2月22日、フィギュアスケートの全エキシビションが終了し、ミラノ・コルティナ五輪は17日間にわたる熱戦の幕を閉じた。日本勢は冬季大会として過去最多となる合計24個のメダルを獲得、なかでもフィギュアスケートでは「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組の金メダルを含む、全種目でのメダル獲得という快挙を成し遂げた。しかし、その結果の裏で、今大会もまたフィギュアスケート特有の“採点問題”が物議を醸している。
アイスダンスで“スキャンダル”
今大会のフィギュアスケート競技では、複数の種目で不可解な採点が議論の対象となった。まず大きな波紋を呼んだのが、2月11日に行われたアイスダンスだ。
「優勝候補の筆頭だったアメリカのマディソン・チョック、エバン・ベーツ組が、フランスのロランス・フルニエボードリ、ギヨーム・シゼロン組にわずか1.43点差で競り負け、銀メダルとなりました。この際、フランス人審判が自国ペアに対し、他の審判の平均よりも8点近く高い得点をつけていたことが判明。9人中5人の審判がアメリカ勢を支持していたにもかかわらず、一人の突出した採点によって順位が入れ替わったとして、アメリカメディアを中心に『スキャンダル』との批判が噴出しました」(スポーツ紙記者、以下同)
波紋を広げた採点はこれだけではない。女子シングルでは、6位に入ったロシア出身のアデリア・ペトロシャン(中立選手として参加)への採点をめぐり、カザフスタンの審判が問題視された。
「ペトロシャンはフリーで転倒がありましたが、カザフスタンの審判は彼女を1位と評価し、逆に金メダルのアリサ・リュウや銀メダルの坂本花織ら上位勢を過小評価していました。その審判が元カザフスタンの選手で、ロシア人コーチに師事していた経緯から、旧ソ連圏の政治的なバイアスではないかと指摘されています」
日本の採点でも物議を醸した。団体戦の最終種目となった男子フリーでは、佐藤駿がノーミスの完璧な演技を披露したものの、ミスが目立ったイリア・マリニン(米国)のスコアに届かず、日本はわずか1ポイント差で金メダルを逃した。これには欧州の放送局『Eurosport』からも「日本が上だと思った」と疑問を呈する声が上がる事態となった。
ただ、フィギュアスケートにおける“疑惑の採点”は、今に始まったことではない。最も有名なのが、2002年のソルトレークシティ五輪だ。
「ペア競技においてフランス人審判が『自国の他種目を有利にするためにロシアを勝たせる』という信じがたい“票の交換”を告白。最終的に金メダルが2組に授与されるという前代未聞の不祥事へと発展しました。この事件を受けて、匿名性を排除した現在の採点方式が導入されましたが、それでも人間の主観が入る以上、不正や偏りの懸念は拭えていないのが実状です」
こうしたなか、米国のスポーツ専門メディア「スポルティコ」が今大会の全ジャッジを対象に行った詳細なデータ分析の結果が、世界中に衝撃を与えている。
日本を「最も偏見が少ない」と名指し
「同メディアは『フィギュアスケートには採点上の問題がある。データがそれを物語っている』とし、審判が自国の選手にどれだけ甘い点数をつけているかを統計的に算出しました。分析によると、ショートプログラムでは審判36人中30人が、フリーでは29人中25人が、他国の選手より自国の選手を高く評価する傾向にありました。平均すると、自国の選手には他国の審判の平均より3.34点高い点数が与えられているという、いわゆる『自国贔屓』が常態化している実態を浮き彫りにしたのです」
特に偏りが顕著だったのは開催国イタリアの審判で、自国選手に対し平均で7.09点もの“上乗せ”をしていたという。
その一方で、同メディアが「最も偏見が少ない」と名指しで絶賛したのが、日本の審判員だった。
「驚くべきことに、日本の審判員は他国の選手よりも、自国の選手に対して低い点数をつける傾向にあることがデータで示されました。長年フィギュアを取材する関係者の間では、『日本人特有の謙虚さなのか、贔屓を疑われることを恐れる保身なのかはわからないが、日本ほど自国に厳しい国はない』と言われてきましたが、それが科学的に証明された形です」
この分析結果が報じられると、SNS上では日本のファンから多くの反響が寄せられた。
《身びいきすることなく公正にジャッジしてるなんて誇らしい。これぞスポーツマンシップ》
《それなのに金1銀3銅2ってやばくない? 自国審判の援護射撃がない中でのこの結果は実力だけで勝ち取った証拠》
他国が自国の威信をかけて採点を“上乗せ”するなか、日本は公正なジャッジを貫き、選手たちもまた、その“逆風”を跳ね返す圧倒的なパフォーマンスを見せたことになる。
日本人審判の誠実さと選手たちの真摯な戦いぶりは、次回の冬季五輪でもきっと見られることだろう。
