'24年度前期に放送された朝ドラ『虎に翼』。佐田(猪爪)寅子(伊藤沙莉)が日本初の女性弁護士のひとりに、そして裁判官となる物語は多くの視聴者に愛された。
“スピンオフやりたい”という話はしていた
終了から約1年半。朝ドラ本編では描かれなかった寅子の明律大学の同級生・山田よね(土居志央梨)と轟太一(戸塚純貴)のバックストーリーがスピンオフ『山田轟法律事務所』として3月20日に放送される。
終戦直後の東京・上野。よねが数多の不条理に絶望しながらも、轟とともに法律事務所を設立する背景は─。
─スピンオフの制作を聞いたときの気持ちは?
戸塚「瞬間的にうれしかったですね。“お、マジ!?”みたいな。すごく大好きな作品でしたし、僕にとってはご褒美をいただいたというか(笑)。本編撮影中“よねと轟でスピンオフやりたい”という話はしていたので“本当に形になるとは!”とびっくりしましたね」
土居「その話をしていたときは、山田轟法律事務所の日常というイメージで(笑)。身近な事件を解決していく、みたいな」
戸塚「本当に。ワンシチュエーションコメディーみたいな(笑)」
土居「こんなハードなスピンオフになるとはまったく想像していませんでした(笑)。戦後、轟と再会する前のよねがどう生きていたかがスタートだと聞き、そこをやるとはまったく予想していなかったのでびっくりしました。でも、私もいちばん気になっていた部分だったので」
─本編では終戦直後、よねの生死がわからない時期がありましたね?
土居「そうなんです。本編でよねが再登場したときは“カフェー燈台”の壁に(法の下の平等を制定した)憲法第14条(日本国憲法第14条第1項=すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。<原文ママ>)がバーンと書かれている状態で。
しかもあの文字って、怨念がこもってるというか、それこそ、よねの血で書いたのかくらいの感じのものだったから(笑)。その謎がついに解き明かされることもうれしかったですね」
戸塚「僕も、今作で初めて知ることができて、とても感動しました」
─よねと轟、お互いが演じているキャラクターの魅力は?
轟ひとりでは、きっと法律事務所をやる決断に至らなかった
戸塚「よねは、芯のブレなさ。それこそ学生時代から自分をまったく曲げずに生きてきたのは、すごく大変なことですよ。自分で生きづらくしてるところもあるかもしれないけど(笑)。でも、その不器用なところもすごく人間味があって。
轟とは似ているようで、真逆の人。轟は強さの鎧をまとってはいても、中身はすごく柔らかくて。気持ちを人に合わせられるところが、よねの信頼を生んだのかなって思いますね」
土居「本当にそう。やっぱり轟はとても柔軟な人で、バランサー。きっと“轟がいたからなんとかなった”とか“よねだけだったら穏便に済んでいない”みたいな場面はいっぱいあるんだろうな(笑)。多分そういうところを、よねもすごく頼りにしているんだと思います。その柔らかな部分が、やっぱり轟の魅力ですね。
それにしても、本当に轟は学生時代から変わったよね。あ〜んな髭を生やして“おまえら!”とか言ってた人が(笑)。あそこまで変われることに、よねは羨ましさもちょっと感じているんじゃないかな? そんなふうに生きられたらすごくいいのに自分はそうできない、みたいな」
─改めて、よねと轟が互いをパートナーに選んだ理由はどこにあると思う?
土居「よねは、虐げられている人を救おうという思いがとても強い人。生い立ちはあるにせよ、正直、“なぜ、そこまで人のために動けるんだろう?”と思っていましたが、今作で腑に落ちました。よねは“人のため”じゃなくて、“自分は弱い立場の人たちを救い続ける”“平等な世界を目指していく”それを心に決めてやっている人なんだな、と。
轟との再会は、よねがそう心に決めたタイミング。よねにはとても運命的だったんじゃないかと思っていて。その瞬間に“この人と一緒に生きていくんだ”と、すべてを悟ったんじゃないかな。だから、よねから“事務所をやろう”と誘ったんだと今回、すごく思いました」
戸塚「轟は後に、自分の性的マイノリティーについて知っていくんですけど。人に対して強く見せたり、本当の自分を無意識に隠しながら生きてきたところがあって。復員して、最愛の友人・花岡(岩田剛典)の死を知り、仮面をかぶっていた自分を保てなくなっていたタイミングで、決意を固めたよねと再会したので。
思い返せば、学生のころから競い合って過ごしてきて。改めて再会して、人に言えなかったことも、よねには自然と言葉が出てきたり。“一生のパートナーとして、これから共に生きていける”という勇気を与え、導いてくれた人だと思うので。轟ひとりでは、きっと法律事務所をやる決断に至らなかったと思う」
─本編時代から仲良しのふたり。お互いが知っている“いいところ”を教えて。
“この人すごいな”と思って、泣きそうに
土居「純貴くんの?」
戸塚「ある? あるの?」
土居「いっぱいあるよ〜(笑)。純貴くんはやっぱり、楽しい人。基本的に轟の柔らかい部分は、純貴くんが持ってるものだと思っていて。その場にいてくれるだけで、みんなが和む。そこはやっぱりすごい素敵だと思いますね。
あとは、切り替え! 普段はふわっとしているのに。印象的だったのは、(本編で)轟が花岡への思いを初めて寅ちゃんに話すシーン。あれに私はとても感動して。“純貴くんってこういう芝居もできるんだ”って、ちょっと悔しかった(笑)」
戸塚「悔しかった!?」
土居「うん。“この人すごいな”と思って、泣きそうになった」
戸塚「ありがたいですね。そんなふうに言っていただいて。土居さんは、すごく大人。とっても大きな人だと思います。同世代でいるときも率先して楽しんでいるんだけど、やっぱり最後はちゃんと収めてくれる人というか、いちばん冷静。だからみんなが甘えられる。結構、受け入れ態勢あるよね?」
土居「あるかもね。長女だからかな? あれ、下だっけ?」
戸塚「僕は次男」
土居「そっかー。そういえば沙莉とかも下だもんね(笑)」
戸塚「確かに(笑)」
LINEのラリーは3回
スピンオフ制作決定を受け、ふたりで話したことを尋ねると、
土居「どうっだったっけ?」
戸塚「深い話は……」
土居「全然してない(笑)」
戸塚「俺からLINEしたんだっけ? “すごくない?”みたいな(笑)」
土居「“最高だよね”“イエイ”みたいな。3回のラリーぐらいで終わったよね(笑)」
戸塚「スタンプぐらいな感じね(笑)。いい意味で、そういう変わらなさはありますね」
土居「本編の撮影終了後も、みんなでごはん行ったりとか、たまに会ったりもしていますし。めちゃくちゃ仲良くて」
戸塚「だから久々感はなかったよね」
