駅弁とは「日本文化や地域の名物がギュッと詰まった“宝箱”」と熱く語るのは、鉄道旅&駅弁の魅力を日々発信するやすこーんさん(以下同)。
「今や海外でも“EKIBEN”として知られるなど、堂々世界で通じるカルチャーとなった駅弁。とはいえ、その魅力はのんびりとローカルなところ。今でも家族経営の手作業で昔ながらの味を作り続けるお弁当屋さんもたくさんあります。流通の兼ね合いで『そこでしか食べられない味』があるのは、何事も便利なこの時代にかえって魅力的です」
花も団子も!駅弁旅を楽しもう
やすこーんさんは、駅弁の魅力をさらに力説する。
「掛け紙や弁当箱の形にひと目ぼれして“ジャケ買い”するもよし、ご当地の食材や名物料理を堪能するもよし、旅先でサッと夜食や朝食に食べるのもよし、地元の日本酒やワインのつまみに楽しむもよし。
駅弁はもはや『車内でつつく飯』の範疇を大きく超え、旅の楽しみのひとつになりました」
これから訪れる春の行楽シーズン。花見旅にぴったりな駅弁は要チェックだ。
春弁【東】のイチ押し!
桜満開花見べんとう[神奈川県]
小田原駅などで販売/1380円 東華軒
お花見シーズン限定。たけのこご飯、まぐろ山椒焼き、有頭えび塩焼きなどがたっぷり詰まって彩り豊か。
「春らしい華やかなお弁当。八角形の弁当箱というのも、なんだか縁起がよさそうでいいんですよね(笑)。小田原らしくちくわが入っているのもうれしいし、デザートの桜餅まで花見気分を盛り上げてくれます」(やすこーんさん、以下同)
春弁【西】のイチ押し!
春旬たけのこ御飯[兵庫県]
新神戸駅などで販売/1380円 淡路屋
京都の春をイメージして作られたという駅弁は5月中旬までの限定販売。
「目を引くのがたけのこを模したユニークなパッケージ。桜色の掛け紙もかわいく、ワクワクしながらふたを開ければ、大ぶりのたけのこ煮がのった炊き込みご飯のほか、湯葉やちりめん山椒など京風の食材もふんだんに使われていて、旅の情緒たっぷりです!」
※表記の価格はすべて編集部調べ、税込み表示です。
花見旅のお供に!全国名物駅弁
日本全国の名産をぎゅっと詰め込んだ、至福の駅弁。各地の桜スポットも併せてご紹介します。花見の旅情を、ぜひ誌面で味わってください。
鰊みがき弁当[北海道]
函館駅などで販売/1380円 駅弁の函館みかど
1966年発売以来、変わらぬ製法で愛され続ける駅弁。
「秘伝のたれで骨までやわらかく煮込んだ身欠きにしんの甘露煮が主役。さらにプチプチと小気味よく口の中ではじける数の子、箸休めの茎わかめのしょうゆ煮もしみじみおいしい。『これぞ駅弁!』というような、シンプルながらぜいたくかつ深い味わいは、はるばる函館に行く理由になります」
花見をするなら…「函館市・五稜郭」
北海道函館市、五稜郭の堀の周りや郭内には約1500本のソメイヨシノやヤエザクラが咲き誇る。春になると桜の花で星形が浮かび上がるような美しい景観が楽しめる。例年の見頃は4月下旬~5月上旬。
津軽めんこい懐石弁当ひとくちだらけ[青森県]
弘前駅などで販売/1700円 つがる惣菜
若生おにぎり、すしこ、牛源タレ焼、ホタテ唐揚げ、イカメンチなど、津軽の郷土料理や名産品をひと口ずつ24種詰め合わせた弁当。
「青森県五所川原市にあるお弁当屋さんの一番の売れ筋。食材も可能な限り県産品を使用するこだわりぶり。食事としてはもちろん、お酒のアテとしても最高なんです♪」
花見をするなら…「弘前市・弘前公園」
青森県弘前市の弘前公園は、津軽氏の居城だった弘前城を中心に広がる“桜の城”として知られる名所。園内では約2600本の桜が咲き誇る。
SL大樹 日光埋蔵金弁当[栃木県]
東武日光駅などで販売/1600円 日光鱒鮨本舗
徳川家をイメージした印籠形の器に、石炭シャベルをイメージした「SL大樹」の刻印入りのスコップスプーン付き。
「スコップで埋蔵金を掘り起こすかのように食べるのが楽しくて、何度もリピートしているお弁当。日光高原牛のしぐれ煮、揚巻ゆば、最高級のますなど、ご当地のおいしいものをしっかり味わえます」
花見をするなら…「日光市・中禅寺湖」
栃木県・日光市、奥日光に位置する中禅寺湖畔には可憐なピンクのオオヤマザクラが点在。その見頃は例年5月上旬ごろで、ゴールデンウィークを美しく彩る。レイクブルーの湖面を彩る桜をめでよう。
高原野菜とカツの弁当[山梨県]
小淵沢駅などで販売/1400円 丸政
新鮮でシャキシャキの高原野菜と、冷めてもしっとりやわらかいチキンカツが絶品。
「生野菜が入った駅弁って、実は珍しいんです。野菜が自慢のご当地ならではですよね。好みで加減できるよう、ドレッシング、マスタード、ソース、塩が付いてくるのも気が利いています。販売50年超というのも納得の“地元愛”あふれるお弁当で、何度もリピートしています」
花見をするなら…「北杜市・山高神代桜」
武川町の実相寺境内にそびえるエドヒガンザクラの古木は、樹齢2000年ともいわれ、日本三大桜の一つとされている。日本で最古・最大級の巨木として、大正時代に国指定天然記念物第1号に指定された。
各地のソウルフードも
ひつまぶし弁当[愛知県]
名古屋駅などで販売/1980円 松浦商店
まずはそのまま、次は薬味と一緒に、最後は付属のだしをかけてお茶漬けに。3つの食べ方が楽しめる本格派!
