フジテレビ

 2024年末に明らかになった、中居正広と元アナウンサーの女性とのトラブルから、会社全体の問題へと発展したフジテレビ。2025年7月に清水賢治氏が新社長に就任して“再生”を図っている。

「3月9日に行われたコンテンツラインナップ発表会では大幅な改編を発表。ゴールデン帯で37・1%、プライム帯40・6%の改編率でした。改編のキャッチフレーズには《ヒートMAX》をコンテンツ戦略の合言葉として掲げています」(スポーツ紙記者)

 なんとか復活を目指すフジだが、不穏な動きが……。

「3月12日に、34歳の小澤陽子アナウンサーと26歳の勝野健アナウンサーが退社することを発表しました。フジテレビでは2025年3月以降、8人のアナウンサーが退社する“異常事態”。さらには37歳の竹内友佳アナウンサーも退社を発表する予定だと『週刊文春』が報じました」(民放キー局関係者)

 “大量退職”はアナウンサーだけではないという。現役社員がその内情を明かす。

「一連の騒動以降、アナウンサー以外の社員も次々と退職しています。木村拓哉さん主演の『教場』シリーズでもプロデューサーを務め、大ヒットドラマの続編に多く関わってきたことから“続編請負人”とも呼ばれている敏腕ドラマ制作社員も退社予定。若手や優秀な社員は転職先が決まった順にフジテレビを離れていっているような状況です」

《ヒートMAX》を掲げて“熱”を押し出しているが、局内で働く社員はかなり冷ややかなようだ。

《ヒートMAX》の標語に1億円

「会社はリブランディングプロジェクトのひとつとして“目玉マーク”のマイナーチェンジなど、とにかくイメージ刷新に必死です。このリブランディングプロジェクトは当初、経済学者の竹中平蔵氏が、社外取締役を務めるマーケティング会社『サイカ』に内々でコンサル業務を依頼する方向でしたが、2025年9月に『週刊新潮』に報じられたことで頓挫。この件で弁護士事務所に依頼して“情報漏洩”の犯人捜しまでしましたが、見つからなかったようです。

 リブランディングは結局、大手の広告代理店に依頼。犯人捜しなども含めると1億円規模のお金を使って、できたのが《ヒートMAX》という標語。社員からは“一度、頭を冷やしたほうがいい”と不満が噴出しています」(同・フジテレビ社員、以下同)

2024年末、フジ女性アナとのトラブルが報じられた中居正広氏

 イメージ戦略に多額のお金をかける一方で、肝心の番組制作の現場ではコストカットが叫ばれ、苦しんでいる。

「番組制作の予算は大幅に削減。今回の改編も番組の数が減れば、制作会社のスタッフも少なくできるという、人件費削減のためといわれています。“切られる”形になった制作会社の人たちからは“リブランディングに大金をかけて俺たちは切り捨てるのか”と悲痛な声が上がっています」

 そんな状況で視聴者に支持される番組を作ることができるのか。課題はさらにある。

「2024年にドジャースの大谷翔平選手がロスに購入した住宅の過剰報道が問題となりましたが、現在も大谷選手側と完全な和解はできていないようです。2020年に『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラーが亡くなったことで、恋愛リアリティーショーも制作すること自体が難しい。予算も人も限られている中で“もはや制作して放送できるコンテンツがない”という悲鳴まで聞こえてきます」

WBCに視聴者を取られたせい

 離れたスポンサー企業は戻ってきているが、視聴率は依然として苦戦が続いている。

「3月は日によってゴールデンタイムでの視聴率が、テレビ東京に負けて在京キー局で最下位ということも少なくない。視聴率低迷の原因について編成部は“ネットフリックスがWBCの放映権を獲得したことで、視聴者が取られた”と分析しているようですが、有料のネット配信だったことを考えると、WBCがそこまで影響しているとは思えない。もっと自分たちに目を向けるべきだと思うのですが……」

 現役社員からも“的外れ”と指摘されるような分析。ただ、かつて業界トップを独走していた“プライド”は残っているようだ。

「視聴率が落ちたことについて“正直、番組がおもしろくないですよね”などと軽口をたたこうものなら上司から“それは会社への悪口か!”と強い口調で叱責されます。建設的な話はできず、まるで“言論統制”のようです」(別のフジ社員、以下同)

フジテレビ退社を発表した小澤陽子アナ(本人インスタグラムより)

 2025年3月に第三者委員会の調査で“社内にハラスメントが蔓延している”と指摘されたフジ。同年4月末にそれまで設置していた「コンプライアンス推進室」を「局」に格上げして、コンプライアンスの徹底を推し進めてきたが、これが社内にさらなる混乱を招いている。

「新体制になった2025年7月以降、各部署の部長は『コンプライアンスオフィサー』という役職を与えられ、目の前で起きたハラスメント事案をコンプライアンス推進局に報告するように徹底されました。ところが、事案が集まりすぎてパンク状態になり、ほとんど機能していません

元部長が会社と清水社長を訴えた

 いざ調査がされても疑問が多いという。

「コンプライアンス推進局は株主やスポンサーに向けてのアピールが優先という考え方が透けて見えます。現体制に影響が少ないもの、社内政治に使えそうなもの、取りかかりやすいものを恣意的に選んで処理しているように思えます。

 2025年9月、部下のセクハラを見逃し、自身もセクハラを行ったとされて降格処分になった元部長が、損害賠償と元の役職への復帰を求めて、フジテレビと清水社長を訴えました。この元部長は弁明の機会も与えられず、突然の降格処分。同情する声も多かったです」

 機能不全となっているコンプライアンス推進局への不満は、たまる一方だ。

「役職を任された各部長はハラスメント事案を通報しろと言われて通報しているのに、多くが“放置”の状態。女性記者が取材先からセクハラを受けたという事案も十分な対処がされていないのが現状です。一方で、扱いやすい事案の“見せしめ”のような処分がいくつもあり、社員から不信感が高まっています。コンプラ推進局は“コンプライアンス停滞局”とも揶揄されています」

フジテレビ退社を発表した勝野健アナ(本人インスタグラムより)

“泥船”から逃げ出すように

 本来なら団結して、かつての栄光を取り戻さないといけないはずだが、“空中分解”状態になってしまっている。

アナウンサーが辞めていくのは、中居氏の騒動以降のフジテレビから、自身の“ブランド”イメージを守る意味合いもあるでしょう。それ以外の社員も、上層部やコンプラ推進局の“迷走”に不満がたまり、会社の売り上げが減ったことで給料も上がらない。“泥船”から逃げ出すように辞めていっています

 社員の退職者が相次いでいることについて、フジテレビ広報部に問い合わせたところ、

「人事の詳細については、お答えしておりません」

 という回答。

 コンプライアンス推進局による弁明の機会が与えられないなどの調査については、

「社内の個別案件に関しては、お答えしておりません。また、社内処分に関しては事実と異なります。当社は、当事者双方への事実確認を含め、調査を尽くしたうえで判断を行っており、適切に対応しております」

 との主張だった。なかなか光明の見えないフジテレビ。春改編の成否が今後の浮沈に大きく関わってきそうだ。