坂本花織 撮影/JMPA

 ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックで、現役引退を表明していた坂本花織選手。フィギュアスケート女子で団体と個人で銀メダルを獲得。競技を終えたインタビューでは、「たくさん力をもらって、ここまで来れた。本当に感謝したい」と、涙ながらに語っていた。

『スコーン』でファンが験担ぎ

 そんな坂本が思わぬ“社会現象”を巻き起こしている。きっかけは、彼女自身の何気ないひと言だった。

「2022年の北京大会で、ショートプログラム前の練習中、ターンで転倒した際に“気づいたら、スコーン。天井見えてた”と表現していました。この独特な言い回しからフィギュアファンの間では、スナック菓子の『スコーン』を食べて“転倒を代わりに引き受ける”という験担ぎが始まりました。SNSでは《#カオリのスコーンは引き受けた》のハッシュタグが広まり、スケートの大会のたびに『スコーン』を手にして応援するファンが増えていったんです」(スポーツ紙記者)

 この“スコーン現象”について、『スコーン』を製造・販売する湖池屋の広報担当者に話を聞いてみると、

「焼き菓子の『スコーン』だけでなく、弊社の商品を“願掛け”に食べてくださっている坂本さんのファンがいらっしゃることを知り、大変嬉しく思っております」

 同社は2月6日、公式Xで《スコーンが願掛けに使われているんだとか…》と投稿していた。すると、思わぬ反響が寄せられたという。

「坂本さんのファンのみなさまが、投稿内に使っていた“ひまわりの絵文字”にも気付いてくださり、“湖池屋のSNS担当はわかっているな”というコメントをいただきました。ファンのみなさまも弊社の投稿を喜んでくださり、とても印象深く嬉しかったです」(湖池屋の広報担当者、以下同)

 ファンの間では、坂本に関する投稿をする際に、ファンマークのようにひまわりの絵文字を使用することが浸透していたため、湖池屋の坂本を匂わせる投稿に反響を呼んだ。

ロングセラー商品の“新たな価値”

 験担ぎとして『スコーン』を食べるという“文化”が生まれたことについても、率直な思いを明かす。

「スコーンという商品名は“スコーン! とヒット商品になるように”という願いを込めて付けたものです。“転倒を引き受ける”という意味合いで召し上がっていただいていることを知り、40年近く続いているロングセラー商品の“新たな価値”を知ることになりました。率直に言うと、とっても嬉しいです!」

 売り上げへの具体的な影響は、まだ明確ではないものの、SNS上では複数購入するファンや、今回をきっかけに手に取ったという声も多く見られるという。

《スコーンが願掛けに使われているんだとか…》と坂本花織を匂わせる投稿をしていた湖池屋(公式Xより)

「今回のムーブメントをきっかけに、複数のスコーンを購入してくださっている方や、初めて購入しておいしかったというコメントも拝見しています。多くの方に、スコーンを手に取っていただく機会につながっていると感じています」

 現時点で、坂本の名前を冠したキャンペーンなどの予定はないものの、今回の反響を前向きに受け止めている。

「フィギュアスケートを応援するときはもちろん、“誰かを応援するためのスナック”という存在につながるような企画は、今後ぜひ検討したいと考えております」

 最後に広報担当者は、銀メダリストへ祝福の言葉をこう送った。

「坂本選手、銀メダル獲得おめでとうございます! ゲン担ぎとしてお力になることができ、とても光栄です。こちらこそ、元気や力をいただきました。本当にありがとうございました」

 1人のアスリートによる何気ない言葉から生まれた“験担ぎ”が、五輪という舞台の感動につながった。