4月7日の東京ヤクルトスワローズとの試合に先発した、阪神タイガース・才木浩人投手(27)がよもやの大記録を逃した。試合後の会見で「申し訳ない。僕が知らなかった」と頭を下げた藤川球児監督(45)だが、その内心はーー。
8回を投げ終えた時点で16奪三振と、この時点でセ・リーグ最多奪三振記録に並んでいた才木。さらに3つの三振をとれば日本記録に並んだのだが、9対3で迎えた9回、阪神ファンが見守る甲子園のマウンドに上がったのは湯浅京己投手(26)だった。
まさか才木にアクシデントか? 藤川監督が会見で明かしたのは、冒頭の「(記録を)知らなかった」発言だった。すると《監督の大失態だ》とのネットの声を拾ったネットニュースで記事にされ、自らの“ボーンヘッド”を責められる事態となっている。
しかしながら、監督は本当に「知らなかった」のだろうか。在阪球団を取材する野球ライターによると、
「なんでも花束は8回終了時点で用意されていたものの、新記録も期待されることから渡されなかったようです。結局、試合終了を待ってファンへの挨拶を済ませた後に手渡すも、“えっ、何?”と驚いていたのは才木本人。
試合中はベンチ内でも記録に触れられず、監督も本当に知らなかった可能性もある。ただスコアラーや記録スタッフが気づかないわけもなく、途中で何らかの進言はあったと考えるのが普通でしょう」
大記録を前に降板した投手
仮に記録を把握してたのならば、なぜ藤川監督は交代を告げたのだろうか。8回終了時のヤクルトとの点差は6点で、才木の球数は105球。交代の目安とされる投球数とは聞くが、球史に名を残す可能性があるのなら続投を決断しそうなものだがーー、
「阪神では、才木以上の大記録を目前にマウンドを下された投手がいます」とは先の野球ライター。
2023年シーズンの開幕間もない4月12日、読売ジャイアンツとの“伝統の一戦”を任された阪神・村上頌樹投手(27)。7回まで巨人打線を0点に抑えると、8回表の攻撃で打順が巡ってきたところで、当時の監督だった岡田彰布氏(68、現阪神オーナー付顧問)がベンチから登場。村上に代打が送られると、東京ドームは一番のどよめきが起きた。
それもそのはず、この日は7回まで零封どころか、巨人にランナー1人も許さないパーフェクトピッチングを続けていた村上に、まさかの交代を告げたからだ。完全試合達成まで6人、1対0でリードした場面で岡田氏は継投を選択したのだった。
「1点差とはいえ球数は84球と、余力を残しての交代劇に誰もが驚いた。この時、采配に悩まなかった岡田さんですが、試合後には“パーフェクトいけたんかな”と思い返すこともあったといいます。
一見、非常にも思える采配でしたが、監督として優先したのが“チームを勝たせること”と、村上にローテーション投手として“次も投げてもらうこと”でした。まだシーズン始まったばかりだけに、経験の浅い村上がパーフェクトを意識するあまり、以後の調子やリズムを狂わせることを危惧したそうです」(前出・野球ライター、以下同)
記録よりも未来に向けて
結果はというと、8回を引き継いだ石井大智投手(28)が同点に追い付かれて、村上は勝ち星を逃すもチームは延長戦の末に2対1で勝利。同年の阪神は18年ぶり6度目のセ・リーグ優勝を果たし、村上も過去2人しか達成していないMVPと新人王のW受賞を勝ち取るのだった。
「藤川監督も、会見では“(知っていたら)投げさせてもよかったかな”とする一方で、才木には“記録よりも未来に向けてどんどんよくなる方が重要”と、やはり次回以降に向けた活躍を期待しています。
自身も入団当初は先発ながら、リリーバーとしての才能を見出してくれたのが岡田さん。そんな恩師から“監督の仕事”、“阪神イズム”を受け継いでいるのでしょう」
ちなみに7日のヤクルト戦を中継した、テレビ大阪のゲスト解説を務めたのが岡田氏。“大記録”には試合終了後に気づいたようで、
「タイ記録!? ほな、何でもう1回、投げさせへんかったんや。お〜ん」
やはり監督とグラウンドの“外”では、野球の見方も変わるようで。
