3月24日『読売新聞オンライン』が東京23区のごみ有料化を検討していることを報じてから、23区民ではさまざまな声が上がっている。
2024年度の各区が回収するごみは年間約160万トン。工場で焼却などをしたあとは、東京湾にある都の処分場に埋め立てられるが、その処分場がおよそ半世紀で満杯になる見通しのためだという。
日野市は600回以上の説明会を実施
家庭ごみの収集を有料化しているのは全国の自治体の約7割。東京都で無料収集を行っているのは、23区内と島を除く30市町村の中では檜原村だけだ。
23区長で作る特別区長会は他自治体の事例を参考に排出量を約1割減らすため、指定ごみ袋の料金を1リットル当たり1円にする試算を出したという。
すでに有料化している日野市は人口10万人以上50万人未満の市町村で、1人1日当たりのごみ排出量の少なさが令和4年度と令和5年度と2年連続で全国1位になるなど、目に見える効果も。ちなみに日野市では可燃不燃ごみの排出に市が指定する有料袋を使用する。これを自宅前などの指定場所に置く戸別収集方式を採用しており、排出量に応じた負担と責任を明確にすることで、徹底した減量を促している。
日野市環境共生部「ごみゼロ推進課」の担当者によると有料化に踏み切る際に、
「行政と市民ボランティアが一体となり、600回以上の説明会を実施」
有料化後も、
「拒絶反応を示す方に対する説明を繰り返し行う必要があった」
苦労があったことを明かしてくれたが、有料化したことで、
「市民の方のごみ減量意識が高まった」
と、その効果を実感していると回答した。
とはいえ物価高などで家計が圧迫される中、家庭ごみの有料化に反発する声が少なくないのも事実。そこで東京23区のごみ有料化を検討した経緯などを、特別区長会事務局に話を聞いた。
「23 区では、一人あたりのごみ量は減少しているものの、将来的な人口の増加が見込まれていることから、ごみの排出総量は漸増見込みとなっています。これに対応するため、23 区では一部の清掃工事の規模(焼却能力)の拡大を議論しました。しかし、規模拡大には多額の経費が必要となることから、更なるごみ減量施策の検討を行うこととなり、全区一斉に開始を想定する3 つの施策の減量効果を推計しました」
家庭ごみ有料化については、事業系ごみ減量施策を行なった後に実施を検討しているという。
1リットルあたり1 円はあくまで試算
「全区一斉開始を想定する3施策のうち2施策は、23区のごみは事業系のごみ量が全体の4割を占めることから、事業系ごみを対象とした施策であり、残る1施策が家庭ごみを対象とした有料化の施策です。まずは、家庭ごみ有料化以外の事業系ごみ減量につながる2施策は着実に実施した上で、家庭ごみの有料化は引き続き、実現できるかどうかについて慎重に検討を行うこととしました」(特別区長会事務局、以下同)
また財源確保を目的ではないとキッパリと否定。
「なお、家庭ごみの有料化は、あくまでごみを減量することを目的に検討しているものであり、財源確保を目的としたものではありません。なお、2037 年の開始というのは、あくまで令和6年に行った試算において仮定した年度で、準備に相当の時間を要することから設定したものです。その時点から時間も経過しており、開始年度も変わってきます。なお、現時点で公表したのは、実現可能性について引き続き検討を進めるということであり、現段階で実施年度を定められるものではありません」
逆にこれまで23 区の家庭ごみがこれまで有料化にならなかった理由について聞くと、
「23 区はすべての区でごみ減量の必要性を強く認識しており、各区でさまざまな減量施策を実施してきた結果、一人あたりの排出量は着実に減少していますが、脱炭素社会の実現や最終処分場の延命化、清掃工場の規模への影響などの観点から、一層のごみ減量が必要であると考えています」
そして、
「家庭ごみ有料化は、先行して実施する他自治体の事例などから見ても、家庭ごみの減量に一定程度効果があり、実現に向けた検討は必要であると認識する一方で、区民生活への影響も大きいことから、その理解を得るためには慎重な議論が必要であると考えています」
10年後をメドに実施することについては、
「加えて、23 区は人口や世帯数、大規模集合住宅の数、事業者数など、いずれも規模の大きい特別区の特性から多くの課題があり、区民負担も生じることから、実現に向けた検討には一定の時間が必要です」
また、
「また、23 区の中でも、例えば事業所数の数や集合住宅の数、車両や人員が待機する場所、資源化可能な事業系古紙をストックする敷地の有無や狭小路地の状況など、各区実情が異なり、施策の実施にあたっては各区のさまざまな課題を調整しながら慎重に議論を進めていく必要があります。こうした23 区の特有の課題について、引き続き実施出来るのかどうかについて、検討を行っていく方針です」
と続けた。
1リットル当たり1円を想定している理由については、
「他都市の実施状況、効果を参考に、試算の前提条件として、1リットルあたり1 円と仮定しました。ただし、この点もこれからの議論次第であり、実施する場合にはこの額で、と決定しているものではありません。あくまでもこれまでの検討段階における試算です」
最後に23 区民に家庭ごみに関して、こうお願いした。
「お住まいの区で決められている分別ルール・資源化のルールに従って、資源化できるものは資源として出していただくなど、ごみの減量にご協力をお願いします」
有料化はまだまだ先だが、家計の負担を減らすためにも今からごみが減るように意識して生活したほうが良さそうだ。
