小林まさるさん

 70歳で料理研究家としての活動を開始し、今もシニア料理研究家として活躍している小林まさるさん。その元気の秘訣は、朝ごはんに作っているスープ! おいしくて、健康によくて、脳トレにもなる、一石三鳥のレシピを紹介。

朝7時からスープ作り 家族分の朝食を用意

 御年92歳。今も現役料理研究家として活躍する、小林まさるさんの朝は、スープ作りから始まる。

「朝7時に起きて冷蔵庫をのぞき、スープの具材を決める。俺はじっとしていられない性格だから、煮込んでいる間にキッチンを掃除するんだ。で、スープができあがるころにパンを焼き、家族そろって朝ごはんを食べるのが日課」(まさるさん、以下同)

 昼は愛犬の散歩と買い物。買い物は徒歩で片道20分ほどのスーパーへ。電車に乗って遠出することも。

「1日平均7000歩くらい歩くかな。欲しい食材があって遠出したときは、1万歩を超えるよ」

 3食きちんと食べて、好き嫌いは特になし。肉・魚・野菜をバランス良く食べることも意識している。

「ただ、夏場は疲れやすくなって食欲が落ちる。そんなときは豚バラ肉に塩、こしょうをふって焼き、ご飯にのせて食べる。これをやると身体の調子がよくなるんだ」

 まさるさんは大のお酒好き。40代で肝臓を壊して禁酒したものの、病状が回復した50代から再びお酒を飲み始めた。

「最近は昔ほど飲まないよ。80歳を過ぎて、毎日晩酌するのもやめちゃった。それでも家族の夕食を作るときは、焼酎をどーんと置いて、昼過ぎから飲みながらゆっくり料理するのが楽しい。夕方完成したころには大体焼酎の瓶は空だね。そのあと23時近くまで飲んだりすることもあるから、自分でもたまげる(笑)」

お風呂でストレッチ 趣味も積極的に楽しむ

 また、健康のために毎日体操も欠かさない。ただ、最初は三日坊主で長続きしなかった。なんとか習慣化したいと考えて、ひらめいたのが“ついでにやる”ということ。

「お風呂は毎日入るんだから、そのついでに体操もしちゃえばいいんじゃないかと思ったわけ。手足、腰など、全身の筋肉を伸ばすストレッチを15分くらい。お風呂の中だと硬い身体もほぐれやすいよ。もう50年以上続けている。おかげでこの年になっても、足や腰が痛いなんてことはないね」

 釣り、木彫り、絵画など、多趣味な一面も持っている。

「釣りは子どものころからやっていて、多いのは渓流釣り。1日何キロも歩くから健康的だよ。木彫りを始めたのは60歳過ぎ。自分では手先が器用と思わないけど、丸太を友人にもらってトラやワシなどを彫っていたら、できちゃった。絵画は墨絵。何でもまずやってみて、自分に合わなかったらすぐやめちゃうから、面白かったものが趣味として残ったという感じ」

 人生を存分に楽しんでいる様子のまさるさん。その極意は何なのか。

「人生には苦しいとき、つらいときが必ずあるもの。そこで落ち込んだって解決しない。だったら気持ちを切り替え、楽しくやろうってのが、俺の若いころからのモットー。料理だって億劫だ、面倒だなんて思ってやったらダメ。楽しく作って、『うまい!』と喜んで食べてもらえたら、うれしくなるんだよね」

 最後に、まさるさんから週女読者へのメッセージ。

「『年だからできない』とか、なにかと年のせいにして諦める人が多い。これを俺は『年寄りの大病』と呼んでいるけど、諦めないで、むしろ年だからこそチャレンジして、と言いたい。俺も料理が仕事になったのは70歳だし、YouTubeチャンネルを開設したのは88歳だった。新しいことを始めると、ワクワクがいっぱいある。何かを始めるのに年齢は関係なくて、何歳からでも遅くない。どんどん前に進みなさい、やりなさいって思うよ」

まさる流「料理」を脳トレにするポイント

1 手先をよく動かし、手順を考えないといけない「料理」は、脳トレに最適。

2 何事も楽しくないと続かない。面倒がらず、楽しみながら料理すれば、脳も鍛えられる。

3 脳がよく働くのは朝の時間帯。「脳活スープ」を朝食として作れば、さらに脳も活性化。

4 だらだら作業せずに、時間を意識してテキパキ料理すれば、脳トレ効果も倍増。

小林まさるさんの健康スープレシピ

 おいしくて、健康によくて、脳トレにもなる、一石三鳥のレシピを紹介。

豚肉とキャベツのスープ

 豚肉のうまみ、野菜の甘みがたっぷり バジルでアクセントを

豚肉とキャベツのスープ(小林まさるさん)

