元横綱・照ノ富士の伊勢ヶ濱親方

 2月27日に、元横綱・照ノ富士の伊勢ケ濱親方(34)が弟子へ暴力を振るっていたことが発覚。処分が発表されるのは3月場所後となる見通しだが、すでに相撲界の一大勢力が起こした暴行事件は角界を揺らしている。

元白鵬の弟子・伯乃富士への暴力行為

「株式会社アソビダス」設立記者発表会に参加した元横綱・照ノ富士(撮影/伊藤和幸)

 問題となっているのは、伊勢ケ濱親方による弟子の幕内・伯乃富士(22)への暴力行為だ。伊勢ケ濱親方は2月24日に日本相撲協会に出向き、事件について自ら申告。伯乃富士と、当時現場にいた錦富士(29)とともに協会の聴取を受けたという。

 事件が明るみに出た同日、部屋宿舎で取材に応じた伊勢ケ濱親方は、「2人と話して、“協会に事実を2人の口から話してくれ”と。自分がやったことも協会に話すからということで3人で一緒に行った」と説明。

 部屋の力士たちにも事情を話し、「自分から皆さんを集めて、責任ない行動を取ってしまったことだから、皆さんに謝ることをした」とのこと。部屋の稽古指導は続けており、事件の詳細については「全て協会に事実をお話しして、処分を待っている。これ以上話して、話がこじれるのが良くない。協会からちゃんと答えが出ると思うので、それまで皆さんには待っていただければ」と語るに留めた。

「22歳の伯乃富士は、将来を期待される若手力士です。かつては元横綱・白鵬の宮城野親方(40)の愛弟子で、『伯桜鵬』という四股名で活躍していました。しかし2024年に起きた暴力事件をきっかけに、宮城野部屋は一時閉鎖。伯乃富士は兄弟弟子らとともに伊勢ケ濱部屋に転籍し、今年の初場所から四股名を『伯乃富士』に改名しています。今回の一件は心機一転、幕内初優勝と三役昇進を目指してスタートを切った矢先の騒動でした」(スポーツ紙記者)

相撲協会による「暴力決別宣言」

 伊勢ケ濱親方は、誰よりも「暴力」の危うさを理解していたはずだった。宮城野部屋の一件はもちろん、2018年に相撲協会が「暴力決別宣言」をするきっかけとなった事件もよく知っていたからだ。

「相撲協会による『暴力決別宣言』は、伊勢ケ濱親方が現役の照ノ富士時代、同郷モンゴル出身の兄弟子だった元横綱・日馬富士(当時伊勢ヶ濱部屋=41)による貴ノ岩(当時千賀ノ浦部屋=モンゴル出身=36)への暴行事件をきっかけに出されたもの。伊勢ケ濱親方は、現役横綱が引退までする姿を目の前で見ていました。しかし、角界に根付いた暴力の連鎖はなかなか断ち切れないのかもしれません。実際、かつては被害者であった貴ノ岩も、後に付き人への暴行で引退しています」(前出・スポーツ紙記者)

『デイリー新潮』によると、事件が起こったのは後援会関係者も交えた酒席でのこと。太いタニマチとして知られる人物が女性を伴って参加したところ、泥酔した伯乃富士が女性に絡んで失礼な態度を取ったという。これにタニマチが立腹。伊勢ケ濱親方も激怒し、伯乃富士を殴打した。かなり強い力で殴ったのか伯乃富士の顔面は腫れ上がり、目も開けられないほどだったようだ。

 なお、伊勢ヶ濱部屋は現在、墨田区内の5階建てマンションを拠点としているが、両国エリアに新たな部屋を建設する構想が進んでいるとされる。

伊勢ヶ濱部屋建築予定の墨田区両国の土地。“建築費20億円のビッグプロジェクト“との報道も。国技館まで徒歩約5分の好立地

 総工費は20億円規模ともいわれる大掛かりな計画だが、当初の見通しより工程が遅れており、親方は焦りを募らせていたのではとのことだ。

 宮城野部屋の一時閉鎖に伴う2部屋合併により、31人の力士を擁する最大勢力となった伊勢ヶ濱部屋の暴行事件。協会としても、今回の事件の対応には難儀するだろう。