左から吉沢亮、小泉今日子、河合優実

人気俳優2人が同票でランクイン

 まずは17票の同票で、『あんぱん』('25年前期)の柳井寛(竹野内豊)と、『あさが来た』('15年後期)の田村宜(吉岡里帆)が9位に。

 寛は、嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)を育てる伯父で医師。妻・千代子(戸田菜穂)との愛情あふれるシーンも人気を集めた。「穏やかで優しい役柄が好き」(埼玉県・51歳・女性)、「ドラマになりそうな面白いエピソードがありそう」(宮崎県・50歳・女性)などの声が寄せられた。また、「セリフがどれも印象深かった」(愛知県・67歳・男性)という意見に、「本当に素敵でしたね」と共感するのは、漫画家&テレビウォッチャーのカトリーヌあやこさん。

「口を開けば名言といわれるくらい(笑)、全部のセリフが『アンパンマンのマーチ』の歌詞のようでした」(カトリーヌさん、以下同)

 往診の帰りに倒れ亡くなってしまった際にはロス多発。

「脚本の中園ミホさんご自身もロスになったそう。千代子さんとすごく素敵なご夫婦だったので、2人のなれそめ的なスピンオフを見てみたいです」

 田村宜は、主人公・あさ(波瑠)の娘、千代(小芝風花)の同級生で、あさを尊敬し、秘書見習いになるという役。「それまで吉岡さんのことを知らなかったが、この役で知名度を上げたと思うので、スピンオフでまた見てみたい」(東京都・56歳・男性)、「これで吉岡さんを知り、ファンになった」(奈良県・53歳・男性)などの声が。

「吉岡さんは、このドラマのヒロインオーディションの最終まで残っていたんです。それでスタッフの印象に深く残り、のぶちゃん役に。丸眼鏡で一人称が“僕”という、視聴者に愛された印象的なキャラでした」

 宜には、モデルとなった実在の人物がいた。

「井上秀さんという、女子教育に力を注がれた方で、後の日本女子大学学長。井上さんの人生もすごく物語があるので、スピンオフというより、むしろ連ドラが1本撮れそうです」

亡くなった後、幽霊として出てくることも!?

 続いては、19票の同票で3人がランクイン。『虎に翼』('24年前期)の桂場等一郎(松山ケンイチ)、『あまちゃん』('13年前期)の天野夏(宮本信子)、『ゲゲゲの女房』('10年前期)の飯田貴司(星野源)が並んだ。

 頑固で保守的な裁判官の桂場等一郎。だが、甘いもの好きで酒癖が悪いなど可愛い面もあり。「裁判官らしい威厳がありながらも人間味あふれるキャラクター」(福岡県・59歳・女性)、「最高裁長官にまでなった彼の苦悩、また茶店での味調べを、もう一度見てみたい」(茨城県・61歳・男性)、「なぜあそこまで頑なな人間になったのか、過去が知りたい」(長野県・55歳・女性)と、バックボーンが気になる人多数。

「堅物だけどチャーミング。松山さんが演じたからこそ生まれたキャラクターだと思います。主人公のトラちゃんに邪魔されて茶店でなかなか団子を食べられないとか、ただの堅物ではないところが魅力的でしたね」

ryuchell、松山ケンイチはプリスクールに、東野幸治や木下優樹菜さんはインターに子どもを通わせている。ジャガー横田の長男はインターから全寮制高校へ

 カトリーヌさんが見たいのは“桂場等一郎の休日”。

「チャーミングな面をもっと見たい。最後は、やっぱり団子が食べられない、とか(笑)」

 夏ばっぱこと天野夏は、主人公・アキ(のん)の祖母。岩手の架空の町・北三陸市の海女で、「さっそうと海に潜る姿が今でも印象に残っている」(広島県・48歳・男性)という人も多いだろう。また娘の春子(小泉今日子)が18歳で家出してからの24年間に思いを馳せ、「夏さんの本当の気持ちや、どんな葛藤があったか知りたい」(大阪府・37歳・女性)という声も。

