2月22日に閉幕したミラノ・コルティナオリンピック。“りくりゅう”こと三浦璃来・木原龍一ペアが、フィギュアスケートのペア競技で金メダルを獲得した。
「冬季オリンピックでペアフィギュアスケートの金メダル獲得が日本で初めてということもあり、国内では喜びの声にあふれています。また、SNS上では演技の写真や動画が世界中に拡散され、話題は尽きません」(スポーツ紙記者、以下同)
1000万円の「ボーナス」贈与税の懸念
演技直後も現地のイタリアでは大きな拍手が鳴りやまなかった。そんな快挙のウラで、ひときわ注目を集めたニュースが!
「りくりゅうペアは木下グループという不動産などを手掛ける会社に所属しています。今回のオリンピックでの活躍を受けて、木下グループから1人1000万円ずつ、合わせて2000万円の“ボーナス”を2人に支払う予定であることが報道されました」
所属先からの粋な計らいに賞賛の声が相次いだが、懸念点もあるという。
「ボーナスは会長のポケットマネーで支払うことも報道されました。その場合、“贈与税がかかるのでは?”と心配の声が上がっています。フィギュアスケートは非常にお金がかかる競技の1つ。かつて木原選手とペアを組んでいた高橋成美選手が昨年テレビに出演した際、“賞金を得ても赤字は当たり前”と話していたことも。世界中に感動を届けたふたりへの感謝のはずなのに、税金が引かれて支払われることに疑問を感じるのも当然かもしれません」
果たして、本当にりくりゅうペアへの“ボーナス”に贈与税はかかるのだろうか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士はこう解説する。
「会長が個人のポケットマネーとして選手に1人1000万円を無償で渡す場合、税務上は“個人から個人への贈与”と評価され、原則として贈与税の対象になります」
贈与税のかからない方法で“ボーナス”を渡す方法は
やはり、個人間での大きなお金の受け渡しには贈与税がかかってしまうようだ。今回のケースだと、1人につきどれほどの贈与税がかかってくるのだろう。
「贈与税は、1年間にもらった贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残りに税率をかけてから控除額を差し引いて計算します。仮に1人が1000万円を受け取ると、一般税率の目安で約231万円前後の負担になり得ます」(正木弁護士、以下同)
2人合わせると500万円近く、約4分の1が税金として持っていかれてしまうという。贈与税のかからない方法で“ボーナス”を渡す方法はあるのだろうか。
「“贈与税がかからない形”にしたい場合、個人間の贈与と評価されないように、支給の実態と根拠を整えることです。たとえば会社(法人)がスポンサー契約や社内決裁に基づき、広告宣伝や報奨として支給する、あるいは競技団体・主催者が規程に沿って賞金として支給する、といった形なら、贈与税ではなく所得税の対象になりやすくなります」
しかし、その場合はほかの税金が発生する点に注意をしなければならない。
「もちろん、課税が贈与税から所得税へ移るわけですから、決められた所得税を負担する必要があります。しかし贈与税より所得税のほうが税額が低くなる可能性があるので、検討して頂きたいです」
日本ペア史上初の金メダルという、プライスレスな感動を届けてくれたふたり。その感謝がよりよい形で本人たちに届くことを願う――。
◆弁護士プロフィール 正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや交通事故・相続・労働問題・離婚・借金など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、ユア・エース公式チャンネル「ちょっと気になる法律相談」では知っておきたい法律知識を配信中。
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