歴代の大河ドラマでも高視聴率をマークしている戦国時代。15世紀末から、16世紀末にかけて下克上の世となり、戦国大名が台頭。英雄豪傑が活躍する、血湧き肉躍るこの時代は、歴史好きの“歴女”ならずとも高い人気を誇っている。
そこで今回は、日本全国30代から60代男女300人にアンケートを実施。嫌いな戦国武将について徹底調査を行った。群雄割拠の戦国時代を制する戦国武将はいったい誰――?
2位に戦国の三英傑の2人がランクイン
「嫌いな戦国武将ランキング」の5位は18票で徳川家康がランクイン。戦乱の世を終わらせた家康なのに、彼はどうして嫌われているのか。
「『大坂の陣』では目的のためには手段を選ばず、恥も外聞もかなぐり捨てて豊臣家をだまし討ちに近い形で滅ぼしました。自分が生きている間に、豊臣家をつぶしてしまおうと考えるのは戦国の世の習い。
とはいえ、こうしたズル賢い手口から、家康は“タヌキおやじ”と陰口を叩かれることになりました。日本人は戦場で華々しく活躍する英雄か、もしくは志半ばで潔く散る悲劇のヒーロー、このどちらかを好む傾向があります。家康はこうした日本人の美意識に反しているため嫌われているのでしょう」(戦国武将に詳しい映像プロデューサーの島右近さん、以下同)
天下泰平の礎を築いた徳川家康も“晩節を汚した”のであろうか。
20票で4位に入ったのが、関ヶ原の戦いで西軍から東軍に寝返ったことから“裏切り者”の汚名を着せられた小早川秀秋である。
「北政所の甥で秀吉の養子にもかかわらず、西軍の大谷吉継隊を攻撃して東軍の勝利を決定的なものにしたことから“裏切り者”の代名詞のように言われてきました。しかし西軍を裏切るにはそれなりの理由があったんです。
秀秋は、秀吉に実子である秀頼が生まれると小早川家に養子に出されました。朝鮮出兵では活躍したのに、西軍の旗頭・石田三成の讒言から領地を大幅に減らされてしまいました」
こうしたことから豊臣家に対して恨みを抱き、西軍から東軍に寝返ったといわれる。一説によると老獪な“タヌキおやじ”徳川家康の手練手管に、一杯食わされたともいわれている。
21票を集め2位にランクインしたのは、戦国の三英傑の2人。驚くべきことに、織田信長、豊臣秀吉の名前が挙がった。容姿端麗の革命児・信長がなぜ、嫌われているのか。
「実はキレやすく家臣の前でも平気で部下を張り倒す。そんな“鬼上司”のような一面も信長にはありました。そして天下統一を急ぐあまり、比叡山延暦寺を焼き打ち。
さらに伊勢長島や越前などで、一向一揆を殲滅するため一向宗の門徒を大量殺戮しています。その結果なのか、天下統一を目の前にして家臣の明智光秀に討たれてしまう。戦国史上、最大の悲劇を引き起こしてしまいました」
いったいなぜ「本能寺の変」が起きたのか。戦国一のミステリーは21世紀を迎えた今も明らかになっていない。
豊臣秀吉も同数2位。飛ぶ鳥を落とす勢いで天下人に上り詰めた秀吉の、どこに欠点があるのか。
「信長の死後、秀吉は隠していた野心をむき出しにして信長の息子たちを排除。天下を織田家から奪い取りました。しかも天下人になってから、甥である関白・秀次を粛清。千利休を切腹させるなど、やりたい放題。傲慢すぎる態度には目に余るものがあります。やがて朝鮮出兵に失敗して失意のうちに世を去りました」
晩節を汚した秀吉の亡き後、豊臣家の運命も風前の灯火。老獪な家康によって手玉に取られてしまう。まさに戦国乱世は“諸行無常の響きあり”ではないか。
1位は断トツで“裏切り者”
そして「嫌いな戦国武将ランキング」1位には36票と2位以下を大きく引き離し、明智光秀が選ばれた。嫌われた理由。それは戦国最大のミステリー「本能寺の変」を起こしたからではないか。
「主君への謀反が、やはり最も嫌われた理由でしょう。信長による度重なる暴言やパワハラに耐えかねたという怨恨説をはじめ、光秀自身が天下を望んだ野望説。秀吉や家康などほかの有力者が裏で光秀を操ったとする謀略説まで、諸説あります」
光秀を主人公にした大河ドラマ『麒麟がくる』(2020年)では、信長の行動と穏やかな世の中の実現を望む光秀の考え方が違ってきたことから「本能寺の変」は起きたとしている。
「明智光秀は美濃の斎藤道三、越前の朝倉義景、足利幕府、そして信長に仕えた苦労人。文武に秀でた光秀を謀反人のひと言で片づけてしまうのは、あまりにも残念です」
さて「嫌いな戦国武将」の6位以下を見ると、「関ヶ原の戦い」に敗れた石田三成、足利幕府の最後の将軍・足利義昭、「桶狭間の戦い」で信長に討たれた今川義元、松永久秀といった名前がズラリと並ぶ。しかし歴史を“勝ち負け”のみで、判断するのはあまりにも危険ではないか。
歴史は勝者によって勝手に作り上げられてしまうもの。いずれ「本能寺の変」の謎が解明され、光秀の好感度が爆上がり。そんな日が訪れる可能性だって十分にあるのだ。
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取材・文/島崎哲平
