ワールドツアーを成功させる実力派ヴィジュアル系ロックバンド『theGazettE』(公式HPより)

 結成20年以上を誇るヴィジュアル系ロックバンド『the GazettE』。メンバーは、ボーカルのRUKI(ルキ)をはじめ、ギターの麗(うるは)、同じくギターの葵(あおい)、ドラムの戒(かい)、ベースのREITAの5人で構成されている。トラブルの発端は、2025年3月、バンドが所属している事務所の代表取締役が辞任する意向を固めたことだった。

バンド内に起きた不協和音

「代表の権利はバンドのメンバーに委任する意向を示したそうです。満場一致で、ドラムの戒さんに代表を務めてもらうことが内定しました。しかし、この代表権にギターの葵さんが執着し始めたのです。事務所の代表になることで、役員報酬が支払われることを期待したのでしょう。そこから、バンド内に不協和音が生じ始めました」(レコード会社関係者)

 バンドは、2002年に結成し、今年で結成24周年を迎える。

「重厚なヘヴィロック、オルタナティブメタルを基盤に、耽美的な世界観と攻撃性を融合させたサウンドで、国内外のファンを魅了し続けてきました。歌詞は人の闇、孤独、社会への違和感などを扱うことが多く、RUKIさんの独特なボーカルスタイルが特徴です」(音楽誌ライター、以下同)

 2007年、アルバム『STACKED RUBBISH』は、オリコン週間1位を記録した。

「さらに、楽曲『SHIVER』は、YouTubeでの再生回数が、1100万回視聴を更新しました。2010年12月に、バンド初となる東京ドーム単独公演を果たしたんです。これは、結成約8年での達成でした」

 順風満帆だったバンド活動だったが、2024年4月、ベースのREITAが急逝。ファンに大きな衝撃を与えた。メンバーは彼の死を乗り越え、活動してきたものの、2025年3月、葵が業務放棄を始めたことで、メンバー内に軋轢が生まれるように……。

「ほか3人のメンバーは、こまめにLINEを送り、歩み寄ろうとするものの、葵さんは拒絶を繰り返し、メンバーは顔を合わせることができなくなったそうです。さらに葵さんは一方的に、バンドを脱退したいと申し出たそうなんです。

 それは、精神的な病により、傷病手当を取得しているためだと主張しました。しかし、いずれはソロ活動か、新たにバンドを組むという“進路変更”を画策していたようです」(前出・レコード会社関係者、以下同)

 同年8月には、事務所に対し、高額な金銭を要求してきたという。

「8月18日、葵さんから事務所宛てに封書が届いたそうです。“賠償金”と書かれており、要求額は1000万円と記されていました。同年9月5日にも、金銭の要求があったそうです。そこには、“慰謝料”と明記されており、およそ800万円を請求されたとか。

 金銭を支払わない場合は、ライブへの出演を拒否するとのことで、アルバム制作やツアーなどのバンド活動を、著しく妨害してきたのです」

 メンバーやスタッフの説得の末、8月25日と9月30日に行われたツアー公演には、葵も出演することに。しかし、11月17日、事務所に内容証明が届く。

葵本人に話を聞いた

「今度は出演したライブのギャランティーとして、およそ800万円を要求してきたんです。名目は“補償金”と記されていました。これまでに明記されていた名目や金額には一貫性がなく、なぜこのようなことをしたのか疑問が残ります」

 葵の突飛な行動は、これで収まらなかった……。

「傷病手当をもらっているにもかかわらず、たび重なる素行不良や、女性に関するスキャンダルが絶えなかったんです。お酒の席で、公表していないREITAさんの死因に関することや、事務所の情報漏洩をしていることも発覚。外部の音楽関係者から、葵さんを注意したほうがいいと言われることもあり、事務所が厳重注意したようです」

 スタッフに対するパワハラも問題視されていたという。

「多くの従業員が業務のために使っているLINEの中で、特定のスタッフを名指しして《同じようなことを繰り返すなら、ほかの人材を探して、彼らは倉庫番にでもしといてください》などと、叱咤することも。