「私はうなぎ好きなので名古屋に行ったらひつまぶしを食べたいのですが、人気店はどこも行列。そんなときに手軽かつきちんとおいしく楽しめるのがこのお弁当です。
国産うなぎにこだわっていて、高クオリティー。別添の薬味やだしを加えたあとのためにスプーンが付いている気配りも素晴らしい。行列に並ばずして“うなぎ気分”が満たされます」
花見をするなら…「名古屋市・名古屋城」
ソメイヨシノ、シダレザクラをはじめとした多種の桜が約900本咲き誇る名古屋城。例年3月下旬~4月上旬には「名古屋城桜まつり」により、夜間ライトアップも実施予定。
あなごめし[広島県]
宮島口駅などで販売/2700円(並)うえの
明治34年に駅売り弁当として販売したのが始まりという、広島・宮島の名物「うえののあなごめし」。現在では宮島にある食堂は週末ともなれば大行列に。その変わらぬ味を楽しめるのが、このお弁当だ。
「昔ながらの経木の折り箱が水分をほどよく吸ってくれるので、時間がたってもあなごとご飯がしっかりおいしいのが特長。掛け紙のバリエーションが豊富なのも楽しいです」
花見をするなら…「廿日市市・宮島」
世界遺産、厳島神社を擁する宮島は桜の名所としても知られる。島内には約1900本もの桜があり、国重要文化財である大鳥居や多宝塔などとのコラボも楽しめる。鹿と桜とのツーショット撮影にもトライしたい。
かしわめし[福岡県]
折尾駅などで販売/970円(大)東筑軒
鶏肉と鶏ガラで長時間かけてとったスープで炊いたご飯に、甘辛い鶏そぼろと錦糸卵、のりが美しく並ぶ折り詰め。
「博多で“かしわ”といえば鶏のこと。そのスープのうまみを吸った炊き込みご飯が絶品で、調味料の加減もバツグン。一気にかき込んでしまいます。折尾駅では今も立ち売りが行われているので、旅情もたっぷり感じられます」
花見をするなら…「北九州市・門司港レトロ」
国際貿易港として栄えた門司港には、当時の面影をしのばせる古い町並みが残され、現在では観光スポットとして人気。レトロ地区や和布刈公園など、エリア内には桜が咲き誇るスポットも多い。
今しか買えない春限定駅弁
東京駅の中央通路でひときわにぎわい、日本各地の約150種類もの駅弁を取りそろえる、まさに“日本一の駅弁屋”。繁忙期には1日に約2万食もの駅弁を売り上げるという駅弁の聖地で見つけた「春限定駅弁」をご紹介。
駅弁屋 祭 グランスタ東京
[住所]グランスタ東京内1F中央通路エリア(改札内)
[営業]5:30~22:00
[HP]https://foods.jr-cross.co.jp/matsuri/
季節のおべんとう~山菜おこわ/980円 JR東日本クロスステーション
旬の香りを閉じ込めた山菜おこわが絶品
粋な江戸の味を伝える日本ばし大増が届ける春の味。山菜を炊き込んだ「山菜おこわ」は、花にんじんをあしらい、華やかに。たけのこの煮物といった季節の味に、定番の「大増の江戸うま煮」も盛り込んだ。
たけのこごはん折詰/1600円 JR東日本クロスステーション
春を感じるたけのこご飯がたっぷり♪
たけのこの炊き込みご飯の上には、厚みのある穂筍煮をのせている。その他、剣山わかめ、こごみ、わさび菜、よもぎまんじゅうなど、春らしい食材を盛り込んだお弁当。
倉敷小町(春)/1480円 三好野本店
瀬戸内の春に思いを馳せて、じっくり味わいたい
岡山県倉敷市の美観地区の町並み「白壁」をイメージした二段容器に、たこ飯やさわら、きびだんごなどを多彩に盛り込んだ二段重ねのお弁当。
旬彩幕の内春はればれ/1380円 東華軒
上品な味わいのおかずの数々に、思わず目移り!
甘鯛やたけのこの天ぷらなど、旬の食材や春を感じる食材を使用した6マスのおかずと、3種のご飯が楽しめる。どれもやさしい味わいで、春限定ならではの華やかさは花見のお供にもぴったり。
春のかさね箱/1480円 淡路屋
目に鮮やか、食べておいしい京風和膳
山菜や錦糸卵を散らしたたけのこご飯を中心に、春の京都をイメージした二段和膳。さわらや菜の花など旬食材が満載で、春の京を旅するような風情。
教えてくれたのは……やすこーんさん●漫画家&文筆家。食べた駅弁の数は2600個以上。『ひとりで楽しむ鉄道旅 駅弁めぐり篇』(玄光社)ほか著書多数。『旅行読売』にて「猫に駅弁」連載中。JR四国の観光列車「藍よしのがわトロッコ」で販売する駅弁もプロデュース。
取材・文/松家寛子
