近藤健介選手

 3月8日のオーストラリア戦に勝利し、チェコとの最終戦(3月10日)を残しながらも「WBC2026」1次ラウンドの1位通過が決定した野球日本代表「侍ジャパン」。しかし、日本人メジャーリーガーが躍動する一方、苦しんでいるのが“球界最強打者”ーー。

 オーストラリア戦の7回裏に吉田正尚選手(32、ボストン・レッドソックス)の逆転ツーランが飛び出し、8回裏にも2点を加えて4対1で迎えたワンアウト満塁のチャンス。是が非とも追加点がほしい場面で、井端弘和監督(50)は3番・近藤健介選手(32、福岡ソフトバンクホークス)の打席で代打・森下翔太選手(25、阪神タイガース)を送った。結果、ダブルプレーで得点は奪えず、接戦の末に4対3でかろうじて勝利した。

 プロ通算1379安打を放ち、打撃3部門で全てのタイトルを獲得。2024年にはホークスのパ・リーグ優勝に貢献してMVPにも輝いた、NPBにおける日本人最高年俸・5億5000万円を誇る、“球界最強打者”といっても過言ではない近藤。

 レギュラーシーズンならば、終盤戦の代走や守備固めなどで“お役御免”でベンチに下がる場面も見受けられるが、今回は明らかに状況が異なる交代劇。オーストラリアが左投げのクーパー・モーガン投手(24)の起用を告げたとはいえ、結果が出ていないことで“見切り”をつけられたのは明らか。ここまで3試合で12打数ノーヒットと不振にあえいでいる。

カメラワークに悪意しか感じない

 そんなベンチに腰を下ろしてグラウンドを見つめる交代後の姿を、WBC2026の試合中継を独占放映する『Netflix』カメラが捉えた。交代を告げられた悔しさか、自分の不甲斐なさか、アップで画面に映された近藤の目には涙が浮かんでいるようにも見える。

 しかも1度のみならず、試合再開までの数分間の間、Netflixは何度も“失意の最強打者”を配信し続けたのだ。するとーー、

《こういうときの近藤さんのアップばかり映さないで、ネトフリ》
《ここで、近藤を抜きまくるカメラワークは悪意しか感じないのよ。 悔しがってる選手を抜きまくって何がしたいのか》
《近藤選手をあんなに長々とアップにしないといけないの!うつしても一瞬でいいっしょ!非情な演出》

Xユーザーの間でも、代打を送られた近藤健介選手の不調ぶりを心配する声が

 Xでは中継を視聴していたユーザーから、近藤の表情をしつこく追い続けるNetflixに、怒りにも似た疑問の声が噴出している。たしかに一見、選手への敬意がない、ファンの気持ちを逆撫でする演出にも見えるが、普段はプロ野球を取材するスポーツライターは、近藤への“リスペクト”と受け取ったようだ。

「東京ラウンドにおけるネットフリックスの中継番組では、巨人戦でも用いられるカメラワークや演出が随所に見受けられるように、日本テレビさんが制作を請け負っています。つまり普段からプロ野球を中継・制作に慣れ親しんだプロが番組を作っています。

 私自身、近藤選手が好機で代打を告げられたのは記憶がありません。ベンチ内の彼を追い続けたのは、大袈裟に聞こえるかもしれませんが、ある意味、野球界における“大事件”であること、それほどに不調の近藤選手が珍しいことを伝える意図があったように思います」

2009年大会のイチローと重なる

 なるほど、決して“晒し者”にしたのではなく、彼ほどの打者が代打に送られたこと自体が“特別”なことと印象づけたかったわけだ。これが、テレビマンによる“フラグ”になる可能性も。

「2009年大会では、かつてないほどの不調に陥りながらも、決勝戦の韓国戦で勝利に導くタイムリーヒットを打ったイチローさん(52)。誰もが見たことがないイチローの苦しむ姿をカメラが追い続けたことで、視聴者を惹きつける劇的ドラマに繋がったのは間違いありません。

 そんなイチローさんと重なったのか、テレビマンの“サガ”から必要以上に追ってしまうのでしょう。もちろん近藤選手の活躍なしに連覇は難しく、大谷らメジャー組が調子を崩した特、最強打者として日本を救う一打を放つことを期待したいですね」(前出・スポーツライター)

 今大会ではどんなドラマが生まれるのだろうか。