日本相撲協会は4月9日、都内で臨時理事会を開き、弟子の幕内伯乃富士(22)に暴力を振るった伊勢ヶ濱親方(34=元横綱・照ノ富士)に対する処分を発表した。
元横綱・白鵬以来の処分内容
処分内容は委員待遇年寄から年寄(平年寄)への2階級降格と、報酬10%減額(3か月間)。年寄は再雇用者の参与を除けば親方衆の中で最下位の役職であり、横綱経験者がここまで降格するのは2024年2月の宮城野親方(元横綱・白鵬)以来となる。一方、伯乃富士には八角理事長(元横綱・北勝海)からの厳重注意にとどまった。
処分の行方に注目していたファンからは《妥当ですね》《伯乃富士が厳重注意程度で済んだのは照ノ富士が泥を被ったとも言える》《事件の詳細わかってない時に親方批判してた人らは反省しなさい》など、伊勢ヶ濱親方に同情する声が相次いだ。
事件の経緯は次の通りである。
協会の発表によると、2月下旬、東京都内の会員制ラウンジで行われた後援者との会合において、泥酔状態の伯乃富士が後援者の知人女性の太ももを触るなどの不適切行為に及んだ。これを受けて伊勢ヶ濱親方は、伯乃富士に対し「何回同じことをやらかすんだ。酒を飲み過ぎて、覚えていないじゃすまないんだぞ」と叱責しながら、拳と平手で顔を2度殴打した。
一部報道では酒瓶を使用したとの情報も流れていたが、協会は素手での暴行であったことを明らかにしている。とはいえ、たとえ素手だとしても暴力を振るっての指導は行きすぎた行為であることは間違いない。
伊勢ヶ濱親方は処分発表後「このたび、私の責任ない行動により多くの方にご迷惑、ご心配をおかけしまして本当に申し訳ございませんでした」とコメントした。
元横綱白鵬との「差」
伊勢ヶ濱親方への処分に“妥当”との声も多い一方で、2024年に処分を受けた宮城野親方(元横綱・白鵬)との「差」を指摘する声だ。
《甘くない?白鵬の時は、部屋閉鎖だぞ》《白鵬がアウトで照ノ富士がセーフの意味が分からない》《同じ親方でも処分に個人差がありすぎる》と疑問視する声も多い。
「宮城野親方は弟子の北青鵬が後輩力士に対して日常的に暴力を振るっていた問題で監督責任を問われ、同じく2階級降格と報酬減額の処分を受ています。しかし、それだけでなく宮城野部屋は閉鎖され、弟子たちは伊勢ヶ濱部屋への転籍を余儀なくされました。その後、宮城野親方は2025年に日本相撲協会を退職しました」(相撲ライター)
そんななか、白鵬との処分差については広報部長を務める藤島親方が「今までの事例と照らし合わせた。特に反対はなかった」と説明。処分が部屋閉鎖や師匠交代に至らなかった理由として、「前宮城部屋の時は、暴力が発覚してから報告をしなかった」「伊勢ヶ濱親方が自ら協会に申告したこと」などが考慮されたそうだ。
しかし、宮城野親方の場合は「監督責任」であり自ら暴力を振るったわけではない一方、伊勢ヶ濱親方は「師匠自身が弟子に直接暴力を振るった」という点で性質が異なる。にもかかわらず、部屋閉鎖に至らなかったことへの疑問は残る。
繰り返し起こる相撲協会の不祥事。長期にわたる八角理事長政権での改革はいつになったら成果が出るのだろうか。
