「あのときの記憶、感情を思い出すことは、興味深い作業になりそうだと思って引き受けました」
こう語ったのは、韓国のユン・ソクホ監督。ユン氏といえば、日本で韓流ブームの先駆けとなったドラマ『冬のソナタ』の監督だ。この作品が23年という時を経て、映画に形を変え“日本特別版”として3月6日に公開される。
『冬のソナタ』の復活
公開に先駆け、2月26日に上映会が開催され、編集作業を行ったユン監督と、出演者のチェ・ジウの吹き替えをドラマで担当した田中美里がトークイベントに参加した。
しかし韓流ブームに火をつけた作品とはいえ、20年以上たった今、なぜ日本特別版の映画としてリメイクされたのだろうか?
「『冬ソナ』は韓国でもヒットしましたが、その何倍も日本で愛されたという認識を韓国の制作スタッフが持っていたそうです」
こう話すのは、今回の映画の宣伝プロデューサー、漆戸睦さん。
「2023年が作品の20周年だったのですが、そのときに“日本のために何かやりたい”と思われたそうです。そこで映画化の話が持ち上がったのですが、準備などで時間がかかってしまい、このタイミングになったと聞きました」(漆戸さん)
放送当時、“純愛”“初恋”を描いたストーリーはもちろん、“ヨン様”こと主演のペ・ヨンジュンの魅力に、多くの女性が夢中になった。
聖地巡礼としてロケ地を訪れたり、ドラマ好きで知り合った人たちがコミュニティーをつくり、オフ会を開いたり。ファンたちも時間がたって、それだけの“熱”はないのでは、と思ったが……。
「上映会のチケットが、1日たたずに完売したんです。このことで、ファンの方に受け入れられる、と確信しました」(漆戸さん)
上映会当日、映画に生まれ変わった作品を見た観客に話を聞いてみると、
「感動しました。一瞬で20年前に戻った感じです。この作品でつながった友人とは今も会っていて、ときどきオフ会もするんです。映画の前売り券も買ったので、また公開日にみんなで見に行きます」(70代女性)
20話1400分のドラマを、2時間の映画にするということで、単なる“総集編”になるのでは、とも思ってしまうが、
「ドラマでは脇役キャラについてのストーリーも描かれていますが、今回の映画化によって、主演2人の話に集中させています。単なる切り貼りではなく、初めて見た人でも理解できるようになっていますし、ある意味、新しい作品になっています」(漆戸さん)
ファンたちの“熱”を再燃させるきっかけになりそうな映画化。そこで気になるのが、ヨン様の現状なのだが、
「芸能界から離れてしまって、ユン監督も連絡が取れないそうです。でも、思い出の中で“あのときのまま”で止まっているのも、神秘的でいいんじゃないでしょうか」(漆戸さん)
20年以上の時間がたち、姿を消しても影響力を持ち続けるヨン様、恐るべし─。
取材・文/蒔田稔
