北海道八雲町で進められていた新庁舎の建設計画が、白紙撤回されることになった。設計を担当した世界的建築家・隈研吾氏の事務所は、この決定を疑問視するコメントを発表。しかし、世間の反応はなぜか計画中止に賛同する声が多いようだ。
新国立競技場なども手掛けた隈研吾氏
現在の八雲町役場は昭和36年に建てられたもので、老朽化が問題になっている。そこで新庁舎の建設計画が進められ、公募により新国立競技場なども手掛けた隈研吾氏の設計が選出。木造の大屋根が特徴的な建物で、当初の予定では2027年度完成だった。
「隈氏が設計した時点での建設予定額は、33億円ほどでした。しかしその後、資材費の高騰などがあり追加で9億円が必要となると判明。その後、入札が2回あったものの参加した事業者はゼロでした」(地方紙記者)
八雲町では1月23日に住民説明会を開催。計画の白紙撤回に賛成する町民は多いものの、設計費の1.9億円を無駄にすることに怒りの声もあがった。萬谷俊美町長は《税金を納めている方に申し訳ないと思っています。少しでもシンプルに安く建てたいという思いですから、今回こうやって立ち止まってやり直そうという方向性を切りたいというのが、私の思いでございます》と話す。
町民からは
《税金を1.9億円もドブに捨てたのか》
《豪雪地帯なのになんで雪が積もるような大屋根なんだ?》
《こういう雪の多いところだから、雪にも強い地元の建築会社さん、設計する人。そういう人を使ってほしい》
などの声が出ている。
「そもそも計画がスタートしたのは、2022年の前町長時代でした。当時も建設費用が高すぎると物議を醸しており、1回目の入札は不調に。その後、2025年10月に前町長は引退しています」(前出・地方紙記者)
白紙撤回を受け、隈氏の事務所は予算と施工者の積算額が折り合わない事例は各地であるとしたうえで、《その場合は予算に合うように、建築の仕様等を変更しながら減額し、予算に合わせていく手順を無償で必ず行うようにしています。今回はそのような機会のお声がけがなく、突然の白紙撤回となり、とても不思議に感じています》とコメントを出した。
賛同の声が多数
その一方で《長期的な維持管理を考えたら止めて良かったと思う》《この人の建築物は木材がボロボロになるからね》《公共施設は使いやすさやメンテナンスが重要。有名な建築家は使わないほうが無難だよ》《建設が始まる前に気付けてよかったよね》《私は英断だと思います》と賛同する声が多く聞かれた。
実際、隈氏が設計し2000年に開館した栃木県の那珂川町馬頭広重美術館では、建物の老朽化が大きな問題となった。
地元の杉を使ったルーバー(羽板)で覆われた特徴的なデザインだったのだが、風雨にさらされ腐食が進み改修が必要に。改修設計を隈氏の事務所に依頼したものの、木製ルーバーでは耐用年数が短く費用も高額になると判明。最終的に木目調のアルミ素材で代用し、改修費用は約2.5億円となった。
北海道八雲町の今回の判断。設計費用の1.9億円をドブに捨てたのか、それとも白紙撤回は英断だったのか。今後を見守りたい。
