WBC予選ラウンドを首位で通過した侍ジャパン。大谷翔平らメジャー勢が圧倒的な存在感でチームを牽引する中、その影で想定外の「無安打地獄」に喘いでいるのがソフトバンク・近藤健介だ。国内屈指の安打製造機が陥ったかつてない不振に、ファンや球界OBからは復活を願うエールとともに、今後の起用を巡る議論が白熱している。
まさかの“打率0割”
WBC1次ラウンドの3試合を終え、近藤の成績は12打数無安打。NPBにおける日本人野手最高年俸5億5000万円(推定)を誇る“球界最強打者”が、打率0割というまさかの数字に沈んでいる。3月8日のオーストラリア戦では、8回一死満塁という好機で、森下翔太に代打を送られることとなった。この不振にネット上では、「近藤らしくない」「何とかきっかけを掴んでほしい」と、完全復活を待ち望む声が上がっている。
「近藤のスイングはずっとボールの上っ面を叩いているような印象で、タイミングが合っていません。井端弘和監督も『1本出ることが非常に重要』と気遣ってはいますが、守備位置を含めた野手陣のバランスを考えれば、使い続けるのはリスクを伴います。野球解説者の宮本慎也氏も、自身のYouTubeチャンネルで『外すか打順を下げるか、もうどっちかしかない。ここの決断が井端監督には迫られる』と、暗にスタメン落ちの必要性を示唆するほど。
近藤自身、10日のチェコ戦を前には日本ハム時代の後輩である大谷翔平からバットを借りて試行錯誤していましたが、結局この試合ではスタメンを外れ、最後まで出番はありませんでした」(スポーツ紙記者、以下同)
一方、元ロッテの里崎智也氏は3月8日に更新した自身のYouTubeチャンネルにて、近藤について「俺が監督なら使い続ける」と断言。「国際大会はどれだけ打つかじゃなく、どこで打つか」と語っていた。
しかし、翌9日のトークライブでは「僕が監督なら、近ちゃんはスタメンで2打席と決める。打っても打たなくてもスタメンで2打席」と軌道修正。解説者ですら判断が変わる状況で、他にも調子が上向いている佐藤輝明や10日のチェコ戦で初スタメン初ヒットを記録した森下、代走の切り札となっている周東佑京を起用する手もあるだけに、井端監督はさぞかし頭を悩ませていることだろう。
過去のWBCを振り返れば、今の近藤と同じように“逆シリーズ男”となったものの、最後に日本を救った英雄たちの姿がある。
「2006年大会では、福留孝介が打撃不振に苦しみスタメンを外れる時期もありましたが、準決勝の韓国戦で代打先制2ランを放ち、世界一への道を切り拓きました。2009年大会では、イチローが打率2割1分台と低迷。しかし、決勝の韓国戦で延長10回に伝説の決勝タイムリーを放ち、国民を歓喜させました。
記憶に新しい2023年大会でも、村上宗隆が準決勝まで三振の山を築いたが、最後はサヨナラ打でチームを救っています。里崎氏が語る通り、過去の大会でも最後は主軸の“1本”がチームを救ってきました。不調に苦しむ近藤を指揮官がどこまで辛抱強く使い続けられるか、井端監督の信念が試されているとも言えます」
近藤に待ち受ける未来は“戦犯”か“救世主”か――。井端監督はどんなドラマを演出してくれるだろうか。
