巨人・阿部慎之助監督

 開幕から3カードを終えて5勝4敗。勝率5割付近を行ったり来たりするもどかしい戦いが続いている阿部巨人。試行錯誤を続ける指揮官の打順の組み換えは、得点不足を解消する一手となるのか、それとも打線の繋がりを欠く要因となっているのか……。

阿部采配に見てとれる“迷い”とは

「ジャイアンツも打線としては助っ人頼りになりそうですよね」と分析するのは、中日や楽天で本塁打王に輝いた山崎武司氏だ。4月2日に解説を務めた山崎氏は、現在の巨人打線について「1番から4番までは固定できる。3番泉口友汰の調子が良いですし、5番以降をどうするかじゃないかな」と、クリーンナップを固めきれていないことに課題があると指摘した。

「山崎氏が指摘する通り、上位打線には一定の形が見えつつあります。1番キャベッジ、2番松本哲也、3番泉口友汰、4番ダルベックという形がハマれば、相手バッテリーにとっては大きな脅威でしょう。しかし、阿部慎之助監督の采配を見ていると、機動力やバントを絡めたいのか、それとも強打で押し切りたいのか、その意図が透けて見えない場面が多々あります。

 オープン戦ではキャベッジ、ダルベックで4番、5番を組み、1番浦田俊、2番中山礼都といった機動力重視の布陣を試していましたが、開幕直前になって急にキャベッジを1番に起用。その結果、2番でコンビを組む松本との連携を実戦で十分に試せないままシーズンに突入してしまった。こうした急な変更が、チームとしての安定感を欠く要因になっているのではないでしょうか」(スポーツ紙記者)

 この“打順の迷い”の象徴となっているのが、日替わりで入れ替わる5番打者の存在だ。開幕当初は、昨シーズンの勝負強さを買われた岸田行倫が起用されていたが、キャプテンに就任した重責もあってか快音は響かず。その後も坂本勇人、若林楽人、中山、さらには新人の佐々木俊邁と次々に選手を入れ替えて試行錯誤を繰り返している。

 これに対し、ネット上でも「岸田は去年のように勝負強いバッティングがあったが、今はプレッシャーを感じすぎているのではないか」「坂本は今の状態なら昨年のような代打が妥当」「佐々木は1番で使って欲しい」「2番キャベッジなら阿部監督がバントしなくなるから勝てる」など、打線についての様々な意見が聞かれる。

フラストレーションを溜めているファン

阿部監督は『1点をもぎとる野球』を目指していたはずですが、最近はキャベッジが2番に起用されることも増え、松本を2番でバントマンとして使っていたのとは別人のような采配です。メジャーリーグのような“2番の大砲"も近年は珍しくなく、悪手とまでは言いませんが、佐々木、浦田、松本、門脇誠と1、2番に適した選手は他にもいるのですから、なぜダルベックとキャベッジの助っ人コンビを4番、5番で固定しないのかと、フラストレーションを溜めているファンも少なくありません。

 そうすれば6番以降は調子を見て柔軟に決められますし、大量得点が生まれやすくなる。現状のようにクリーンナップの一角が日替わりの状況では、たまたまその試合に勝てたとしても、長いペナントレースで上位に食い込んでいくのは難しくなるのではないでしょうか」(スポーツ紙デスク)

 今季、好スタートを切った他球団と比較すると、阿部監督の迷いがより鮮明に見えてくる。

東京ヤクルトスワローズの池山隆寛監督

例えば、8戦7勝1敗と快進撃を続ける首位ヤクルトは、開幕3カードを消化して犠打数が12球団で唯一『0』という徹底した攻撃姿勢を見せています。池山隆寛監督は『決してバントをしないわけではない』と語りつつも、5日の試合ではルーキーの伊藤琉偉に強攻を続けさせるなど、基本的には打線の勢いを止めない戦略を貫いている。選手たちも監督の“打ち勝つ野球"を明確に感じ取っており、打席でのスイングにも迷いがない。

 今の巨人は、バントで進めたいのか強攻したいのかが試合ごとに揺れ、選手たちがベンチの顔色を窺いながらプレーしているようにも見えます。巨人が5割近辺から抜け出せないのは、阿部監督が池山監督のように明確な色を打ち出せていないのも理由かもしれません」(前出・スポーツ紙記者)

 若手の台頭と計算できる助っ人。阿部監督は「5番問題」の正解を導き出すことができるだろうか。