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 高市早苗首相(64)は2月20日の施政方針演説でこう力を込めた。

「日本経済のパイを大きくするとともに、物価上昇に負けない賃金上昇を実現します。国民のみなさまに成長の果実を実感していただき、日々の暮らしと未来への不安を“希望”に変えていこうではありませんか」

4月は2516品目が値上げとなる見通し

 しかし、物価高を上回る賃金アップを獲得した国民がどれだけいるのだろうか。食料品の消費税率を2年限定でゼロにする案などを議論する「国民会議」は初会合を開いたばかり。当面は自助努力で家計をやりくりするしかない。

 帝国データバンクが2月27日に公表した食品主要195社の価格改定動向調査によると、3月の飲食料品値上げは684品目。ご飯系冷凍食品やパスタ調理品、切り餅などの加工食品が最も多く、ほかに果汁飲料や緑茶ペットボトル飲料、ドレッシング類が目立った。4月は2516品目が値上げとなる見通しだ。

 一方、単月3000品目を超える値上げは昨年10月(3161品目)以降はなく、値上げ自体は落ち着きをみせている。'26年上半期でみると、菓子類などで“減量値上げ”が散見されるほか、メーカーが値上げ商品を選別する動きもみられるという。

 経済ジャーナリストの荻原博子さんは言う。

「食料品の消費税率がゼロになるにしても、いつになるかわかりません。物価はまだ上がりそうですし、むしろ物価高が普通だと捉えたほうがいいでしょう。日銀は物価上昇率2%を目指していますし、下がる見通しがないんです」

 好みの商品が値上げするならば、その前に購入しておきたいのが庶民感情だろう。企業のプレスリリースなどを確認すると、4月1日納品分などから出荷価格や希望小売価格を値上げする主な商品は別表(次頁)のとおり。

 マヨネーズを値上げする味の素はその理由について、鶏卵などの原料価格、包材費、物流費、人件費などが上昇傾向にあるとした上で《企業努力の範囲内でコストアップを吸収することが困難》などとして理解を求める。

「あってもいいは、なくてもいい」

 ほかにも、西日本鉄道は4月1日から、初乗り運賃について現行170円を180円に。JR東日本は3月14日購入分から初乗りを150円から160円に上げ、通勤定期運賃も値上げする。

 マクドナルドはチーズバーガーなどを20円値上げしたばかり。はま寿司は3月3日以降は深夜料金として一律7%を上乗せ。セブン-イレブンもおにぎりや弁当を順次値上げするなど、至るところで値上げが続出している。価格が上がる前にトイレットペーパーやカップ麺、マヨネーズなどは買っておいたほうがいいかもしれない。

「4月から電気・ガス料金の補助が切れる予定のほか、子ども・子育て支援金の徴収が始まります。負担が増えるのでムダなお金を使わないようにしましょう。自宅を出る前にスマホで冷蔵庫や野菜室の写真を撮るのがおすすめです。あとで買い置きを確認できますし、余計な購入を防いで食品ロスを減らせます。冷蔵庫などにはしなびた野菜や消費期限切れの食品がけっこうあるものです」(荻原さん、以下同)

4月から値上がりする主な商品

 心がけひとつでムダを省く工夫はできるという。

「買い物時に夕食のメニューを決めている人は、意外にも半分ぐらいしかいません。決めてから買い物をするほうがムダ遣いを防げますが、決めかねている人はまず惣菜売り場を眺めて、例えば八宝菜がおいしそうだったらその惣菜は買わず、八宝菜を作るのに必要な食材だけを買うんです。それと、買い物は夫や子どもとは行かないほうがいい。“これ、おいしそう”とカートの中にどんどん放り込んできたりしますから。また、毎日買い物に行く人はカートを使わないようにしましょう。買い物カゴを持つほうが徐々に重くなって買いすぎを防げます。“あってもいいは、なくてもいい”と考え、どうしても必要なものだけ買うようにしましょう」

 値上げで家計の圧迫が続くなか、買ったものを本当に消費期限内に食べきれるのか、冷静に考えたい。

教えてくれたのは…おぎわら・ひろこ 1954年、長野県生まれ。大学卒業後、経済事務所勤務を経て'82年に経済ジャーナリストとして独立。生活者の目線で経済をわかりやすく解説する。『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)など著書多数