昨今の中東をめぐる情勢の緊迫化に伴い、原油価格が高騰している。
「イラン側が戦時経済制裁の一環として、原油の輸送路であるホルムズ海峡を封鎖に近い状態に追い込むなどしており、原油価格が跳ね上がっています。ガソリン価格も上昇の一途をたどっており、過去最高の190円台に達した地域も。こうした状況のなか、SNS上ではトイレットペーパーやティッシュペーパーの供給不足を不安視する声が上がり始めているのです」(一般紙記者、以下同)
1973年に巻き起こったオイルショック
今回の件で思い起こされるのは、日本が高度経済成長期のまっただ中にあった1973年の出来事だ。第四次中東戦争をきっかけに中東の産油国が原油価格を大幅に引き上げ、オイルショックが巻き起こった。
「当時、通商産業大臣だった中曽根康弘氏が紙の節約を呼びかけたことも重なり、“オイルショックの影響で、薬局やスーパーからトイレットペーパーがなくなる”という噂が瞬く間に広がりました。結果、各地で買い占めが起きるトイレットペーパー騒動へと発展。さらには塩や砂糖など、原油とは直接関係のない商品まで買い占められるという現象にまで至りました」
在庫自体はあったものの、過度な買い占めによる物流の混乱が品薄状態を招いていたのだった。そして今回も、SNS上では《今のうちに買っておかなければ》といった危機感をあおる投稿が相次いでいる。
大手製紙メーカーに聞いた在庫状況
本当にトイレットペーパーやティッシュペーパーの在庫はひっ迫した状況にあるのか、大手製紙メーカーの一つ、王子ネピアの「ネピアお客様相談室」に聞くと、
「現在、弊社の家庭紙在庫において品薄となっているものはございません」
との回答が得られた。
「原油の値上がりにより、エネルギー費用や配送に使われるトラックの燃料費用などの値上がりが見込まれますが、家庭紙の原料は北米、南米、豪州、東南アジア由来、もしくは古紙由来のものがほとんどのため、供給の懸念はありません」(ネピアお客様相談室、以下同)
混迷を極める中東情勢だが、仮にこの状況が長期化したとしても、トイレットペーパーやティッシュペーパーの市中在庫が尽きる心配はないという。
「国内の需要に対する供給力に問題はございません。今後も消費者のみなさまによる過度な買いだめ行動がなければ、市中在庫がなくなることはないと考えております。買い占めはご遠慮いただき、落ち着いてご購入いただきますようお願い申し上げます」
正しい情報を基に、落ち着いた行動が求められている――。
