中日ドラゴンズ・井上一樹監督

 野球評論家がこぞってセ・リーグAクラス入りを予想する中日ドラゴンズだが、開幕から9試合を終えて2勝7敗(4月6日時点)と最下位に沈んでいる。指揮をとって2年目を迎える井上一樹監督(54)だが、ベンチ内の雰囲気はーー。

 4月5日の東京ヤクルトスワローズ戦で先発を任されたのは、3月29日の開幕戦で8回1失点と好投しながらも0対1で敗戦投手になったエース・高橋宏人投手(23)。しかし、この日は6回までに味方打線から5点の援護があり、神宮球場の中日ファンは勝利を確信していたことだろう。

 ところが6回までヤクルト打線を零封していた高橋が、7回に連打やエラーなどで捕まって2点を奪われる展開に。依然、ノーアウト満塁のピンチとしたところで交代が告げられたのだが、“火消し”を期待された左腕・齋藤綱記投手(29)が誤算。

 ワイルドピッチでいきなり1点を失うと動揺したのか、続く打者にもタイムリーツーベースを打たれて5対5の同点。たまらず勝野昌慶投手(28)にスイッチするも、ヤクルト2番のドミンゴ・サンタナ(33)にツーランを浴びて逆転と、1イニングで7点を献上する大炎上で逆転負けを喫したのだ。

 快勝ムードからのまさか、敗戦の将になった井上監督。試合後は報道陣の取材に応じたのだが、この“敗戦の弁”が物議を醸している。中でも是非が問われたのが、『日刊スポーツ』Web版が配信した【一問一答】で触れられた継投策。

ピッチングコーチが言っていた

 高橋のリリーフとして、今シーズン初登板の斎藤を起用した理由についてーー。

【ピッチングコーチね。おれがあれ行け、これ行けっていうよりも、ピッチングコーチと合わせての、選択なわけですから。「斎藤も絶好調です」っていうようなことを言っていたわけで、そこで選択をしたっていう。】(日刊スポーツ、4月5日配信記事より)

 斎藤をマウンドに送ったのは自身の采配というより、投手コーチからの“推薦があった”とするような弁明。中日の投手コーチといえば山井大介コーチ(47)、そして浅尾拓也コーチ(41)だが、名指しはなかったものの、おそらくブルペンを預かる方のコーチからの進言があったのだろう。

 しかし、チームトップによって明かされた“大炎上”の真相に、

《自分の采配に非があるのにコーチのせいにするとは…そんな人には誰も付いていかない。》
《いつもベラベラ喋るけど中身ゼロ この話し方だと斎藤出したのはコーチの責任にしとるやんけ》
《井上の負けた時のコメントってどこか他人事のような責任転嫁と言うか、絶対に指揮官が言うべきでない事を平気で言うよな》

 まるで采配の責任を投手コーチに転嫁する物言いと受け止められたのか、ネット上では指揮官としての資質を疑う声も。しかし、現場取材にあたる野球ライターによると、こんな実情があったとも。

「たしかに“ピッチングコーチ”のくだりは不用意と思いますが、井上さんの性格上、記者から聞かれたことを素直に答えた、敗戦後も取材には精いっぱい応じようとしただけで悪意があるわけではないですよ。実際、発言後には“選択したのは僕”“(斎藤は)責められない”と、采配は自身の責任であることを認めています

井上監督とヘッドコーチの関係

2026年1月、NPB監督会議に参加した中日ドラゴンズ・井上一樹監督と嶋基宏ヘッドコーチ

 なんでも試合前練習やミーティング時には、自ら選手とコミュニケーションをとって調子を伺っているという井上監督。その上で投手、打撃コーチの進言と照らし合わせてグラウンドに送り出すなど、決して起用をコーチ任せにしているわけではないようだ。

「それよりも気になるのが、昨年までヤクルトのヘッドコーチを務めていた、嶋基宏ヘッド(41)とのコミュニケーションです。逆転負けを喫したヤクルト戦を含め、投手コーチとのやりとりを言及すれども、嶋ヘッドの名前が出てくることはほぼない」(前出・野球ライター)

 就任1年目の2025年は「ヘッドコーチ」を置かなかった井上監督だが、同年末には嶋ヘッドの就任が発表される。これは球団主導の“人事”だという。

「本来、監督の参謀役として、コーチ陣との“橋渡し”としての役目も担うヘッドコーチ職ですが、中日ベンチは一枚岩で戦えているのか。逆に嶋ヘッドの古巣が開幕ダッシュに成功して首位だけに、ファンとしては余計にモヤモヤするところでしょう」

 まだシーズンは始まったばかり。ファンはAクラスと言わず、15年ぶりの優勝を願っているが果たして。