入学式を終えたばかりの墨田区立小梅小学校に現れたのは、伊勢ヶ濱部屋の桐山親方(元関脇・宝富士)。スーツ姿ながらまだマゲを結った親方の登場に、子どもたちは興味津々。
相撲協会公式キャラ・ひよの山
そこで配られたのが、『こうつうあんぜん』『すみだく』と平仮名で書かれ、鮮やかなイエローにかわいらしいキャラクターが描かれたランドセルカバーだった。
「黄色いペンギンだ!」
そんな無邪気な声も飛び出したようだが、実はこのキャラクター、ペンギンではなく「ひよの山」。2009年に誕生した鶏をモチーフにした空想上のいきものである、日本相撲協会の公式キャラクターだ。
「鶏は二本足で立ち、手は地面につかないから相撲界では、“手をつかない=負けない・土がつかない”という意味で縁起がいいとされています。おすもうさんたちが毎日食べているちゃんこ鍋の具に鶏肉が多いのもゲンを担いでいるからです」(フリーの相撲ライター)
そんな「ひよの山」は『ハッキヨイ!せきトリくん』という漫画の主人公で、立派な横綱を目指して日々稽古に励む努力家。ちなみに、まだ“ひよっこ”なので体色はひよこカラーの黄色だという。黄色という明るい色は、小学1年生のランドセルカバーにもピッタリだ。
このカバーの寄贈は2020年に始まり今年で7年目を迎える恒例行事。墨田区すべての新1年生、約1700人に贈られている。2021年にカバーを受け取った母親が言う。
「今はランドセルがいろいろな色ですが、1年生だけ黄色一色。すごく目立っていて逆にありがたかったです。身体も小さく、まるでランドセルが歩いているような1年生を交通事故から守ってくれているような気がしました。2年生になり、カバーを外すのをためらったくらいです。子どもも“ひよの山”をすごく気に入り、相撲協会の公式グッズをいくつか買いました(笑)」
甘口国技館カレーも寄贈
相撲という競技の普及を願い、新1年生に直接手渡しした前述の桐山親方は「相撲に興味を持ってもらいたい」「(カバーの寄贈が)伝統になれば」と語る。
協会は今年2月にも墨田区の小学生全員に、レトルトの『甘口国技館カレー』を寄贈したばかりだ。
「これは昨年末に協会が設立100周年を迎えた感謝の意を込めて、国技館がある墨田区に恩返しとして約1万2000食を配布しました。ランドセルカバーも“国技館がある街”に住む子どもたちに、小さいころから相撲に親しんでほしいという願いが込められているようです」(前出ライター)
両国の街を歩けばひよの山のカバーをつけた小学1年生が元気に走り回る――。そんな光景こそが、相撲協会が100年かけて築きたかった「地域との絆」なのかもしれない。
