23日、日本相撲協会は東京・両国国技館で評議員会を開き、2025年度(1〜12月)決算を承認し、約13億2900万円で3年連続の黒字を記録したという。同日行われた理事会では、八角理事長(元横綱北勝海、62歳)の続投も決定し、実質6期目の新体制がスタートしたが…。
相撲協会は繁栄も力士は疲弊
協会担当者によると、年6場所すべてで入場券が完売したことに加え、本場所での親方売店が1場所15日間で1億円以上を売り上げるなど、グッズ販売が絶好調であったこと。さらにはロンドン公演の収益も押し上げの要因となったという。
しかし、こうした組織としての“繁栄”が、現場の力士たちにどれほど還元されているのかという点については、疑問の声がくすぶり続けている。
まず挙げられるのが、春巡業の過密日程だ。日本相撲協会の公式発表によれば、2026年春巡業は3月29日の伊勢神宮奉納から始まり、4月26日の埼玉県入間市まで全国を回る予定となっている。巡業のスケジュールを見る限りこの約1か月間で、力士たちに与えられる休養日は4月6日、4月14日の2日だけとなっている。
こうした状況にファンからも《利益は上がっても力士は疲れる一方》《労基法違反レベルです》《力士を労ってもらいたい。力士あっての相撲協会でしょうに》と移動を含むタイトな日程に心配の声があがった。
「相撲人気が高まるにつれ巡業日数は増えているようで、近年は70日以上の巡業に加え本場所が計90日間、朝稽古なども加味すると、まとまった休みを取る余裕などはなさそうです。興行化による利益優先の構造は、力士たちのケガの増加や疲弊を招きます。過去には力士から嘆きの声もあったようで、長年にわたり指摘されてきた問題ですが改善されているようには思えませんね」(相撲ライター)
相撲協会は黒字も、安い労働力で成り立っている?
特に深刻なのが、幕下以下の力士を取り巻く経済的環境である。
大相撲において月給が支給されるのは十両以上の「関取」のみ。幕下以下は「養成員」と呼ばれ、給与は支給されず、本場所ごとに「場所手当」として幕下で16万5000円、三段目で11万円、序二段で8万8000円、序ノ口で7万7000円が支給。年間6場所のため、幕下でも年収にすれば約99万円程度。衣食住は部屋が保証するとはいえ、現代の若者にとって魅力ある待遇とは言い難い。
一方、十両に昇進すれば月給約110万円、幕内では約140万円、横綱ともなれば約300万円が支給される。関取には付け人もつき、個室も与えられるなど、待遇面で大きな格差が存在するが、ほかのプロスポーツと比べると決して高いとはいえない。
「食住が保障されているとはいえ、業界ならではの上下関係のある相撲部屋での集団生活です。そうした厳しい環境を承知の上で入門しているわけですが、相撲人気が回復し協会が黒字を計上し続けている今こそ待遇を上げてもいいのではないでしょうか。魅力ある環境や待遇を整えなければ、いずれ担い手そのものがいなくなり、大相撲という伝統文化の存続自体が危ぶまれることになりかねません」(前出・相撲ライター)
こうした状況で長年の相撲ファンも改革を期待しているのだが……。
《八角が辞めない限り何も変わらないと思う》《八角理事長体制は盤石。伊勢ヶ濱親方の処分如何では世論が黙っていない》《現役時代の成績や人気だけで理事長が務まるとは限らない》など、八角理事長の続投決定に賛否が相次いだ。
3年連続の黒字決算は、大相撲人気の回復を如実に示している。
しかし、絶えない暴力騒動に力士たちの過密スケジュール……。相撲人気を世界に発信する前に、協会内の問題に対し本腰を入れる時期が来ているのかもしれない。
