2月14日、静岡県警は約7時間にわたり、伊東市にある田久保真紀前市長の家宅捜索を行った。
6つの容疑と8つの事件で刑事告訴の田久保真紀前市長
「2025年5月にあった伊東市の市長選挙で、田久保前市長は“東洋大学を卒業”という虚偽の学歴を報道機関に公表させたことが、公職選挙法違反や有印私文書偽造罪等を含む6つの容疑と8つの事件で刑事告訴されています。
市議会から二度の不信任決議を突き付けられて失職した後、2025年12月に出直し市長選に出馬しましたが、あえなく落選。田久保前市長の学歴詐称疑惑は刑事事件となって、警察による捜査が本格化しています」(スポーツ紙記者)
田久保氏が“卒業証書”とするモノとは、いったい何だったのか。警察が繰り返し提出を求めているが、田久保氏は「押収拒絶権」を理由に拒否している。
“モノ”は、田久保氏の弁護士が所属する東京の事務所にある金庫で保管してあり、「押収拒絶権」とは弁護士が業務上で預かった「他人の秘密に関する物」について一定の条件下で「差し押さえ」を拒否できる刑事訴訟法に規定された権利だという。
ただし、警察側が、裁判所が発する「令状」を取得すれば、物理的な押収は不可能ではない。なのに、なぜ警察は踏み切らないのか。
弁護士が指摘するリスク
『アディーレ法律事務所』の橋優介弁護士は、そのリスクをこう指摘する。
「確かに強制的に押収すること自体は不可能ではないのですが、事後的に、その押収が違法な捜査だったと判断されてしまうと、田久保氏が起訴された際の刑事裁判において、押収した“卒業証書”が証拠として使えなくなる可能性があります」
強引な押収は“証拠の無効化”になりかねない。つまり、静岡県警が東京の弁護士事務所まで行って、家宅捜索に踏み切る可能性は低いという。また、田久保氏はかつて“卒業証書なるモノ”を議会に持ち込んで、自身で計ったという19.2秒、それを掲示したとしている。こうした行為によって、すでに「秘密性」は失われているのではないか、といった指摘もある。
「議長や副議長など、議会のごく少数の関係者にのみ、19.2秒という比較的短時間の掲示をしたにとどまるということであれば、捜査機関や裁判所に対しては、秘密を放棄していないということで、依然として“秘密に該当する”とする余地はあると考えられます」(橋弁護士、以下同)
要求に応じない田久保氏が警察によって“逮捕”される可能性は……。
「現時点では低いと考えられます。逮捕には、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることが要件として必要になります」
事情聴取には応じており、“モノ”も弁護士が保管している状況では、本人逮捕の必要性は認められにくいのが実情のようだ。今後については、警察は“モノ”の押収を断念して、別の容疑での立件へと軸足を移す可能性があるという。
「最終的には、捜査機関が“卒業証書”の押収を断念することで決着するのではないかと思います。公職選挙法違反や地方自治法違反など、必ずしも“卒業証書”といわれる書類がなくても立件できる可能性のある嫌疑もあるようですから、捜査機関は、そちらでの立件に注力する形に力点を切り替えるのではないかと思います」
19.2秒だけの“チラ見せ”から発展した騒動は、まだまだ収まりそうもない。
