侍ジャパン・井端弘和監督

 2006年の第1回「WBC」初代チャンピオンを含む優勝3回、ベスト4が2回の成績を残してきた野球日本代表チーム「侍ジャパン」。2023年大会に次ぐ連覇を目指して臨んだ今大会だが、決勝トーナメント初戦で敗退と、歴代ワーストのベスト8で終えた。

 3月15日(現地時間14日)のベネズエラ戦後に「結果が全てです」と肩を落とし、5月の契約満了をもって退任意向を示した井端弘和監督(50)。「次回は勝ってほしい」とチーム、そして“後任”にリベンジを委ねた。

 大谷翔平選手(31、ロサンゼルス・ドジャース)ら日本人メジャーリーガー8人が揃い、国内からも近藤健介選手(32、福岡ソフトバンクホークス)や、佐藤輝明選手(26、阪神タイガース)らセ・パを代表するトップ選手が集結。「歴代最強」とも称された侍ジャパン。

 それでもアーロン・ジャッジ選手(33、ニューヨーク・ヤンキース)をキャプテンに据えたアメリカ代表をはじめ、各国がMLBで活躍する選手を招集して、“本気”で世界一を取りに来た大会だ。ベネズエラも登録メンバー30人中24人がメジャーリーガーと、ある意味、日本と世界の実力差を露呈した大会とも言えよう。

「これで決勝戦で台湾に敗れた『プレミア12』(2024年)に続き、国際大会で“2連敗”を喫した日本代表。決して井端さんの采配が悪かったとは思いませんが、“勝てなかった監督”を起用し続けるのはファンやスポンサーのイメージも悪く、退任は実質上の“解任”の向きもあります。

 ただ浮上するのが“後任”問題です。すでにNPB(日本プロ野球機構)や、(全日本)野球協会は人選に動いているとも聞きますが、そう簡単に決定するとは思えません」

 とはプロ野球の“人事”に詳しいスポーツライターの見解だが、2027年にも『WBSCプレミア12』の第4回大会が開催され、翌2028年にはロサンゼルス五輪でも「野球」が競技復活と、例年以降も注目の国際大会が控えている。再び世界一の奪還、金メダルを獲得するためには、すぐにでも優秀な監督を必要とするがーー。

「誰もやりたがらない」のが実情か

「日本代表監督が“名誉ある職”なのは疑いありませんが、実際には“誰もやりたがらない”のが実情でしょう。“勝てば官軍負ければ賊軍”との言葉があるように、2023年大会での栗山英樹さん(64)のように優勝監督になれば、周囲からは“名監督”として称えられ、野球史にも名前が残ります」(前出・ライター、以下同)

 3月8日のWBC・1次ラウンドのオーストラリア戦では、天皇皇后両陛下と愛子さまが東京ドームでご観戦されたが、隣に座って生解説を務めたのがが栗山氏。なるほど“世界一の監督”として、天覧試合のアテンド役が任されたわけだ。

テレ朝・武内絵美アナが公開した、元後輩の河野明子元アナとのツーショット(武内アナの公式インスタグラムより)

 一方で、今大会のように優勝候補との前評判も高く、“最強メンバー”を揃えられながらも敗戦となれば、真っ先に批判の矛先が向けられるのが監督で、SNS時代においては本人だけでなく家族も誹謗中傷されるリスクがある。何よりも“勝てなかった監督”としての印象を持たれ、以後の監督業にも支障をきたす可能性もある。

 特に大谷の“マンガの主人公のような活躍”で、世界一を実現させた栗山氏を引き継いだ井端監督だ。2連覇を託された責任とプレッシャーは計り知れない。

「そもそもプロアマ、日本代表でのコーチ経験はあれども、プロ野球での監督経験がなかった井端さんです。当初はNPBも、栗山さんに代わるプロ監督経験がある人材を挙げていたものの、いずれも快諾には至らずに決まらぬまま時間だけが過ぎたと聞きます。

 そこで白羽の矢が立ったのが当時U-12、U-15代表で監督を務めていた井端さん。次世代の代表候補を指導してきた手腕が認められ、また若返りを測っていたこともあったのですが、やはり二つ返事とはいなかった。それでも熟考の末に“誰かがやらないと”と男気で引き受けたのです」

代表監督に適した人材とは

 現役時代から、決して派手さはなくともプロも唸らせる堅実な守備と打撃が評価され、指導者としても確かな野球理論に基づいたコーチングに定評があった井端監督。しかし相手は代表トップチーム。メジャーリーガーやオールスター級のプロ選手を扱うのは、ジュニアクラスとはわけが違う。

「思うに、十分すぎる実績と経験がある彼らに必要とされるのは“モチーベーター”であって、例えば不調に終わった近藤選手にはどんな言葉をかけてフォローするか、“打てる”気持ちを持たせて打席に立たせる指導者が必要だったのかな、と。

 そして侍ジャパン監督には“顔”としての人気、知名度も求められます。これらを持ち合わせる人材は球界にもそうおらず、次期監督の人選も難航することは必至ですね。思い切ってMLB監督の経験ある外国人、もしくはベネズエラ出身(現在は日本国籍を取得)の“ラミちゃん”ことアレックス・ラミレス氏(51)も候補としておもしろいのでは?」

 アメリカ代表をはじめ、特にロス五輪ではメジャーリーガーの活躍が中心になるであろう国際大会。日本もここらでワールドワイドな人事にも目をむける時期に来ているのかもしれない。