4月6日、福島訪問のため東京駅を出発される愛子さま

 天皇、皇后両陛下と長女の愛子さまは4月6日から2日間、福島県を訪問された。

今年は東日本大震災から15年の節目の年です。当初は3月25日から2日間、岩手県と宮城県を訪問される予定でした。しかし、両陛下のご体調が整わず延期となってしまいました。それだけに、今回の福島訪問に向けて入念に準備されてたのではないでしょうか」(皇室担当記者、以下同)

小川代表による事実上の“愛子天皇待望論”

 4月15日には、皇族数確保に関する与野党協議の場が設けられる。

「各党は協議を前に、記者会見で皇位継承について触れています。共産党の田村智子委員長は4月2日に行われた記者会見で“憲法の下での天皇制度と考えれば、当然女性天皇が認められるべき”と述べ、男女で扱いが異なることへの疑問を投げかけました

 皇族数確保に関する協議は長らく続いてきたが、自民党と立憲民主党の意見は対立し、結論が出ないまま今に至る。そんな中、3月27日、中道改革連合の小川淳也代表の会見での発言が波紋を広げた。
小川代表は女性天皇容認の立場を示したうえで、“女性天皇を生きているうちに見てみたいという日本国民の一人だ”と発言しました。この発言は瞬く間に拡散されましたが、4月3日には撤回する事態にまで発展したのです

 元号や天皇制を研究している神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は、小川代表の発言をこう分析する。

「ポイントは“存命中に”という点です。現在54歳の小川代表の余命を平均寿命で考えれば、あと30年ほど。その間に即位の可能性がある女性といえば、愛子さましかいらっしゃいません。つまり、この発言は事実上の“愛子天皇待望論”と受け取られたわけです

皇室典範の改正においても世論が欠かせない

 結局、小川氏は発言の撤回に追い込まれたが、鈴木准教授は今回の騒動には今の空気感がよく表れているとして、こう指摘する。

小川代表個人の意見というより、“愛子天皇を求める世論”を政治家として肌で感じ取った結果でしょう。正直、今回の発言が政治的に強い影響を与えられるとは思えませんが、公式には口にはできない永田町のタブーを突いたという意味で、インパクトはありました。

 ただ、問題なのは皇位継承の議論が“愛子さまは立派だから”という属人的な話にすり替わっている点です。もし愛子さまがこれほど国民の期待に応えることができる存在でなかったら、こういった声は上がらなかったはず。制度論が個人の資質に左右される現在の状況は、危ういと言わざるを得ません

 皇族数の減少に関する協議が行われるのは1年ぶりとなるが、より明確な結論を出すためには“世論”の存在が不可欠だという。

日本は民主主義国家なので、皇室典範の改正においても世論が欠かせません。しかし、“その世論をどう捉えるか”という問題が非常に重要になってきます」(鈴木准教授、以下同)

 各メディアが行う世論調査では、いずれも女性天皇を支持する声は過半数を大きく超えている。

「一方で、直近の衆議院選挙では自民党が圧勝したわけです。もちろん、自民党を支持していても“皇室典範に関しては自民党の考え(男系維持)を支持しない”という有権者もいるはずですが、それを言い出したら選挙の意味がなくなってしまいます。政治の世界において、世論=自民党を支持したという点で見れば、“男系男子の維持”が世論とされてしまうのでしょう」

 皇位継承について注目が集まる一方、4月15日からの協議の主眼は「皇族数減少」への対策だ。

「これまで“女性皇族が婚姻後も皇室に残る案”と“旧宮家の男系男子を養子に迎える案”の2案が話し合われてきました。国民民主党の玉木雄一郎代表は3月31日の記者会見にて、女性皇族の年齢も鑑みて、前者の案を速やかに実現するよう求める発言をしています」(前出・皇室担当記者)

上皇さまの退位が当人たちへのヒアリングの前例に

 しかし、当の女性皇族は皇室に残ることをはたして望んでいるのだろうか。

現在、皇族は基本的人権が制限された状態にあります。女性皇族の場合、結婚して皇籍を離れれば、名字や戸籍、選挙権を得て、自由な生活を送るチャンスがあります。しかし、女性天皇や、婚姻後も皇室に残る制度が実現すれば、一生その機会は失われます。ジェンダー平等の観点から言えば、女性も天皇になれる権利は重要でしょう。しかし、人権を得られるチャンスを奪ってしまうという見方もできるのです」(鈴木准教授)

 秋篠宮さまは「当事者の意見を聞いてほしい」との趣旨の発言をされてきた。

「かつて、佳子さまが“私とお姉ちゃんは生まれたときからここしか知らない”といった胸中を明かされたと報じられたことがあります。ご本人がどう考えているのかはいまだにベールの向こう側です」(前出・皇室担当記者)

 鈴木准教授は、今回の協議に向け、対象となる皇族の方々へのヒアリングを提言する。

私は、絶対に秘密が守られるという条件のもとで、ご本人たちが胸の内をすべて吐き出せる機会をつくるべきだと考えています。10年ほど前、上皇さまが“退位”の意向をにじませ、結果として特例法がつくられたという前例があります。人権に年齢は関係ありません。“あなたには人権がないんだからダメです”と突き放すのが法律の建前かもしれませんが、結局は“声”を聞かざるを得ないという状況になったのです。

 もし愛子さまが“天皇になりたい”あるいは“自由になりたい”と主張された場合、政府はどのように向き合うのか。政治家は世論の顔色をうかがうだけでなく、一人の人間の人生に対して腹をくくる必要があるでしょう

 女性皇族が自らの未来を、自らの意思で描くことができる。そんな日が今年中に実現できるのだろうか─。

鈴木洋仁 神戸学院大学現代社会学部准教授。元号や天皇に関する研究を進めており、著書は『「三代目」スタディーズ 世代と系図から読む近代日本』(青土社)ほか多数