 ライブ終わりに、葵さんが気に入らないことが起こると、スタッフに対し、イスを蹴りつけることもあったんです。ケガは免れましたが、あまりにも危険な行為でした。この威圧的な態度や行動に対し、恐怖を感じて辞めていったスタッフも多数いるといいます」(イベント会社関係者)

2026年2月中旬、『theGazettE』が使用する倉庫から自身の荷物を取り出す葵(左)。その後、荷物は楽器店に搬入された

 葵との間で代表権を巡るトラブルがあったことは事実なのか。所属事務所に聞くと、

「事実です。しかし当初は、会議で次期代表になるメンバーが決まっていました。

 突然、葵が代表権に執着し、暫定で次期代表として決まっていた特定のメンバーに関しての虚偽を吹聴するなど、パワハラに相当する言動がきっかけで、不和が起こったことはメンバー全員で叱責しました。当時は葵も“姑息なマネをして申し訳ない”といった謝罪を行ったと聞いています」

 高額な金銭の要求については、

「事実です。顧問弁護士に対応していただき、このような不当な要求は無視するべきと見解をいただきました」

 当の本人はどう答えるのか。3月上旬、都内で葵を直撃した。

――所属している事務所の代表権を得ようとしている?

「執着はしていないです。the GazettEの所属事務所ではないですが、僕は一度、社長になった経験がある。それがどれだけ重圧がのしかかって、ストレスになるのか理解しているので、代表取締役の役職はやりたくないなと思っているのが本音です」

――事務所に合計3回、金銭を要求した?

「不当な請求はしていないです。正当な要求だと思っています」

――脱退も考えている?

バンドを続けようと思いました。でも、メンバーのREITAが亡くなったことが僕にとっては大きいんです。自分たちのバンドですが、自分たちで意思決定ができないので、メンバーだけでは物事が進まない。だんだん、バンドを続ける意味がわからなくなってきました。バンドをやっているけど、裏ではただ指示されているだけなんですよ。あれをやれ、これを着ろ、この曲はダメだとか。

 それでもいいかなと思っていたんですが、心も病んできて、今、傷病手当金で生活しているんです。医師にカウンセリングをしてもらっているんですが、その環境から離れることができるなら、離れたほうがいいと言われました。それくらい追い詰められていたんです」

事務所は「完全に事実無根」と主張

――脱退の意向は、以前から事務所に伝えていた?

「20年バンドをやってきて、誇りだった。いざ辞めるって思って社長に相談しても、“バンドを辞めたら後悔する”と引き留められました。でも次、同じ気持ちになったら辞めますねって言うと、初めて“わかったよ”って言ってくれたんです。

 今回、改めて脱退したいと事務所に相談したのが、2025年4月で、脱退したのは9月末。半年近く、余裕をもって辞めたので、精いっぱいの誠意だと思ったんですが……」

2026年3月上旬、事務所をめぐるトラブルや脱退について本誌に答えた『theGazettE』の葵

――バンドメンバーには、自分の気持ちを伝えた?

「伝えた方法は逃げだったかもしれないんですが、ZOOMで伝えました」

 葵本人はすでにバンドを脱退している認識のようだ。事務所に確認すると、

「それは彼の一方的な主張です。公式の場で、そのような発表はしておりません。権利関係などの問題もありますので、彼の独断で突然脱退はできないと考えます。

 お世話になったレコード会社の方や、長年応援してくださったファンの方へのご挨拶もなく、そのような主張をしていることに対し、誠に遺憾であります」

 葵は脱退の理由について“自分のやりたいことが出来ない、今の体制に不満があった”と語っていたが、

「そのような事実はございません。彼のやりたい活動を規制するような立場の人間はおりません。反対にほかのメンバーに関して、モラハラのような言動を繰り返す傾向があったとこちらは確認しており、完全に事実無根です。数年前からとなりますと、亡くなったメンバー含め、周りの人間全てにすでに虚偽を吹聴していたことになります」

 食い違う両者の主張。最後に、事務所は葵を正式に解雇するつもりなのか聞くと、

「その部分に関しては、お答えできません」

 どんな形になろうとも彼らの音楽を愛し続ける――。そんな思いで待ち続けるファンのためにも、1日でも早いトラブルの解決が待たれる。