「群像劇として登場人物全員のキャラが立っていて、さすが宮藤官九郎さん(脚本)だなと。彼の作品の登場人物は、“みんなどうしてるかな”という気持ちになる。夏さんのことも“お元気かな?”と、ふと思うんですよね」

 カトリーヌさんが印象深いと語るのは'13年の『紅白歌合戦』。『おら、紅白出るど』のタイトルで特別編・第157回(本編は156話)として放送された。

「ドラマと同じ15分間、キャストみんなで『潮騒のメモリー』などを歌ったんです。宮本信子さんはゲスト審査員席でご覧になっていて。あまちゃんファンはすごく満足したと思います」

 ブレイク前夜の星野源が演じた飯田貴司は、主人公・布美枝(松下奈緒)の弟。温厚で優しいキャラクターだ。「星野源が見たい」(埼玉県・41歳・女性)というド直球な意見から、「当時の彼との比較が楽しみ」(兵庫県・56歳・男性)という通な声も。

「貴司さんはきょうだいの中でいちばん布美枝さんと仲良しで。でも若くして、海へ釣りに行った際に転落して亡くなってしまう。これも史実のとおりなんです。放送時、布美枝さんのモデルである武良布枝さんが、星野さん演じる貴司をとても気に入っていたという話も残っていますね」

 早逝してしまったのでスピンオフは難しそうだが、「朝ドラは亡くなった後、幽霊として出てくることもあるので、それもアリかも」とカトリーヌさん。

あまりの人気で朝ドラロスの元祖に

 5位は22票で『あさが来た』の五代友厚(ディーン・フジオカ)。明治経済界の大物でロスの元祖、五代様だ。「カッコよかったし、ディーンさんは今も素敵なので」(茨城県・43歳・女性)、「とにかくカッコよくてファンになってしまった」(静岡県・55歳・女性)、「史実に残っていて、大阪の経済界に大きな功績を残した人だから」(青森県・61歳・男性)など、演者ファン・キャラファン両方からラブコールが集まった。

「五代さん人気は本当にすごかった。当初12月末の放送で亡くなる予定が、1月まで寿命を延ばしたというエピソードがあるほどなんです」

 '21年、大河ドラマ『青天を衝け』でディーン五代が復活。

「どちらも脚本が大森美香さんで、大河は少し若いころの五代さんでした。『あさが来た』ではジェントルマンでしたが、こちらはワイルド。ある種、スピンオフのような感じもしますね」

阿部サダヲ 撮影/坂本利幸

 4位は『あんぱん』のヤムおんちゃんこと屋村草吉(阿部サダヲ)。31票を獲得した。パン作りの名人で、全国を旅する風来坊。独特な存在感でドラマを彩った。「アンパンマンのお父さん的役割だと思うので、どんな人生だったのかを見たい」(兵庫県・62歳・女性)、「放浪のパン職人だけに、いろいろなドラマがありそう」(北海道・66歳・男性)、「神出鬼没だったので、どこで何をしていたのか気になる」(静岡県・50歳・女性)などの声が届いた。

「脚本の中園ミホさんいわく、ヤムおんちゃんは妖精。だからあまり老けないと。時空を超えたパンの妖精として存在してる(笑)。そんなスピンオフを見たいですね。昭和、平成、令和といろいろな時代に現れて、パンを焼いて誰かの心をちょっと温かくする。ほかのキャストも転生して別の役で登場したら、さらに面白そうですね」

 3位は『ばけばけ』('25年後期)の錦織友一(吉沢亮)が32票を獲得。いちばんの友人&リテラリーアシスタントとして、ヘブン(トミー・バストウ)を支える姿が感動を呼んだ。「“もはや彼女か!?”と思えてしまうほどヘブンさんを慕う様子がとてもよかった。そして奥さんがいるはずなのに一度も登場せず。謎の奥さんの存在もスピンオフで明かしてほしい」(東京都・56歳・女性)、「演技が上手で役のためにすごい減量までしていた」(千葉県・48歳・女性)、「錦織さんの人生も劇的で興味深いと思うので」(大阪府・56歳・女性)と、興奮冷めやらぬ熱い声が。

