巨人の前二軍監督である桑田真澄氏が古巣の練習方針に対して「NO」を突きつけた発言が、多くのファンから注目を浴びている。昨シーズンまで若手を率いていた桑田氏が、厳しい言葉を投げかけた真意はどこにあるのか。
総額1億5000万円の最新設備
3月8日に放送された『サンデーモーニング』(TBS系)。画面に映る桑田氏の表情はどこか険しかった。巨人の現状について問われると、「ジャイアンツは2024年に素晴らしい研究施設、ラボを作ってアメリカのドライブラインのような設備もそろっている。ぜひこのラボをフル活用して、選手育成に生かしてほしい」と提言。
さらに、「昔ながらの練習にちょっとなっているので、今の時代の流れに沿った最新のトレーニングをしてもらいたいなと個人的には思いますけどね」と、現体制の練習方針に公然と苦言を呈したのである。
昨季、球団は川崎市のジャイアンツ球場に隣接する新トレーニング棟「G-BASE(ジーベース)」内に総額1億5000万円の最先端機器を備えた動作解析室、通称ラボを新設。これは主に若手選手の育成を目的に、投球や打撃のデータをリアルタイムで可視化・分析し、フォーム改善に活用するためのもので、桑田氏は在任中、このラボを活用した合理的育成を提唱していた。
「桑田氏の練習方針は、データに基づいた効率的なメニューを推奨する“量より質”の“令和流”。一方の阿部監督は、量を重視する“昭和流”。実際、今年のキャンプでは期待の若手に直接指導する場面が目立ち、名物となった“地獄の連続ティー”では皆川岳飛らを膝から崩れ落ちさせていたほどシゴいていました。
こうした指導方針の違いが、昨オフに桑田氏が電撃解任された理由だったと見る記者は多い。桑田氏にしてみれば、1.5億円もかけた最新設備をフル活用しない現状は宝の持ち腐れに見えて仕方がないのでしょうが、今回の発言は現場を外された“恨み節”のようにも聞こえます」(スポーツ紙記者)
科学的トレーニングが主流となった現代において、“猛練習”は古い考えとする意見も多いが、意外にもそれに異を唱える球界OBは少なくない。
もし阿部監督が優勝を逃せば…
「例えば、ヤクルトやソフトバンクで一軍コーチ経験のある飯田哲也氏はYouTubeで、球界全体が練習不足となったことを嘆き、それによって選手の体力の低下と怪我のリスクを指摘していました。また、落合博満氏も自身が現役時代だったロッテでは、アップをするだけでヘトヘトになるほどの“異常な練習量”だったことを述懐し、『野球で一番必要なものは体力=練習』との持論を展開。とりわけ他球団に比べて巨人の練習量は少ないと言い、巨人の監督をやりたくない理由として『俺の練習についてこれないだろうな』と語っています」(スポーツライター)
ネット上では、この「桑田vs阿部」の構図にファンの意見も二分されている。
《桑田氏の言う通り。精神論で勝てる時代は終わったし、最新設備を無視して古い練習を強要するのは時代遅れと言わざるを得ない》
《科学的なトレーニングを取り入れ、ケガのリスクがある練習はやらない。桑田氏こそが今のジャイアンツには必要な指導者だった》
《昔ながらの『俺はこの練習でできるようになったからお前もやれ』という押し付けの練習は、今の時代には合っていない》
と桑田氏を支持する声が上がる一方で、
《阿部監督は全員を強くしたいという温情で厳しくしている。阿部監督のほうがむしろ優しいとすら思える》
《とことん自分を厳しく追い込める人は少ない。阿部監督のように厳しいメニューを課さないと、基礎体力も引き出しも出てこない》
《投手はある程度の投げ込みをしないとコントロールも体力もつかない。今の時代に適した練習だけで通用するほど甘くない》
と、阿部流の“叩き上げ”に期待を寄せるファンも少なくない。
「現状、ラボの効果はまだ限定的なように感じます。どれだけ先進的な設備であっても、現場のコーチや選手たちがそのデータをどこまで信用し、練習に落とし込めるかが鍵となってくる。今は阿部監督の威光が強く、どうしても昔ながらのメニューが優先されがちですから、特に今季は活用方法が曖昧になりそう。もし巨人が優勝を逃せば、阿部監督式の“古い練習”が敗因として糾弾されることになるかもしれませんね」(前出・スポーツ紙記者)
大谷翔平はキャッチボールひとつでもコアを意識するなど質が高いと言われ、それでいてチームメイトが「クレイジー」と評するほどの練習量をこなす。結局、一流選手になるためには「質」の高い練習を「量」こなすのが必要不可欠ということか。