材料(2~3人分)
●豚こま切れ肉 100g
●玉ねぎ 1/4個(50g)
●キャベツ 2枚(150g)
●ミニトマト 7個(70g)
●にんにく(つぶして芯芽を除く)小1片
●水 3カップ
●塩 小さじ2/3
●サラダ油 小さじ1
●ドライバジル(好みで) 少々

作り方
(1)豚肉は食べやすく切る。玉ねぎはひと口大に乱切り、ミニトマトは半分に切る。

(2)鍋にサラダ油、にんにくを入れて中火にかけ、香りが立つまで炒め、豚肉を加えて色が変わるまで炒める。

(3)分量の水、キャベツを手でちぎりながら、玉ねぎを加えて強火で煮立てる。キャベツがしんなりするまで6〜7分煮て、ミニトマトをさっと煮る。塩で味を調え、器に盛り、ドライバジルをふる。

トマトの赤色のもとはリコピンという色素。リコピンの強力な抗酸化作用により有害な活性酸素の働きを抑え、認知機能の低下を軽減する効果が期待できます。

トマトのじゃがいもスープ

 季節の野菜をプラスするのもおすすめ 毎日でも飽きない味に!

トマトのじゃがいもスープ(小林まさるさん)

材料(2~3人分)
●豚こま切れ肉 150g
●じゃがいも 小2個(250g)
●ズッキーニ 小1本(100g)
●トマト 1個(200g)
●にんにく(つぶして芯芽を除く)1片
●水 3カップ
●塩 小さじ1/2〜2/3
●オリーブ油 小さじ1

作り方
(1)豚肉は食べやすく切る。じゃがいもは皮をむき、ズッキーニは乱切りにする。トマトはヘタをくり抜き、十文字に切り目を入れる。

(2)鍋にオリーブ油、にんにくを入れて中火にかけ、香りが立つまで炒め、豚肉を加えて色が変わるまで炒める。

(3)分量の水、ズッキーニ、じゃがいもは包丁で乱切りにしながら加え、強火で煮立て、アクを除く。トマトを入れ、皮がはじけたら取り出し、皮をむいてざく切りにして鍋に戻す。野菜がやわらかくなるまで中火で6〜8分煮て、塩で味を調える。

トマトには、昆布やチーズと同じうまみ成分のグルタミン酸が含まれています。豚肉のうまみ成分イノシン酸と合わせると、“うまみの相乗効果”でおいしさがアップします。

鶏肉とアボカドのスープ

 とろっとしたアボカドがおいしい。オートミールと合わせて食べごたえ満点!

鶏肉とアボカドのスープ(小林まさるさん)

材料(2~3人分)
●鶏もも肉 1/2枚(150g)
●アボカド 1/2個(100g)
●玉ねぎ 1/2個(100g)
●サラダ菜 1/2株(50g)
●オートミール 30g
●水 3カップ
●塩 小さじ2/3
●オリーブ油 小さじ1

作り方
(1)鶏肉は余分な脂、筋を除き、小さめのひと口大に切る。アボカドは種と皮を除いて小さめのひと口大に、玉ねぎは乱切りにする。

(2)鍋にオリーブ油を中火で熱し、色が変わるまで鶏肉を炒める。

(3)分量の水、玉ねぎ、オートミ
ールを加え、強火で煮立てる。アクを除き、中火で5分煮る。サラダ菜を手でちぎって加え、アボカドも加えてさっと煮て、塩で味を調える。

オートミールとは、オーツ麦(燕麦)を加工して食べやすくした穀類。白米の約20倍の食物繊維が含まれ、そのほか鉄分、カルシウム、ビタミンB1なども豊富です。

小林まさるさん 1933年、樺太生まれ。料理研究家・小林まさみさんの義父であり、自身も料理研究家として活動中。家にある材料でササッと作れるかんたんレシピを得意とし、90歳を過ぎた今も現役で雑誌やテレビなどで活躍する。

取材・文/百瀬康司 デザイン/TwoThree

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