相撲

 日本相撲協会が2021年1月から配信している公式電子トレカサービス『大相撲コレクション』。スマートフォン上で幕内・十両力士のデジタルトレーディングカードを集められるこのサービスは、若年層を中心に新たなファン層を取り込む施策として注目を集めている。

 その一方で、SNS上では「20回回したのに出ず…」「トレード制限は改悪」といった、まるでソーシャルゲームを連想させる不満の声も散見。伝統ある国技・大相撲のデジタル化は、どこまで許容されるべきなのか─。

『大相撲コレクション』でトレカをコレクション

限定カードが手に入ると謳う大相撲コレクション(公式Xより)

『大相撲コレクション』は、ユーザーがカードパックを購入したり、本場所中に毎日出題されるクイズに正解したりすることでトレカを入手できる仕組み。

 BGMや映像が搭載された「動く」トレカや、当日限定で配布される「観戦限定トレカ」など、デジタルならではの付加価値も盛り込まれている。トレード機能やランキング機能、ユーザー同士の「対戦」機能なども実装されており、コレクション要素とゲーム要素を兼ね備えた設計となっている。

 こうしたデジタル施策の背景には、相撲協会が直面してきたファン層の課題がある。

「日本相撲協会で広報を務める西岩親方(元関脇・若の里)は、年配の方たちから若い女性や外国人の旅行客の観戦機会が増えたとファン層の変化を語っていました。実際、2024年頃から現在まで満員御礼の大盛況が続き、協会は推し活の波に乗るべくデジタルを活用した施策を強化しているのでしょう」(相撲ライター)

「デジタル化」に違和感

自分だけのシール帳が作れる?(公式Xより)

 しかし、近年の「推し活化」「デジタル化」の流れに対しては「伝統ある相撲までソシャゲのようなガチャ商法に染まるのか」という違和感を抱くファンも少なくない。

 西岩親方も、

「私たちが考える一番のファンサービスは『土俵の上の相撲』だと思っています。力士たちが必死になって相撲に取り組み、お客さんたちに『迫力ある面白い相撲だなぁ』と熱中してもらうことが何より大切です。それがないと、いくら時代に合わせてグッズを売ったり、ファンクラブをつくったりしても、いずれお客さんは相撲から離れていってしまう」

 と述べ、デジタル施策はあくまで補助的な位置づけであることを強調している。

 こうした「土俵の相撲」を支える力士たちへの還元という点では、疑問の声も根強い。3月、2025年度の決算を発表した相撲協会は13億円超の3年連続黒字を記録したことを発表している。グッズ販売が絶好調であったことが要因として挙げられているが、力士への還元がないどころか過密日程で巡業をこなす状況に《利益は上がっても力士は疲れる一方》《力士にも還元しろ》など物議となった。

 電子トレカやガチャ、その他グッズで収益を上げ協会が潤う一方で、肝心の力士たちが疲弊し、待遇改善も進まないとすれば、「誰のための推し活か」という問いが浮かび上がるだろう─。