テーマパークといえば、ジェットコースターやライド型アトラクションを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、愛知県長久手市にある『ジブリパーク』には、そうした“乗り物”がほとんど存在しない。
“乗り物がない”ジブリパーク
それにもかかわらず、2022年11月の開業以来、来場者数は順調に伸びているという。
「ジブリパークは2005年に開催された愛知万博の長久手会場跡地である『愛・地球博記念公園』内に建てられました。
愛知県の発表によると、開業からは右肩上がりで公園への来園者が推移し、2024年度は約300万人とのこと。その後もエリア拡張にあわせて増加傾向にあります。2024年には新エリアが全面開業し、来場者の分散や回遊性の向上も図られており、今後の施設充実にも目を向けられています」
国内客はもちろんのこと、外国人観光客の利用も目立ち始めており、存在感は高まっている。
「一般的なテーマパークでは、いかに多くのアトラクションを効率よく回れるかがひとつの満足度の指針になっています。一方でジブリパークは、大規模なアトラクションやショーに頼らず、映画の“世界観”を再現した空間を歩いて楽しむスタイル。
園内には『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』を想起させる風景が広がり、来場者は作品の中に入り込んだかのような“没入体験”が味わえます。これがファンに受けていると見られています」
しかし、この特徴に対して、ネット上では、
《ジブリパークって何のアトラクションもないからテーマパークとは呼べない》
《ジブリパークはアトラクションが無くただの広い公園》
という声も上がっている。
「絶叫系アトラクションや派手な演出を期待していた来園者もいたということでしょう。そうした人は体験の“わかりやすさ”を求めていたのかもしれませんね。時間の使い方を自分で決める必要があるため、従来型のテーマパークに慣れた人の中には、物足りなさを感じた人もいたのでしょう」
それでも支持を集める理由は、“消費型”ではなく“滞在型”の楽しみ方にあるという。
「アトラクションを次々とこなすのではなく、風景を眺めたり、建物の細部を観察したりと、自分のペースで過ごす“時間”そのものが価値となっています。
実際、園内の滞在時間は半日から1日程度に及ぶケースも多く、写真を撮ったり、ただ時間を過ごすことを楽しむ来場者が多い印象です。季節や時間帯によって表情を変える空間も楽しみのひとつで、“何もせずとも楽しい”という強みが最大の特徴ですね」
外国人観光客にとっては、日本独特の自然や建築、アニメ文化が融合した空間そのものが観光体験となり、“体験型文化施設”として評価されている。
「もちろん、すべての来場者にとって最適な施設とは言えないでしょう。しかし、ジブリ作品のファン層は、パークのような“静かな時間”を愛する人が多いのです。
“乗り物がない”という一見弱点に見える特徴を、ジブリ独自の価値へとうまく転換できています。世界的に評価されているその世界観を見事にテーマパークへと昇華できたことは称賛に値します」
新しいテーマパークの形として、今後も注目を集めていきそうだ。
