新しいが、2011年には元『KAT-TUN』の赤西仁が全米デビューを果たしている。

 ショービジネスの本場、アメリカを目指した日本人アーティストは多いが、成功したと言われる人は少ない。中でも、男性アイドルグループとなると、さらに難易度は高い。しかし、“歌って踊れる”というアメリカ流のショービジネスに近いスタイルをとっているのが、彼ら“ジャニーズ系アイドルグループ”だ。それだけに期待は膨らむ。

アメリカでの成功は「至難の業」

 果たして、彼らが、アメリカで人気を博し、そして世界進出を成功させることができるのか。「ハードルはかなり高い」と話すのは、レコード会社関係者。

「アメリカだけでなく、世界的に日本の音楽の人気は取り沙汰されますが、それは日本のアニメが人気で、それに付随した曲、“アニソン”人気なわけです。ポップスとなると、また違います。アメリカの場合、成功か失敗かは音楽チャートである『ビルボード・チャート』が基準になります。『ビルボード・ホット100』という総合シングルチャートにランクインするのはかなり難しく、日本人ならなおさらです。日本人でシングルチャートで1位を獲得したのは、60年以上も前の坂本九さんだけ。成功の目安は、だいたい40位以内と言われています。全米デビューしただけでなく、まずビルボード・チャートにランクインし、そして40位以内に入らなければ成功とは言ません。これは、日本人にとって至難の業と言えるでしょう

『Number_i』の3人(左から岸優太、平野紫耀、神宮寺勇太)

 ハードルが高い理由はいくつかあり、まず言葉の問題。日本人には綺麗な発音で歌っているように聞こえても、アメリカ人にはそうでもなかったり、また“歌って踊れる”というコンセプトが同じでも、求めている要素がアメリカ人と日本人では異なるという。

「アメリカ人は“完璧さ”を求める人が多く、特にエンタメでは歌でもダンスでも完成度が低いと見向きもされません。日本の場合、アイドルは歌やダンスのスキルに関してそれほど重要視されず、まず“かっこよさ”や“可愛いらしさ”でしょう。そして、“推し”が無名のころに誰よりも早く目を付けて、成長する姿を見守りながら、応援して人気者に育て上げることに喜びを感じるのが日本のアイドルファンです。同じアジアのアイドルでも、K-POPアイドルは徹底して鍛えられ、完成した姿でデビューとなります。こちらのほうが、アメリカ人のニーズに合っているんです」(ベテラン音楽プロデューサー)

 これはBTSがアメリカ、そして欧米で人気を博した理由の一つでもあるが、K-POPのグローバル化は“国策”でもあり、国を挙げて力を注いできたし、またファンも一丸となって彼らをバックアップしたからだという。

 とはいえ、日本のアイドルグループも、歌やダンスのスキルは過去と比較して完成度は遥かに高くなっている。プロデュース能力は「ジャニー喜多川氏を超えている」と言われている滝沢氏が鍛え上げた『Number_i』。“全米が沸いた”と言われる日は、果たして――。