若者たちが合格を蹴った背景には、何があるのだろうか――。
兵庫県の採用試験合格者のうち、6割近くが入庁を辞退していたことが判明した。近隣の府県に比べて突出した数字が、物議を醸している。
斎藤元彦知事のコメントに「まるで他人事」
県によると「大卒程度の総合事務職」として合格した209人中、4月1日に入庁したのは86人。辞退したのは123人で、辞退率は58.9%だ。大阪府の30.3%、京都府の45.5%と比べても大幅に高い理由としては、2024年3月に取り沙汰された斎藤元彦知事の“パワハラ疑惑”などへの告発文書、及び告発者への不適切な対応の問題による影響が指摘されている。
斎藤知事は「辞退率をふまえて、多めに合格を出している」とコメント。「それぞれの自治体の採用状況で、それぞれの辞退状況はあると思う。そのあたりはしっかり受け止めていくことが必要だ」と語っている。
「公務員試験の講座を開いている県内の大学生協によると、兵庫県は複数の枠を併願できて受験しやすいという特徴があります。しかしその一方で、告発文書問題で学生が不安を訴えたり、親に入庁を止められて思い留まるといったケースが見られています」(地方紙社会部記者)
斎藤知事は記者から、告発文書問題で「告発者つぶし」をおこなったことについて指摘されている。「今の若者はほかに働く場所の選択肢が非常に増えているが、兵庫県を選んでくれるのか」と質問されたのに対し、「県政は大事な仕事だとしっかりPRし、より志のある若い世代の方が“兵庫県で働いてみたい”と言うような職場づくりをしっかりやっていくことが大事だ」と回答した。
一方、知事は渦中にあった2024年10月にYouTubeで「さいとう元彦チャンネル」を開設。暗い疑惑とはギャップのある、のんびりとした動画を中心に配信している。
「最近では兵庫県のPRを兼ねているのか、県内の商店街などでぶらりと街歩きする動画を多く投稿しています。地元グルメを楽しむなど、まったりとしたプライベート感あふれる映像ばかり。《ただのおっさんの街歩き動画》と、政治の世界から離れた空気に戸惑う人も多いようですが……」(前出・社会部記者)
大量の入庁辞退とそれに対する知事のコメントを受けて、ネット上には「まるで他人事みたいな考え方だよね」「原因を外に求めるんじゃなくて、必要なのは内部の洗い出しだと思う」「のんきにYouTubeやっている場合じゃないでしょう」「正直ちょっと世間と感覚がズレてるよね」と冷ややかな声が寄せられている。
県の魅力をアピールする前に、興味を持った人が離れていかないよう、根本的な見直しが求められているのかもしれない。
