安達結希さん(京都府警提供)と安達さんが所有していた同型のランリュック(右)

 京都府南丹市園部町で行方がわからなくなっている市立園部小の新6年生・安達結希さんの懸命な捜索が続いている。3月23日に姿を消してから4月14日で3週間。京都府警は12日、山中近くで子ども用の靴を発見し、DNA鑑定を進めているという。

近隣住民の声

 南丹市立園部小学校へは最寄りのJR園部駅から約2キロ、徒歩30分ほど。駅前のロータリーで肩かけかばんを提げた記者らしき男性がタクシーに乗り込み、どこかへ走り去っていった。

 あいにくの曇り空。桜は約1週間前に満開を迎えたといい、淡いピンクの花びらの隙間から向こう側の空が透ける。

「家出か、事故か、事件かわかりませんが、どうであれ無事に帰ってきてほしいと思うだけです。早く元気な姿を見たいです。もし家出だったら叱らないであげてほしい」

 と近隣の80代の女性は話す。

関係者が商店などに配布した自作のビラ

 京都府のほぼ中央に位置する南丹市の人口は2万8911人。京都市や亀岡市への通勤圏ながら緑豊かな自然に恵まれ、市のアンケート調査で市民の誇りについて7割超が回答したのは「山林・河川・田園風景などの自然環境」だという。目の前に広がる田畑は美しいだけでなく、水菜や壬生菜、九条ねぎ、黒大豆など、ブランド京野菜の産地としても知られる。

 市内の約1万5500人が暮らす総面積102・78平方キロメートルの園部町は市の中心部にあたる。身長134・5センチのやせ形で黒色の短髪、園部小の新6年生・安達結希さん(11)が忽然と姿を消したのは3月23日午前8時ごろだった。

 普段はスクールバスを利用していたが、この日は乗り遅れてしまい、父親の運転する車で送ってもらったという。小学校のグラウンドに隣接する学童保育施設の駐車場で車を降りて以降、行方がわからなくなった。校舎まで約200メートルの場所だ。

「当日は卒業式で、当時5年生だった安達さんは在校生として出席する予定でした。8時半ごろ出欠をとり、担当教員は安達さんが来ていないことに気づきました。しかし、保護者からスマホのアプリで翌24日の欠席届が出ていたため、日付を間違えて届けたのだろうと考え、保護者にすぐ連絡しませんでした。

 卒業式終了後の午前11時50分ごろに連絡して所在不明とわかったのです。両親は安達さんを迎えに学校近くに来ており、そこで連絡を受けたといいます。父親が正午ごろ110番通報しました」(全国紙社会部記者)

 学校側は保護者説明会で、登校していない事実を把握した時点で保護者に連絡すべきだったとし、今後は15分以内に連絡すると約束した。

「欠席届の期日に間違いはなく、安達さんは翌24日から両親と海外旅行に行く予定だったそうです」(同・記者)

 知人男性が打ち明ける。

「安達さんの両親は職場で知り合った再婚同士で、お互いに子どもがいるため子育ては協力して行っていたといいます。最近結婚したばかりで、これから新しい家族の思い出をつくっていくところだったんです」

ランリュックの謎

 通報を受けて京都府警や地元消防署、消防団らによる捜索が始まった。

「学校に複数台ある防犯カメラに安達さんが登校する姿は映っていませんでした。車を降りた安達さんを目撃した児童や保護者もゼロ。安達さんの親族が3月29日、学校から西に約3キロの山中のガードレールの裏側で安達さん所有の黄色のランリュック(通学かばん)を発見しましたが、周囲からほかの持ち物は見つかっていません。

 発見場所は消防団が3日間にわたって捜索済みで、そのときは発見できませんでした。見つけられなかったのか、あるいはあとから置かれたのか。3月25日には雨が降っていますが、ランリュックには雨にあたった汚れなどはなかったといいます」(前出・記者)

安達さん所有と同型のランリュック

 ランリュックは、ランドセルリュックとも呼ばれ、ナイロン製などで革製ランドセルより軽く背負いやすい。10万円以上の高級品もあるランドセルと比べて1万数千円程度と安く、府内で人気という。

 ランリュックの発見場所と学校を結ぶ複数のルートで防犯カメラの映像などがチェックされたが、手がかりや目撃情報は得られていない。

「小学生がこんな見通しのいい道をひとりで歩いていたら目に入るはずなんだけどね」

 と地元の男性はいぶかしむ。

 学校近くの竹林には「鳥獣保護区」の立て看板がある。

「獣といってもイノシシ、タヌキ、イタチなどです。近隣の畑は作物を食い荒らされる被害に悩まされていると聞きました」(商店の70代女性)

 昨年、全国的に里山や市街地で出没が相次いだクマの目撃情報はないという。

 近くには大きな河川もあるが、「今どきの子は川では遊びませんよ。溺れるような事故は記憶にありません」(防犯ボランティアの80代男性)

「学校でいじめやトラブルは確認されておらず、ひそかに電車やバスに乗った形跡もありませんでした。家出する理由も見当たらないのです」(前出・記者)

 安達さんの自宅は学校から南西に約9キロ離れている。2006年に園部町など4つの町が合併してできた南丹市では学区が拡大し、スクールバスを利用する児童は少なくない。

「活発でやんちゃなかわいらしい子で…」

 安達さんを知る女性は言う。

「元気で活発な子です。やんちゃなかわいらしい子なんです」

 家族の胸中はいかばかりか。安達さんの母方の祖母もまた、焦燥にかられているという。

「まだ若いおばあちゃんは結希さんをとてもかわいがっていて、自宅近くのスクールバスの停留所まで毎日、送り迎えしていました。初孫だったはずです。無事に帰してあげたい」(知人の60代男性)

所轄の南丹警察署前には、常に報道陣の姿が

 府警は4月3日にランリュック発見場所近くのため池を水中ドローンなどを使って捜索。4月7日には、ほぼ一日かけて安達さん宅近くの山中を捜索した。別荘などが点在するエリアのため、安達さんが空き家や留守宅などに入り込んでいる可能性があったが、手がかりは得られなかった。

 同8日、安達さんの所在がわからぬまま小学校は新学期を迎えた。警察や学校関係者が登校を見守るなど緊迫した状況が続く。

「うちも小学生の子どもがいるので人ごとではない。怖いです」(飲食店の40代女性)
「元気に戻ってきて、ご家族に抱きしめてもらってほしい」(自営業の70代男性)

 安達さんは、黄色い帽子に黒と灰色のフリース、胸にバスケットボールのロゴ「84」を配した灰色のトレーナー、ベージュのチノパンに黒いスニーカーを履いていた。

 4月12日、通っていた小学校から南西に約6km離れた山道周辺で、安達さんが履いていたものと同系の黒色の靴が発見され、翌13日には約50人態勢で靴が見つかった場所周辺を捜索。京都府警は靴のDNA鑑定も進めているという。

 無事を信じて、懸命な捜索が続いている。

※情報提供は南丹警察署まで 0771-62-0110