「最終回でわかったのは、本当におトキさん(高石あかり)の物語だったなと。だから錦織さんの背景は削ぎ落とされていて、既婚者という話は出てきても奥さんは登場しない。なので、スピンオフは見たいけれど、奥さんのことは見えないままでいいかなと思ってます」

 そんなカトリーヌさんのリクエストはヘブンさんとの話。

「モデルの西田千太郎さんと小泉八雲さんは往復書簡の書籍があるくらい手紙のやりとりをされているので、そのエピソードや、2人で海水浴にも行ったそうなので、それもぜひ」

10年以上前の大ヒット作品のキャラが1位

 2位は41票で『あんぱん』の朝田蘭子(河合優実)。のぶ(今田美桜)の妹で、朝田家の次女。思い人の豪(細田佳央太)は戦死。その後、最終週では八木(妻夫木聡)から指輪を渡され、海外の難民キャンプへ旅立った。「指輪をもらった後、どうなったか知りたい」(愛知県・66歳・女性)、「豪ちゃんとのシーンをたくさん見たい」(東京都・48歳・女性)という要望のほか、「生命感があり、今までの朝ドラの範疇を超えた存在」(愛知県・61歳・男性)、「飛び抜けた存在感がある」(千葉県・56歳・女性)と、圧倒された人も。

「蘭子のシーンは朝ドラらしからぬ色っぽさで、湿度高め(笑)。赤い傘の下で八木さんが蘭子の指をすりすりするシーンは、特に印象的でした」

『あんぱん』では4本のスピンオフが作られたが、蘭子が主人公のものはナシ。それだけに、八木とのその後を知りたいが。

「蘭子はライターになりますが、そのモデルは向田邦子さん。向田さんは飛行機事故で亡くなられたので、蘭子は無事に帰ってきたのかと気になる方もいて。でも、蘭子は直木賞も取っていないし大丈夫かな。珍しく朝ドラで描かれた大人の恋愛なので、いつか続きを見たいですね」

 そして栄えある1位は、55票で『あまちゃん』の天野春子(小泉今日子)。若いころにアイドルを目指すも、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の歌の影武者となり、夢かなわず。アキのアイドル活動を支えるために事務所「スリーJプロダクション」を設立する。「山あり谷ありの人生を見られそう」(鹿児島県・60歳・女性)、「春子がある意味、主役だったと思う」(岩手県・49歳・男性)などの声に、カトリーヌさんも賛同。

「アキがアイドルを目指すという軸もありつつ、春子が鈴鹿ひろ美というスーパースターの影武者から解放される物語でもありましたね」

「事務所にひろ美を迎えてからの話を詳しく見たい」(千葉県・60歳・女性)という意見には、「それも面白そう。本編では春子がひろ美に歌の特訓をしていて。小泉さんと薬師丸さんのそんなシーンが見られるなんて、眼福でした」と。

 若き日の春子は有村架純が演じたが、「ひろ美の影武者になるストーリーもいいですね。'80年代の芸能界事情や旦那さんとの出会いも入れつつ」

 だが「みんなが今どうしているかをいちばん見たいかな」と登場人物たちに思いを寄せるカトリーヌさん。

「春子さんだけでなく、北三陸の人たちがスナック梨明日に集まっている、永遠の日常のような物語。本編は震災から立ち上がる半ばで終わりますが、復興した北三陸で生きる現在のみんなを見たいです」

 新旧さまざまな登場人物の名前が挙がったこのランキング。「スピンオフが望まれる朝ドラは成功といえるのでは」とカトリーヌさんは語る。今期の『風、薫る』もスピンオフが見たくなる愛されキャラは現れるか!?

30代〜60代の男女500人に聞いた「スピンオフが見たい」朝ドラ名脇役ランキング
カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など

取材・文/今井ひとみ